61 / 150
第三章:鬼の貌(かんばせ)、人の心
第六十一話:隠れ里の異変
しおりを挟む
蝕組の頭領・影との対峙は、まさしく宣戦布告であった。
影は自らの目的を語り、玄庵の過去を抉り、その上で姿を消した。
村に蔓延した穢れは玄庵と竜胆の共闘によって浄化され、村人たちも回復に向かっているものの、影の存在と、彼が玄庵の過去に深く関わる人物であるという事実は、玄庵の心に深い影を落としていた。
玄庵と一行は、一旦鬼灯横丁の診療所へと戻っていた。
診療所の奥で、玄庵は静かに薬草を調合していた。その手つきは普段と変わらないものの、彼の周りにはどこか重い空気が漂っている。おみつは、そんな玄庵を心配そうに見守っていた。
「先生、本当に大丈夫ですか? あの……影という人は……」
おみつが問いかけると、玄庵はゆっくりと手を止めた。
「……今は、何も言えぬ」
彼の言葉には、深い葛藤が滲んでいた。おそらく、影の存在は、玄庵にとって最も触れたくない過去と直結しているのだろう。
影が告げた「裏切り」の言葉の意味も、玄庵の心に重くのしかかっている。
その時、診療所の戸が激しく叩かれた。古尾が慌てた様子で飛び込んできた。
「玄庵先生! おみつさん! また、厄介な知らせでさぁ!」
古尾の顔は、いつになく真剣だった。普段の彼からは想像できないほどの緊迫した様子に、玄庵とおみつは顔を見合わせた。
「どうした、古尾。慌てるな」
玄庵が冷静に促すも、古尾は息を切らしながら続けた。
「蝕組のやつらが、新たな動きを見せているんでさぁ! 先生と縁の深い、山奥の妖怪たちの隠れ里で……異変が起きているそうでさぁ!」
古尾の言葉に、玄庵の瞳が大きく見開かれた。
隠れ里とは、人間界から隔絶された、妖怪たちが平和に暮らす秘境だ。そこは、玄庵がかつて身を寄せていた場所でもあると、古尾から聞いたことがあった。
「異変だと? 詳しく話せ」
玄庵の声に、焦りの色が混じった。彼の表情が、一瞬にして険しくなる。
「里に、原因不明の病が蔓延しているそうでさぁ。妖怪たちが次々と衰弱し、中には消滅してしまう者までいるとか……」
古尾の報告は、さらに衝撃的なものだった。妖怪が「病」にかかり、消滅する。それは、通常の妖怪の世界ではありえないことだ。
「そして……その病の原因が、どうやら『穢れ』の類らしいんでさぁ。蝕組の魔の手が、ついに隠れ里にも伸びてきたんでさぁ!」
古尾の言葉に、おみつは息を呑んだ。蝕組は、玄庵の力を狙うだけでなく、人間界の秩序を乱し、さらには妖怪たちの世界までも侵食しようとしているのか。
玄庵は、その場で深く考え込んだ。彼の眉間には、深い皺が刻まれている。
隠れ里は、彼にとって大切な場所だった。そこは、彼が「鬼」の力に苦しみ、居場所を失いかけていた時に、暖かく迎え入れてくれた場所だ。そこに暮らす妖怪たちは、彼にとって家族のような存在だった。
「……蝕組の狙いは、私だけではない。この世の全ての均衡を破壊しようとしているのか」
玄庵は、低い声で呟いた。彼の言葉には、怒りと、そして深い決意が滲んでいた。
「先生、どうするんですか?」
おみつが問いかけると、玄庵はまっすぐにおみつの目を見つめた。
「行く。隠れ里へ」
彼の言葉には、一切の迷いがなかった。隠れ里の異変は、もはや他人事ではない。蝕組の野望を止めるため、そして大切な仲間たちを守るため、彼は自ら隠れ里へと赴くことを決意したのだ。
「しかし先生……あの影との対峙で、まだあの力を使いすぎた後の回復途中で……」
古尾が心配そうに言った。あの夜の激しい戦いで、玄庵の身体にはまだ大きな負担が残っているはずだ。
「悠長に構えている暇はない。奴らは、私が動けないと見て、一気に隠れ里を狙ったのだろう。今行かねば、手遅れになる」
玄庵の決断は固かった。彼の表情には、これまで以上に強い覚悟が宿っている。
「では、私も行きます!」
