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第四話『コイゴコロはむずかしい』
その3 こういうのはイチャイチャに入るのだろうか
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★つぐむく。~中二病と不思議ちゃん~ 第四話『コイゴコロはむずかしい』その3 こういうのはイチャイチャに入るのだろうか
椋と初めて、二人で弁当を食べることになって。
友達と弁当を食べることなんて久々だし、女の子と弁当を食べることなんて初めてなので俺がどぎまぎしていると、椋が首を傾げた。
「鶫くん、鶫くん」
「え、へ。ど……どうした?」
無邪気に名前を呼ばれ、俺はどきっとしながらちょっと間抜けな声を上げた。
もう少しこの緊張を、浮かれっぷりを隠せれば良かったのだが、どうも上手くいかない。
いっそいつもの中二病キャラが降臨してほしかったが、せっかくの椋との時間をそんなアホみたいなもんに邪魔なんてされたくなくて。
俺がぐるぐると悩んでいる間にも、椋は質問を続けてくる。
「鶫くんのお弁当は、どんなお弁当なのですか?」
弁当。
椋の言葉に、自分の机に置かれていたシンプルな四角い弁当箱を見つめてみる。
蓋を開け、ふむ、と少し思案してしまう。
どんな、と言われてもコメントに困るからだ。
「いや……普通に母さんが作ってくれた……彩り良し、バランス良しの弁当だ」
そうとしか言えない。
ご飯と、おかずの肉料理が二品ほど、あと野菜、卵焼き。
どこにでもありがちな、ごく普通の弁当。
……いや。
普通、だなんて言い方は、良くなかったかもしれない。
だって俺一人じゃ、朝早く起きてこんな弁当は作れない。
俺、料理とかあんまりできねえし。
この弁当は母さんが俺の為に作ってくれた、大事な弁当なんだよな。
包帯まみれで、中二キャラをずるずる続ける俺との接し方に困った様子を見せつつも、親として世話を焼いてくれる母さん。
……やべえ、自分が凄くかっこ悪く思えてきた。
いつか、親孝行、とかできんのかな。
「……なんて、作ってもらってばっかりとか、この歳で母さんに甘えっぱなしなのは情けないけどな」
自嘲気味にそう零すと、椋はふるふると首を横に振った。
桜色のおさげが揺れて、少しどきりとする。
「そんなことないのです。椋もお母さんにお弁当作ってもらっています」
そうなのか。
椋の家は、家族仲とか、良好なのかな。
いつか、椋の家族の話とか、ちゃんと聞けるのだろうか。
そこまで踏み込んだ、とても仲の良い友達に、俺たちはなれるのだろうか。
ちょっと期待で胸を膨らませていると、椋が何かに気付いたように箸で自分の弁当箱から唐揚げを摘んだ。
丸っこい、ピンク色の可愛らしいお弁当箱。
椋の雰囲気に良く似合うデザインに、またしてもどきりとする。
「……あ、でも、この唐揚げだけは、椋もお手伝いしたのです」
「そうなのか? 凄いな」
「えへへ、ありがとうございます」
照れたように、椋が笑う。
椋の笑顔はいつも可愛くて、その度に俺の心臓は色々と限界値を突破するわけだが、そのことに椋は気付いているのだろうか。
「はい。鶫くん」
「……ん?」
俺が無駄にどぎまぎしているうちに、椋は摘んだ唐揚げを俺に差し出していた。
これは、どういうことだろうか。
「良かったら、鶫くんにも食べてみてほしいのです」
「へ?」
「はい、あーん」
どかん、と自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
言葉を失う俺に対して、椋はきょとんと目を丸くしている。
こいつ、こいつ、無自覚か、無自覚なんだよな。
あーんって、あーんって、これじゃ、恋人みたいだろ。
俺は完全にパニック状態だったのだが、僅かに残った理性がこのまま椋を放置していては悪いと必死に呼び掛けてくる。
これは、これは、あーんしても良いのか、許されるのか。
かなり迷ったが、だいぶ迷ったが。
椋が、僅かに不安そうな表情を浮かべていることに気付いて、俺は意を決して。
ぱくり、と唐揚げを口に含み、もぐもぐと咀嚼した。
てっきり緊張して味なんてわからないと思ったが、意外とわかるもんだ。
ちょっとしょっぱいけど、味濃いけど、かなり美味い。
「どうですか?」
「え、あ、う……美味い」
「……えへへ、嬉しいのです」
椋が笑って、ぱく、とトマトを自分の口に運ぶ。
それから、何かを決意したかのように片手をぎゅっと結んだ。
