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裏の開閉
黄昏の国家22
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角安と新倉との間に、多分、間違いなく大きな金が動いている。
これがオーイックスの状況に照らし合わされて責任を戻されては、オーイックスの存続自体に傷をつけかねない。
機密隊の隠密行動も確かだが、もっと正確な情報を得る必要性がある。
高沢は角安に直通回線で連絡をとる事にした。
しかし、幾ら待っても回線は不通の状態である。これは多分、高沢の連絡を事前に察知して回線を切っているのだろう。
新倉とは二度程会っただけで、特に親しいわけでもない。
しかし、どうしても新倉の口からも聞き出したい事がある。
もし賄賂で角安を留めて居るとしたら、許せる筈はない。
途方もない怒りが込み上げてくる。それを抑えながら、高沢は無理を承知で川崎副総理の秘書である内村奈々に連絡をとる事にする。
多分、門前払いだろう。それでも何も行動しないよりかはましだ。
電子回線にてオーイックス総裁、高沢と強調するとともに角安と新倉の蜜月を匂わせるニュアンスで通信データを送った。
十分、三十分、時間だけが過ぎていくようだった。
こんな時の時間の流れは、非常にゆっくりと進む感覚に陥る。
一時間半が経過した時だった。高沢は半場諦め、次の方法がないか模索するが、之と言った妙案もない。
この時、暗殺された杉本を思い浮かべた。彼は非常に優秀だった。こんな懸念を相談出来る一途な部下だった。誰か話の出来る人物を擁したが、トップとなるとこれは一種の孤独になるのだろうか。
ふと思い当たってSNマネージャーの春本新規を電子ペーパーで呼び出した。
直ぐに応答がある。流石だ。「お呼びですか、リュクスタ」
「すまん、春本。実は…」事の真相を詳細に述べた。
「判りました。只、副総理とその秘書に連絡を取るというのは賛成です。しかしながら相手は政府高官、一筋縄ではいけないでしょう」
最もな意見だった。まずは川崎副総理ではなく、やはりその秘書である内村であろう。
しかし丸一日連絡がない。これは脈なしとみて良いのではないか。そのあたりも話してみた。
「秘書の内村さんは私も存じ上げています。可成りのやり手で副総理からの期待も厚いと聞いております」
そうなのか。ならばダメもとでもう一度連絡を取ってみるか。
突然、赤子の鳴き声が電子ペーパー越しから聞こえてきた。
春本が突如謝った。「すいません、リュクスタ。今、家族で食事中だったのですが娘がちょっと…」
食事中だったのか。「こちらこそすまん。食事中に厄介事を連絡してしまった。申し訳ない」
高沢は部下の平時を侵犯したような、情けない感情に襲われた。
しかし春本は、微塵もそんな素振りを見せず、高沢にある提案を寄越した。
角安の現在の地位に押し上げたのは実際、川崎と言っても過言ではない。
その直属の部下、新倉武次官補が関わっている事は多分、間違いない。
その二人が、密約のような協定を結んだのは手に取るように分かる。
そこで、今一度、川崎の秘書である内村にその内容を通知するというものだった。
しかし確実性は高いが立証する証拠がない。
これは、一種の賭けになる。もし、賄賂などの取引が行われておらず高沢の読み違いであればどの道、オーイックスの沽券に係り運営に大きな支障をきたす。
その時であった。高沢の電子ペーパーの緊急回線に通知が入った。
内村奈々である。まさかと思ったが三日後の正午にて、東京は新宿の『階梯亭』という料亭にて『是非、お会いしたい、高沢殿だけでお出で頂きたく候』とだけ連絡を受け取る。
これは川崎の方でも、何か思いがある事案が発生したという事か。
高沢は春本にそのことを告げたが、高沢を罠に落とす攻略かも知れないと感潜る。が、どの道、賭けに出ねばならない。通知通り赴く事とした。
三日後、高沢は階梯亭の前に立っていた。
時間はあと五分で正午を指す。
料亭の女将らしい人物が出て来て、「お待ちしておりました。内村様がお待ちしております」と、案内をしてくれる。
どのように対処するかは三日前に春本と対策を練っていた。対策と言っても大したことではない。相手は内村一人とは限らない。
状況としては、高沢が非常に不利な立場にいる。
しかし、事の真相と今後の流れを良きものにする為にも通らなければならない道である。
その鍵を握る人物のいる部屋に通される。
女将が襖を開ける。そこには予想通り、内村ともう一人人物がいた。
其れも信じられない場所にいる、川崎であった。忽ち緊張が走った。
角安の取った行動同様、飲込まれるのか?