おみつが迷うことなく言った。玄庵を一人で行かせることなど、彼女にはできなかった。彼の傍にいて、彼を支えたいという思いが、彼女を突き動かす。
玄庵は、おみつのその言葉に、静かに頷いた。彼の表情には、おみつの決意に対する感謝と、確かな信頼が浮かんでいた。
「おみつさんは、まだ人間界の知識しか持ち合わせていないから、隠れ里は危険でさぁ。せめて、拙者が案内を……」
古尾は、おみつを心配し、同行を申し出た。
「古尾、お前がいてくれると助かる。里までの道のりは、私も久しく通っていないからな」
玄庵も古尾の同行を認めた。彼らは、隠れ里への旅立ちの準備を始める。
玉藻は、玄庵の足元に擦り寄ると、にゃあ、と鳴いた。その瞳には、強い意志が宿っている。
「玉藻もか。……わかった。お前も来るか」
玄庵は、玉藻の意思を汲み取った。玉藻は、彼らの古くからの仲間であり、この旅には欠かせない存在になるだろう。
江戸の町に残された診療所は、一時的に閉鎖されることになる。だが、彼らが戻ってくるまで、町の人々が混乱に陥らないよう、楓やおみつの家族には、信頼できる知人を介して玄庵からの伝言が届けられた。
夜が明け、朝焼けが空を染め始める頃、玄庵とおみつ、古尾、そして玉藻の一行は、鬼灯横丁の診療所を後にした。彼らの顔には、それぞれ異なる思いが浮かんでいた。
玄庵の瞳には、友を救い、蝕組の野望を打ち砕くという、揺るぎない決意が宿っている。
おみつの瞳には、彼を支え、共に戦い抜くという、確かな覚悟が輝いている。
古尾の表情には、一抹の不安と、しかし玄庵への深い信頼が混じり合っている。
そして玉藻は、静かに彼らを見守り、その行く末を案じているようだった。
彼らが向かうのは、穢れに侵された妖怪たちの隠れ里。
それは、玄庵の過去に深く関わる場所であり、蝕組との最終決戦へと繋がる、新たな旅の始まりだった。
影は自らの目的を語り、玄庵の過去を抉り、その上で姿を消した。
村に蔓延した穢れは玄庵と竜胆の共闘によって浄化され、村人たちも回復に向かっているものの、影の存在と、彼が玄庵の過去に深く関わる人物であるという事実は、玄庵の心に深い影を落としていた。
玄庵と一行は、一旦鬼灯横丁の診療所へと戻っていた。
診療所の奥で、玄庵は静かに薬草を調合していた。その手つきは普段と変わらないものの、彼の周りにはどこか重い空気が漂っている。おみつは、そんな玄庵を心配そうに見守っていた。
「先生、本当に大丈夫ですか? あの……影という人は……」
おみつが問いかけると、玄庵はゆっくりと手を止めた。
「……今は、何も言えぬ」
彼の言葉には、深い葛藤が滲んでいた。おそらく、影の存在は、玄庵にとって最も触れたくない過去と直結しているのだろう。
影が告げた「裏切り」の言葉の意味も、玄庵の心に重くのしかかっている。
その時、診療所の戸が激しく叩かれた。古尾が慌てた様子で飛び込んできた。
「玄庵先生! おみつさん! また、厄介な知らせでさぁ!」
古尾の顔は、いつになく真剣だった。普段の彼からは想像できないほどの緊迫した様子に、玄庵とおみつは顔を見合わせた。
「どうした、古尾。慌てるな」
玄庵が冷静に促すも、古尾は息を切らしながら続けた。
「蝕組のやつらが、新たな動きを見せているんでさぁ! 先生と縁の深い、山奥の妖怪たちの隠れ里で……異変が起きているそうでさぁ!」
古尾の言葉に、玄庵の瞳が大きく見開かれた。
隠れ里とは、人間界から隔絶された、妖怪たちが平和に暮らす秘境だ。そこは、玄庵がかつて身を寄せていた場所でもあると、古尾から聞いたことがあった。
「異変だと? 詳しく話せ」
玄庵の声に、焦りの色が混じった。彼の表情が、一瞬にして険しくなる。
「里に、原因不明の病が蔓延しているそうでさぁ。妖怪たちが次々と衰弱し、中には消滅してしまう者までいるとか……」
古尾の報告は、さらに衝撃的なものだった。妖怪が「病」にかかり、消滅する。それは、通常の妖怪の世界ではありえないことだ。
