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第一話『お友達から始めましょう』
その4 したいことならたくさん
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★つぐむく。~中二病と不思議ちゃん~ 第一話『お友達から始めましょう』その4 したいことならたくさん
「……何から始めましょうか」
「は?」
握手を交わした後、唐突に南雲はぽつりとそんな言葉を漏らした。
南雲の眉が、やや困ったように下がっている。
「神室くんとしたいことがいっぱいありすぎて、何からすればいいのかわからないのです」
したいこと。
南雲が、俺としたいこと。
……と言うと、あのノートに書いてあった事柄を指すんだろう、きっと。
しかし、そんなこと俺に聞かれても困ると言うか何と言うか。
むしろ俺が聞きたいくらいだ。
友達としたいこと?
友達ができると言うリハーサルを今まで一切してこなかったから全然わかんねえぞ?
どうする?
どうすればいい俺!?
冷や汗がだらだらと首筋を伝う。
緊張が一気に押し寄せて来て、危うくパニック寸前――、のその時だった。
「椋ー!! 遅いぞー!!」
明るい声と共に、教室に一人の女子生徒が飛び込んで来た。
長い黒髪をポニーテールに括った、制服ではなくジャージを纏った活発そうな出で立ち。
同じクラスの牟田美夏だ。
話したことはないが、なかなかに変わり者で……あと、南雲と一緒に居るのを良く見るかもしれない。
友達、なのだろうか。
「美夏ちゃん、お待たせして申し訳ないのです」
ぺこり、と南雲が牟田に頭を下げる。
牟田はにこにこと笑いながら、南雲の桜色の髪を撫でた。
「いや、いいさ。気にしてないよ。しかし君は今日も頭のてっぺんから爪先まで可愛いねえ。今どんなパンツ履いてるんだい?」
「流れるようにセクハラ発言するなよお前は……」
ふと、別の声が降って来た。
同時に、牟田が南雲から引き剥がされる。
牟田の後ろには、黒髪短髪の質素な顔立ちの、背の高い男子生徒が立っていた。
こいつの名前は志久次郎。
牟田と同じく俺のクラスメイトだ。
志久は俺の記憶によるとバスケ部所属で……確か、牟田の彼氏だった筈。
「何だ、嫉妬かね? しくじろー。男の嫉妬はみっともないゾっ」
「その呼び方やめろよ……やれやれ、お前は全く……」
志久が頭を抱えて、溜息を吐く。
――嫉妬。
その言葉が、妙に頭に引っ掛かった。
南雲と親しげに会話する牟田、南雲に当たり前のように触れる牟田。
南雲は、俺にとってやっとできた友達で、たった一人で。
でも、南雲にとってはそうじゃない。
俺は――今、嫉妬している、のか?
「……ん? 神室か。南雲と一緒に居るのは珍しいな」
志久の意識が俺に向く。
相手がスポーツマンと言うことで、俺はつい警戒心を剥き出しにしてしまった。
何せ、俺は運動がほとんど出来ないのだ、悲しくなるくらいに。
俺は、じりじりと志久達から後ずさり――。
「……っく」
「く?」
「くはははははは!」
――また、怪しげな高笑いを始めた。
「どうやら闇の王の封印が解かれたらしいな、組織の奴らは俺をまたしても狙ってくるだろう! じゃあな貴様ら! 俺は戦場へと赴くぜ!」
ああ、俺の馬鹿。
どうしていつもこう奇行に走るんだろう。
そう思いながらも俺は駆け足で教室を飛び出す。
でも、去り際に。
「神室くん」
南雲が、俺の名前を呼んで。
「また明日、なのです」
にこり、と笑って軽く手を振ってくれたものだから。
心臓がぎゅっと苦しくなる。
俺はあまりのことに反応すらできなくて、結局無視するような形で廊下を全力疾走した。
本当、俺は馬鹿だ。
果たして、あんなに優しい南雲とこんな愚かな俺は対等な友達になれるのだろうか。
そんな不安が、胸の奥で渦巻いていた。
「……何から始めましょうか」
「は?」
握手を交わした後、唐突に南雲はぽつりとそんな言葉を漏らした。
南雲の眉が、やや困ったように下がっている。
「神室くんとしたいことがいっぱいありすぎて、何からすればいいのかわからないのです」
したいこと。
南雲が、俺としたいこと。
……と言うと、あのノートに書いてあった事柄を指すんだろう、きっと。
しかし、そんなこと俺に聞かれても困ると言うか何と言うか。
むしろ俺が聞きたいくらいだ。
友達としたいこと?