「鶫くんに食べてもらえるなら、椋、もっとお料理頑張ります」
……俺はこの先の人生で、何回、椋にときめけば良いのだろう。
ちょっと、途方に暮れそうになった。
椋と初めて、二人で弁当を食べることになって。
友達と弁当を食べることなんて久々だし、女の子と弁当を食べることなんて初めてなので俺がどぎまぎしていると、椋が首を傾げた。
「鶫くん、鶫くん」
「え、へ。ど……どうした?」
無邪気に名前を呼ばれ、俺はどきっとしながらちょっと間抜けな声を上げた。
もう少しこの緊張を、浮かれっぷりを隠せれば良かったのだが、どうも上手くいかない。
いっそいつもの中二病キャラが降臨してほしかったが、せっかくの椋との時間をそんなアホみたいなもんに邪魔なんてされたくなくて。
俺がぐるぐると悩んでいる間にも、椋は質問を続けてくる。
「鶫くんのお弁当は、どんなお弁当なのですか?」
弁当。
椋の言葉に、自分の机に置かれていたシンプルな四角い弁当箱を見つめてみる。
蓋を開け、ふむ、と少し思案してしまう。
どんな、と言われてもコメントに困るからだ。
「いや……普通に母さんが作ってくれた……彩り良し、バランス良しの弁当だ」
そうとしか言えない。
ご飯と、おかずの肉料理が二品ほど、あと野菜、卵焼き。
どこにでもありがちな、ごく普通の弁当。
……いや。
普通、だなんて言い方は、良くなかったかもしれない。
だって俺一人じゃ、朝早く起きてこんな弁当は作れない。
俺、料理とかあんまりできねえし。
この弁当は母さんが俺の為に作ってくれた、大事な弁当なんだよな。
包帯まみれで、中二キャラをずるずる続ける俺との接し方に困った様子を見せつつも、親として世話を焼いてくれる母さん。
……やべえ、自分が凄くかっこ悪く思えてきた。
いつか、親孝行、とかできんのかな。
「……なんて、作ってもらってばっかりとか、この歳で母さんに甘えっぱなしなのは情けないけどな」
自嘲気味にそう零すと、椋はふるふると首を横に振った。
桜色のおさげが揺れて、少しどきりとする。
「そんなことないのです。椋もお母さんにお弁当作ってもらっています」
そうなのか。
椋の家は、家族仲とか、良好なのかな。
いつか、椋の家族の話とか、ちゃんと聞けるのだろうか。
そこまで踏み込んだ、とても仲の良い友達に、俺たちはなれるのだろうか。
ちょっと期待で胸を膨らませていると、椋が何かに気付いたように箸で自分の弁当箱から唐揚げを摘んだ。
丸っこい、ピンク色の可愛らしいお弁当箱。
椋の雰囲気に良く似合うデザインに、またしてもどきりとする。
「……あ、でも、この唐揚げだけは、椋もお手伝いしたのです」
「そうなのか? 凄いな」
「えへへ、ありがとうございます」
照れたように、椋が笑う。
椋の笑顔はいつも可愛くて、その度に俺の心臓は色々と限界値を突破するわけだが、そのことに椋は気付いているのだろうか。
「はい。鶫くん」
「……ん?」
俺が無駄にどぎまぎしているうちに、椋は摘んだ唐揚げを俺に差し出していた。
これは、どういうことだろうか。
「良かったら、鶫くんにも食べてみてほしいのです」
「へ?」
「はい、あーん」
どかん、と自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
言葉を失う俺に対して、椋はきょとんと目を丸くしている。
こいつ、こいつ、無自覚か、無自覚なんだよな。
あーんって、あーんって、これじゃ、恋人みたいだろ。
俺は完全にパニック状態だったのだが、僅かに残った理性がこのまま椋を放置していては悪いと必死に呼び掛けてくる。
これは、これは、あーんしても良いのか、許されるのか。
かなり迷ったが、だいぶ迷ったが。
椋が、僅かに不安そうな表情を浮かべていることに気付いて、俺は意を決して。
ぱくり、と唐揚げを口に含み、もぐもぐと咀嚼した。
てっきり緊張して味なんてわからないと思ったが、意外とわかるもんだ。
ちょっとしょっぱいけど、味濃いけど、かなり美味い。
「どうですか?」
「え、あ、う……美味い」
「……えへへ、嬉しいのです」
椋が笑って、ぱく、とトマトを自分の口に運ぶ。
それから、何かを決意したかのように片手をぎゅっと結んだ。
「鶫くんに食べてもらえるなら、椋、もっとお料理頑張ります」
……俺はこの先の人生で、何回、椋にときめけば良いのだろう。
ちょっと、途方に暮れそうになった。
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