「そして……その病の原因が、どうやら『穢れ』の類らしいんでさぁ。蝕組の魔の手が、ついに隠れ里にも伸びてきたんでさぁ!」
古尾の言葉に、おみつは息を呑んだ。蝕組は、玄庵の力を狙うだけでなく、人間界の秩序を乱し、さらには妖怪たちの世界までも侵食しようとしているのか。
玄庵は、その場で深く考え込んだ。彼の眉間には、深い皺が刻まれている。
隠れ里は、彼にとって大切な場所だった。そこは、彼が「鬼」の力に苦しみ、居場所を失いかけていた時に、暖かく迎え入れてくれた場所だ。そこに暮らす妖怪たちは、彼にとって家族のような存在だった。
「……蝕組の狙いは、私だけではない。この世の全ての均衡を破壊しようとしているのか」
玄庵は、低い声で呟いた。彼の言葉には、怒りと、そして深い決意が滲んでいた。
「先生、どうするんですか?」
おみつが問いかけると、玄庵はまっすぐにおみつの目を見つめた。
「行く。隠れ里へ」
彼の言葉には、一切の迷いがなかった。隠れ里の異変は、もはや他人事ではない。蝕組の野望を止めるため、そして大切な仲間たちを守るため、彼は自ら隠れ里へと赴くことを決意したのだ。
「しかし先生……あの影との対峙で、まだあの力を使いすぎた後の回復途中で……」
古尾が心配そうに言った。あの夜の激しい戦いで、玄庵の身体にはまだ大きな負担が残っているはずだ。
「悠長に構えている暇はない。奴らは、私が動けないと見て、一気に隠れ里を狙ったのだろう。今行かねば、手遅れになる」
玄庵の決断は固かった。彼の表情には、これまで以上に強い覚悟が宿っている。
「では、私も行きます!」
おみつが迷うことなく言った。玄庵を一人で行かせることなど、彼女にはできなかった。彼の傍にいて、彼を支えたいという思いが、彼女を突き動かす。
玄庵は、おみつのその言葉に、静かに頷いた。彼の表情には、おみつの決意に対する感謝と、確かな信頼が浮かんでいた。
「おみつさんは、まだ人間界の知識しか持ち合わせていないから、隠れ里は危険でさぁ。せめて、拙者が案内を……」
古尾は、おみつを心配し、同行を申し出た。
「古尾、お前がいてくれると助かる。里までの道のりは、私も久しく通っていないからな」
玄庵も古尾の同行を認めた。彼らは、隠れ里への旅立ちの準備を始める。
玉藻は、玄庵の足元に擦り寄ると、にゃあ、と鳴いた。その瞳には、強い意志が宿っている。
「玉藻もか。……わかった。お前も来るか」
玄庵は、玉藻の意思を汲み取った。玉藻は、彼らの古くからの仲間であり、この旅には欠かせない存在になるだろう。
江戸の町に残された診療所は、一時的に閉鎖されることになる。だが、彼らが戻ってくるまで、町の人々が混乱に陥らないよう、楓やおみつの家族には、信頼できる知人を介して玄庵からの伝言が届けられた。
夜が明け、朝焼けが空を染め始める頃、玄庵とおみつ、古尾、そして玉藻の一行は、鬼灯横丁の診療所を後にした。彼らの顔には、それぞれ異なる思いが浮かんでいた。
玄庵の瞳には、友を救い、蝕組の野望を打ち砕くという、揺るぎない決意が宿っている。
おみつの瞳には、彼を支え、共に戦い抜くという、確かな覚悟が輝いている。
古尾の表情には、一抹の不安と、しかし玄庵への深い信頼が混じり合っている。
そして玉藻は、静かに彼らを見守り、その行く末を案じているようだった。
彼らが向かうのは、穢れに侵された妖怪たちの隠れ里。
それは、玄庵の過去に深く関わる場所であり、蝕組との最終決戦へと繋がる、新たな旅の始まりだった。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】『からくり長屋の事件帖 ~変わり発明家甚兵衛と江戸人情お助け娘お絹~』
月影 朔
歴史・時代
江戸の長屋から、奇妙な事件を解き明かす! 発明家と世話焼き娘の、笑えて泣ける人情捕物帖!