これがオーイックスの状況に照らし合わされて責任を戻されては、オーイックスの存続自体に傷をつけかねない。
機密隊の隠密行動も確かだが、もっと正確な情報を得る必要性がある。
高沢は角安に直通回線で連絡をとる事にした。
しかし、幾ら待っても回線は不通の状態である。これは多分、高沢の連絡を事前に察知して回線を切っているのだろう。
新倉とは二度程会っただけで、特に親しいわけでもない。
しかし、どうしても新倉の口からも聞き出したい事がある。
もし賄賂で角安を留めて居るとしたら、許せる筈はない。
途方もない怒りが込み上げてくる。それを抑えながら、高沢は無理を承知で川崎副総理の秘書である内村奈々に連絡をとる事にする。
多分、門前払いだろう。それでも何も行動しないよりかはましだ。
電子回線にてオーイックス総裁、高沢と強調するとともに角安と新倉の蜜月を匂わせるニュアンスで通信データを送った。
十分、三十分、時間だけが過ぎていくようだった。
こんな時の時間の流れは、非常にゆっくりと進む感覚に陥る。
一時間半が経過した時だった。高沢は半場諦め、次の方法がないか模索するが、之と言った妙案もない。
この時、暗殺された杉本を思い浮かべた。彼は非常に優秀だった。こんな懸念を相談出来る一途な部下だった。誰か話の出来る人物を擁したが、トップとなるとこれは一種の孤独になるのだろうか。
ふと思い当たってSNマネージャーの春本新規を電子ペーパーで呼び出した。
直ぐに応答がある。流石だ。「お呼びですか、リュクスタ」
「すまん、春本。実は…」事の真相を詳細に述べた。
「判りました。只、副総理とその秘書に連絡を取るというのは賛成です。しかしながら相手は政府高官、一筋縄ではいけないでしょう」
最もな意見だった。まずは川崎副総理ではなく、やはりその秘書である内村であろう。
しかし丸一日連絡がない。これは脈なしとみて良いのではないか。そのあたりも話してみた。
「秘書の内村さんは私も存じ上げています。可成りのやり手で副総理からの期待も厚いと聞いております」
そうなのか。ならばダメもとでもう一度連絡を取ってみるか。
突然、赤子の鳴き声が電子ペーパー越しから聞こえてきた。
春本が突如謝った。「すいません、リュクスタ。今、家族で食事中だったのですが娘がちょっと…」
食事中だったのか。「こちらこそすまん。食事中に厄介事を連絡してしまった。申し訳ない」
高沢は部下の平時を侵犯したような、情けない感情に襲われた。
しかし春本は、微塵もそんな素振りを見せず、高沢にある提案を寄越した。
角安の現在の地位に押し上げたのは実際、川崎と言っても過言ではない。
その直属の部下、新倉武次官補が関わっている事は多分、間違いない。
その二人が、密約のような協定を結んだのは手に取るように分かる。
そこで、今一度、川崎の秘書である内村にその内容を通知するというものだった。
しかし確実性は高いが立証する証拠がない。
これは、一種の賭けになる。もし、賄賂などの取引が行われておらず高沢の読み違いであればどの道、オーイックスの沽券に係り運営に大きな支障をきたす。
その時であった。高沢の電子ペーパーの緊急回線に通知が入った。
内村奈々である。まさかと思ったが三日後の正午にて、東京は新宿の『階梯亭』という料亭にて『是非、お会いしたい、高沢殿だけでお出で頂きたく候』とだけ連絡を受け取る。
これは川崎の方でも、何か思いがある事案が発生したという事か。
高沢は春本にそのことを告げたが、高沢を罠に落とす攻略かも知れないと感潜る。が、どの道、賭けに出ねばならない。通知通り赴く事とした。
三日後、高沢は階梯亭の前に立っていた。
時間はあと五分で正午を指す。
料亭の女将らしい人物が出て来て、「お待ちしておりました。内村様がお待ちしております」と、案内をしてくれる。
どのように対処するかは三日前に春本と対策を練っていた。対策と言っても大したことではない。相手は内村一人とは限らない。
状況としては、高沢が非常に不利な立場にいる。
しかし、事の真相と今後の流れを良きものにする為にも通らなければならない道である。
その鍵を握る人物のいる部屋に通される。
女将が襖を開ける。そこには予想通り、内村ともう一人人物がいた。
其れも信じられない場所にいる、川崎であった。忽ち緊張が走った。
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