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プロローグ 【ローズ】
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はぁっ……はぁっ……
心臓が破れそう。
どれくらいの間、走り続けたんだろう。
深い森の中で、止まることを許されず、ドレスの裾を握り、ただただ走り続けた。
ばたばたと慌ただしい複数の足音にさらに焦りが募る。
「どこか、隠れる場所……」
これは鬼ごっこ。
それも、人生を賭けた鬼ごっこ。
捕まればきっともう逃げられない。
どうしてこんなことになった。
シナリオと違う。
この世界のキャラクターにヤンデレなんていなかったはずなのに。
どうして……。
悩むな。泣くな。
そんな暇があるなら、足を動かせ。
だが、長時間走ることに慣れていないこの足は地面から剥き出しになった木の根にさえ対応できず、つま先を引っかけてしまった。
あっと思った時には派手に倒れていた。
体中が痛い。
でも、立って。
痛みで思うように動かない体を無理やり動かそうと足掻く。
「あぁーあ」
突然頭上から聞こえた声に体が震えた。
なんで、どうして……。
もう、見つかった……。
目の前には見慣れた高級そうなブーツ。
「泥だらけじゃないか。帰ったらまず湯浴みをしないとね」
おそるおそる顔を上げる。
そこには瞳に妖しい光を宿して笑う黒髪の男が立っていた。
「あ……ウィリアム様……」
「ローズ、鬼ごっこは楽しかった?でも残念、そろそろ帰ろう。君の負け。ゲームオーバーだ」
「いやっ……いやよっ……」
「困った子だね。いきなり婚約解消を言い出したり、脱走したり」
笑みが深くなる。
その笑みが恐怖を煽る。
「ウィリアム様……違うの……私じゃない……あなたの運命の人は私じゃないの!」
「運命の人?」
ウィリアムは泥で汚れるのも構わず倒れたままのローズに目線を合わせるため片膝をついた。
「そんなの君以外に誰がいるっていうんだい?」
かつては画面の中で恋焦がれた人。
あの頃と変わらずその笑顔は美しい。
けれどその歪んだ愛情は前世の自分が知るものではなかった。
心臓が破れそう。
どれくらいの間、走り続けたんだろう。
深い森の中で、止まることを許されず、ドレスの裾を握り、ただただ走り続けた。
ばたばたと慌ただしい複数の足音にさらに焦りが募る。
「どこか、隠れる場所……」
これは鬼ごっこ。
それも、人生を賭けた鬼ごっこ。
捕まればきっともう逃げられない。
どうしてこんなことになった。
シナリオと違う。
この世界のキャラクターにヤンデレなんていなかったはずなのに。
どうして……。
悩むな。泣くな。
そんな暇があるなら、足を動かせ。
だが、長時間走ることに慣れていないこの足は地面から剥き出しになった木の根にさえ対応できず、つま先を引っかけてしまった。
あっと思った時には派手に倒れていた。
体中が痛い。
でも、立って。
痛みで思うように動かない体を無理やり動かそうと足掻く。
「あぁーあ」
突然頭上から聞こえた声に体が震えた。
なんで、どうして……。
もう、見つかった……。
目の前には見慣れた高級そうなブーツ。
「泥だらけじゃないか。帰ったらまず湯浴みをしないとね」
おそるおそる顔を上げる。
そこには瞳に妖しい光を宿して笑う黒髪の男が立っていた。
「あ……ウィリアム様……」
「ローズ、鬼ごっこは楽しかった?でも残念、そろそろ帰ろう。君の負け。ゲームオーバーだ」
「いやっ……いやよっ……」
「困った子だね。いきなり婚約解消を言い出したり、脱走したり」
笑みが深くなる。
その笑みが恐怖を煽る。
「ウィリアム様……違うの……私じゃない……あなたの運命の人は私じゃないの!」
「運命の人?」
ウィリアムは泥で汚れるのも構わず倒れたままのローズに目線を合わせるため片膝をついた。
「そんなの君以外に誰がいるっていうんだい?」
かつては画面の中で恋焦がれた人。
あの頃と変わらずその笑顔は美しい。
けれどその歪んだ愛情は前世の自分が知るものではなかった。
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