友達ができると言うリハーサルを今まで一切してこなかったから全然わかんねえぞ?
どうする?
どうすればいい俺!?
冷や汗がだらだらと首筋を伝う。
緊張が一気に押し寄せて来て、危うくパニック寸前――、のその時だった。
「椋ー!! 遅いぞー!!」
明るい声と共に、教室に一人の女子生徒が飛び込んで来た。
長い黒髪をポニーテールに括った、制服ではなくジャージを纏った活発そうな出で立ち。
同じクラスの牟田美夏だ。
話したことはないが、なかなかに変わり者で……あと、南雲と一緒に居るのを良く見るかもしれない。
友達、なのだろうか。
「美夏ちゃん、お待たせして申し訳ないのです」
ぺこり、と南雲が牟田に頭を下げる。
牟田はにこにこと笑いながら、南雲の桜色の髪を撫でた。
「いや、いいさ。気にしてないよ。しかし君は今日も頭のてっぺんから爪先まで可愛いねえ。今どんなパンツ履いてるんだい?」
「流れるようにセクハラ発言するなよお前は……」
ふと、別の声が降って来た。
同時に、牟田が南雲から引き剥がされる。
牟田の後ろには、黒髪短髪の質素な顔立ちの、背の高い男子生徒が立っていた。
こいつの名前は志久次郎。
牟田と同じく俺のクラスメイトだ。
志久は俺の記憶によるとバスケ部所属で……確か、牟田の彼氏だった筈。
「何だ、嫉妬かね? しくじろー。男の嫉妬はみっともないゾっ」
「その呼び方やめろよ……やれやれ、お前は全く……」
志久が頭を抱えて、溜息を吐く。
――嫉妬。
その言葉が、妙に頭に引っ掛かった。
南雲と親しげに会話する牟田、南雲に当たり前のように触れる牟田。
南雲は、俺にとってやっとできた友達で、たった一人で。
でも、南雲にとってはそうじゃない。
俺は――今、嫉妬している、のか?
「……ん? 神室か。南雲と一緒に居るのは珍しいな」
志久の意識が俺に向く。
相手がスポーツマンと言うことで、俺はつい警戒心を剥き出しにしてしまった。
何せ、俺は運動がほとんど出来ないのだ、悲しくなるくらいに。
俺は、じりじりと志久達から後ずさり――。
「……っく」
「く?」
「くはははははは!」
――また、怪しげな高笑いを始めた。
「どうやら闇の王の封印が解かれたらしいな、組織の奴らは俺をまたしても狙ってくるだろう! じゃあな貴様ら! 俺は戦場へと赴くぜ!」
ああ、俺の馬鹿。
どうしていつもこう奇行に走るんだろう。
そう思いながらも俺は駆け足で教室を飛び出す。
でも、去り際に。
「神室くん」
南雲が、俺の名前を呼んで。
「また明日、なのです」
にこり、と笑って軽く手を振ってくれたものだから。
心臓がぎゅっと苦しくなる。
俺はあまりのことに反応すらできなくて、結局無視するような形で廊下を全力疾走した。
本当、俺は馬鹿だ。
果たして、あんなに優しい南雲とこんな愚かな俺は対等な友達になれるのだろうか。
そんな不安が、胸の奥で渦巻いていた。
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