江戸、とある長屋に暮らすは、風変わりな男。
名を平賀甚兵衛。元武士だが堅苦しさを嫌い、町の発明家として奇妙なからくり作りに没頭している。作る道具は役立たずでも、彼の頭脳と観察眼は超一流。人付き合いは苦手だが、困った人は放っておけない不器用な男だ。
そんな甚兵衛の世話を焼くのは、隣に住む快活娘のお絹。仕立て屋で働き、誰からも好かれる彼女は、甚兵衛の才能を信じ、持ち前の明るさと人脈で町の様々な情報を集めてくる。
この凸凹コンビが立ち向かうのは、岡っ引きも首をひねる不可思議な事件の数々。盗まれた品が奇妙に戻る、摩訶不思議な悪戯が横行する…。甚兵衛はからくり知識と観察眼で、お絹は人情と情報網で、難事件の謎を解き明かしていく!
これは、痛快な謎解きでありながら、不器用な二人や長屋の人々の温かい交流、そして甚兵衛の隠された過去が織りなす人間ドラマの物語。
時には、発明品が意外な鍵となることも…?
笑いあり、涙あり、そして江戸を揺るがす大事件の予感も――。
からくり長屋で巻き起こる、江戸情緒あふれる事件帖、開幕!
【完結】『江戸一番の菓子屋と嘘つき娘』
月影 朔
歴史・時代
江戸日本橋の片隅に佇む、小さな甘味処「春告鳥」。
そこで看板娘として働くおみえは、笑顔と真心で客を迎える、明るく評判の娘だ。
しかし彼女には、誰にも言えぬ秘密があった――
おみえは、心優しき店主夫婦に拾われた孤児なのだ。
その恩に報いるため、大好きなこの店を守るため、「江戸一番」の味を守るため、おみえは必死にもがく。
これは、秘密と嘘を抱えた一人の娘が、逆境の中で真心と向き合い、家族や仲間との絆を通して成長していく感動の物語。
おみえは、大切な春告鳥を守り抜くことができるのか?
彼女のついた嘘は、吉と出るか、それとも凶と出るか?
江戸の町を舞台に繰り広げられる、涙と笑顔の人情譚。
【完結】『江戸めぐり ご馳走道中 ~お香と文吉の東海道味巡り~』
月影 朔
歴史・時代
読めばお腹が減る!食と人情の東海道味巡り、開幕!
自由を求め家を飛び出した、食い道楽で腕っぷし自慢の元武家娘・お香。
料理の知識は確かだが、とある事件で自信を失った気弱な元料理人・文吉。
正反対の二人が偶然出会い、共に旅を始めたのは、天下の街道・東海道!
行く先々の宿場町で二人が出会うのは、その土地ならではの絶品ご当地料理や豊かな食材、そして様々な悩みを抱えた人々。
料理を巡る親子喧嘩、失われた秘伝の味、食材に隠された秘密、旅人たちの些細な揉め事まで――
お香の持ち前の豪快な行動力と、文吉の豊富な食の知識、そして二人の「料理」の力が、人々の閉ざされた心を開き、事件を解決へと導いていきます。時にはお香の隠された剣の腕が炸裂することも…!?
読めば目の前に湯気立つ料理が見えるよう!
香りまで伝わるような鮮やかな料理描写、笑いと涙あふれる人情ドラマ、そして個性豊かなお香と文吉のやり取りに、ページをめくる手が止まらない!
旅の目的は美味しいものを食べること? それとも過去を乗り越えること?
二人の絆はどのように深まっていくのか。そして、それぞれが抱える過去の謎も、旅と共に少しずつ明らかになっていきます。
笑って泣けて、お腹が空く――新たな食時代劇ロードムービー、ここに開幕!
さあ、お香と文吉と一緒に、舌と腹で東海道五十三次を旅しましょう!
【完結】新・信長公記 ~ 軍師、呉学人(ごがくじん)は間違えない? ~
月影 流詩亜
歴史・時代
その男、失敗すればするほど天下が近づく天才軍師? 否、只のうっかり者
天運は、緻密な計算に勝るのか?
織田信長の天下布武を支えたのは、二人の軍師だった。
一人は、“今孔明”と謳われる天才・竹中半兵衛。
そしてもう一人は、致命的なうっかり者なのに、なぜかその失敗が奇跡的な勝利を呼ぶ男、“誤先生”こと呉学人。
これは、信長も、秀吉も、家康も、そして半兵衛さえもが盛大に勘違いした男が、歴史を「良い方向」にねじ曲げてしまう、もう一つの戦国史である。
※ 表紙絵はGeminiさんに描いてもらいました。
https://g.co/gemini/share/fc9cfdc1d751
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
対米戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。
そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。
3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。
小説家になろうで、先行配信中!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる