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十九話
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悪魔の首を刎ねるといつも通りにアイテムをドロップし、姿を消した。ああ、吸収された人たちは死んじゃうんだ。
そういえばと悪魔と戦闘中見る余裕がなかった賊エルたちの方を見ると、悪魔をいたぶっていた姿が効いたのか、全員固まって震えていた。嫌だなぁ、人を悪魔みたいに。
「えっと、それじゃあ子供返してもらえます?」
代表して先頭にいたエルフに話しかけると怯えながらガクガクと頷き、バケツリレー方式だが、傷を付けたら殺されるかのように丁寧に子供が運ばれてくる。先頭の彼は相手を変わってほしそうに後ろを見ていたが観念して子供を僕に渡してくる。
無事に二人を受けとると地面に寝かせ、その場で起こす。
立って動いて貰わないと僕担げないし。しかしやや衰弱して目を覚まさないので、ポーションなどを振りかけて対応してみる。顔色は少し良くなったように見えるがまだ起きはしない。
「起きないんですけど何か事情知ってる人ー?」
賊たちに話しかける。ざわめき始めるが周りの人間に押され、観念したかのように先ほどまでと同じエルフが対応してくれる。
彼曰く、弱い毒を使いここまで運んできたので今も毒状態。ただし生贄にしようとしていたので死ぬような毒じゃない。殺そうとなんてしてなかったので命だけは勘弁してほしい。と言われた。
命を取る気なんてなかったけれど。ついでに解毒できる人はいないか聞いてみると賊たちの中に一人医師、というかこの世界で言うと回復魔法使いがいたらしく解毒魔法を唱えてくれた。
解毒魔法を使うとみるみるうちに生気を取り戻していき、数分待つと起き上がってくれた。
「ここどこ?」「私は誰?」
随分テンプレな返答してくれる。それエルフの国でもよくあるやつなの?
起き上がった二人をよく見ると随分と似ている双子のようで、年齢的にはまだまだ子供かな。小学生くらいの年齢に見える。
さて、困ったな。放課後遊んだこともほとんどないから年下はおろか同年代とさえまともなコミュニケーションを取ってない僕に何ができるのだろうか。
視界の端に映るクエスト進行度に関しては双子をエルフの街まで送り届けようとしか書いてない。ヒントとかないか探したけどこんなときの対処法は載っていなかった。
天井を見上げる。子供たちは視線を合わせようとしない僕を不思議そうな顔をして眺めている。リーシュ君くらい気安ければ接しやすいんだけどなぁ。
覚悟を決めて子供たちに向き直ると笑顔になる。う、笑顔が眩しい。
「えーっと、僕、依頼で、助けに来た。僕、君たち、送り届ける」
「わー、変な喋り方」
「うん、変な人間だ」
うるさいやい。人間種のデフォルトがこれだと思わないでほしい。おそらく僕以外はみんなもっとしっかりしてるはずだ。
賊エルさんたちは……待機で。いや一緒に帰ってもいいけどたぶん捕まるだろうし。そこまでの恨みは別にないので自由にやってほしい。集団NPCがどう影響あるのかわからないけれど。
もしかしたらクエスト終了したら唐突に消滅してしまうのだろうか。それはそれで寂しいな。
とりあえず出口まで歩き出し付いてくるように促すと僕の腕に捕まって双子たちは歩き出した。可愛い。けど貧弱なSTRなのでぶら下がったりしないでほしい。あと籠手に触ると危ないから!そこ剣とか飛び出る場所だから触っちゃダメ!
歩きながら子供を構いつつ、ステータス欄を見る。久しぶりに見るような気がするけど結構成長してるな。何体かボス倒してるし、通常MOBもわりと狩ってたからな。
【コマイヌ】
称号 【駆け出しの冒険者】
BLV:11
CLV:11
H P《Hit Point》 : 500
M P《Magic Point》 : 100
STR《Strength》 : 10 +2
VIT《Vitality》 : 10
DEX《Dexterity》: 10
AGI《Agility》 : 10 +68
INT《Intelligence》: 10
スキル
【剣術:TLV6】
|---片手剣:LV1 ― スラッシュ
|---片手剣:LV2 ― 基本動作
|---片手剣:LV3 ― バッシュ
|---短剣:LV1 ― ラッシュ
|---短剣:LV2 ― ピアス
|---短剣:LV3 ― 飛燕
【軽装戦士:TLV1】
|---歩方:LV1 ― ステップ
【二刀流:TLV1】
|---二刀流:LV1 ― 二刀流
変わったことと言えば片手剣スキルにちょっと振ってみた。今回入手できたのはパッシブスキルの≪基本動作≫とアクティブスキルの≪バッシュ≫の二つだ。
【Passive Skill : ≪基本動作≫】
剣術を扱う際の基本動作。剣装備時のダメージが2%上昇する。
パッシブ名基本動作。ただこれを取得してなかったということは基本動作出来てなかったということなのだろうか。ただのスキル名で別に基本動作が身に付くわけではないとわかっているけれど。まぁ【血兎】の分離連結含めての動きが基本動作に含まれていたら嫌だけど。
【Active Skill : ≪バッシュ≫】
武器を強く相手に叩きつける。STRが相手より上の場合少しノックバックさせる。
取ってからいらないことに気付いてしまったスキル。まぁスラッシュと違う軌道をしてくれるアクティブスキルってだけで僕にはありがたいからね。本当だよ。手の震えを双子に悟られたけど何事もなかったかのように誤魔化している。
それにしても習得可能スキル一覧を見るとまた増えていた。エルフ討伐、悪魔討伐のスキル群だ。エルフは討伐したと言えるのだろうか。勝手に食われたけど。
ただどちらも魔法関係が多かったので、僕にはあまり使えそうなスキルではなかった。多分この先も習得することはないだろう。
◇
森に出るとモンスターを警戒するために周囲を見回すが、ほとんど見受けられなかった。数匹は見かけたがそれも他のプレイヤーと戦っているモンスターくらいで、こちらの進行方向にぶつかるようなモンスターは一体も見つからない。
まぁさすがに双子を抱えて戦闘とかできないし。クエスト側の配慮かな。
そう思い森を歩いていると大きい蜘蛛……ビッグスパイダーが木の上から糸を垂らし、降りてくる。うわびっくりした。やっぱりモンスターは出るのか。
子供たちに少し離れてもらい、剣を振るおうとすると子供たちは僕のことを止め何やら聞き取れない言語でモンスターに話しかける。すると蜘蛛はシュルシュルと糸を辿り木の上に戻っていく。
ええ……何今の……
「森は友達だから」「森の魔物も、たまに話が通じるの」
つまり彼らはパッシブで一定の魔物と会話できるスキルがあると。あと森にいるときにバフかな。だからさっきからあまりモンスターと出くわさなかったのか。
僕何匹かモンスター狩っちゃったけど大丈夫だったかな。
「森は生死も許容するから」「討たれた魔物はまた後で命を育てるの」
「でも私たちはまだここじゃ死ねないから」「頼んで帰ってもらってるの」
すごい深いことを子供たちに教えてもらえた。
そのまま双子の力で無事に森を切り抜けることができた。エルフってすごいなぁ。実はエルフ系統のスキル進めていけばこれもスキルであったりするのかな。
◇
街の前までくると、門番をしているエルフさんたちが双子を見て膝をつき、丁重に通してくれた。迎えの者をよこすかとか護衛するかとか聞いているが、双子は僕がいるからいいと断っている。
いや迎え来てもらっても?護衛って僕まだ11レベだけど?
森の中を歩いている辺りやら生贄にされそうな高貴な血のエルフとかでなんとなく予想してたけど思ってたよりも大物だった。ということはあのお姉さんも……
クエスト進行の矢印通りに進むと最初にお姉さんと会ったのとは少し違う場所に辿りつく。そこは街の中央に位置する巨大な大樹の根元で、視界の端にエルフの王城と表示された。
城兵の方がいたので声をかけ双子を見せると近くにいた兵士に目配せをし、何やら慌ただしく動き出す。あの、届けたので帰ってもいいですか?
帰ろうとするも双子たちに手を引かれ、そして僕の後ろから付いてくるように完全武装のエルフさんたちが来るので逃げれなくなった。
大樹の中は本当に木造のお城とでも呼べるような作りになっていた。普通より階段と部屋数が多く、廊下には調度品らしきものが並べられている。ただそれら調度品よりもエルフらしいのかわからないが花瓶に花や木が多くみられる。
そして長い階段と廊下を渡った先に大きな門がある。遺跡の地下を思わせるがそれよりも豪華で、こちらのほうがなんとなく神聖な雰囲気がある。
完全武装のエルフさんたちがドアを開けてくれ、子供たちは無邪気にドアを抜けて走っていく。そして僕を手招きし中に入れてくれる。
門の中は広めの空間になっていた。壁に肖像画がかけられ、廊下にもあった調度品や草木が嫌らしくない程度に配置されていて、中央には向かい合う形で机とソファのようなものがあった。ただ何故か暖炉らしきものまである。それつけたら木全部燃えないの?
そして中央のソファに腰掛けるのは街であったあのエルフのお姉さ……
「お母さんなの~」
お母さまでした。
そういえばと悪魔と戦闘中見る余裕がなかった賊エルたちの方を見ると、悪魔をいたぶっていた姿が効いたのか、全員固まって震えていた。嫌だなぁ、人を悪魔みたいに。
「えっと、それじゃあ子供返してもらえます?」
代表して先頭にいたエルフに話しかけると怯えながらガクガクと頷き、バケツリレー方式だが、傷を付けたら殺されるかのように丁寧に子供が運ばれてくる。先頭の彼は相手を変わってほしそうに後ろを見ていたが観念して子供を僕に渡してくる。
無事に二人を受けとると地面に寝かせ、その場で起こす。
立って動いて貰わないと僕担げないし。しかしやや衰弱して目を覚まさないので、ポーションなどを振りかけて対応してみる。顔色は少し良くなったように見えるがまだ起きはしない。
「起きないんですけど何か事情知ってる人ー?」
賊たちに話しかける。ざわめき始めるが周りの人間に押され、観念したかのように先ほどまでと同じエルフが対応してくれる。
彼曰く、弱い毒を使いここまで運んできたので今も毒状態。ただし生贄にしようとしていたので死ぬような毒じゃない。殺そうとなんてしてなかったので命だけは勘弁してほしい。と言われた。
命を取る気なんてなかったけれど。ついでに解毒できる人はいないか聞いてみると賊たちの中に一人医師、というかこの世界で言うと回復魔法使いがいたらしく解毒魔法を唱えてくれた。
解毒魔法を使うとみるみるうちに生気を取り戻していき、数分待つと起き上がってくれた。
「ここどこ?」「私は誰?」
随分テンプレな返答してくれる。それエルフの国でもよくあるやつなの?
起き上がった二人をよく見ると随分と似ている双子のようで、年齢的にはまだまだ子供かな。小学生くらいの年齢に見える。
さて、困ったな。放課後遊んだこともほとんどないから年下はおろか同年代とさえまともなコミュニケーションを取ってない僕に何ができるのだろうか。
視界の端に映るクエスト進行度に関しては双子をエルフの街まで送り届けようとしか書いてない。ヒントとかないか探したけどこんなときの対処法は載っていなかった。
天井を見上げる。子供たちは視線を合わせようとしない僕を不思議そうな顔をして眺めている。リーシュ君くらい気安ければ接しやすいんだけどなぁ。
覚悟を決めて子供たちに向き直ると笑顔になる。う、笑顔が眩しい。
「えーっと、僕、依頼で、助けに来た。僕、君たち、送り届ける」
「わー、変な喋り方」
「うん、変な人間だ」
うるさいやい。人間種のデフォルトがこれだと思わないでほしい。おそらく僕以外はみんなもっとしっかりしてるはずだ。
賊エルさんたちは……待機で。いや一緒に帰ってもいいけどたぶん捕まるだろうし。そこまでの恨みは別にないので自由にやってほしい。集団NPCがどう影響あるのかわからないけれど。
もしかしたらクエスト終了したら唐突に消滅してしまうのだろうか。それはそれで寂しいな。
とりあえず出口まで歩き出し付いてくるように促すと僕の腕に捕まって双子たちは歩き出した。可愛い。けど貧弱なSTRなのでぶら下がったりしないでほしい。あと籠手に触ると危ないから!そこ剣とか飛び出る場所だから触っちゃダメ!
歩きながら子供を構いつつ、ステータス欄を見る。久しぶりに見るような気がするけど結構成長してるな。何体かボス倒してるし、通常MOBもわりと狩ってたからな。
【コマイヌ】
称号 【駆け出しの冒険者】
BLV:11
CLV:11
H P《Hit Point》 : 500
M P《Magic Point》 : 100
STR《Strength》 : 10 +2
VIT《Vitality》 : 10
DEX《Dexterity》: 10
AGI《Agility》 : 10 +68
INT《Intelligence》: 10
スキル
【剣術:TLV6】
|---片手剣:LV1 ― スラッシュ
|---片手剣:LV2 ― 基本動作
|---片手剣:LV3 ― バッシュ
|---短剣:LV1 ― ラッシュ
|---短剣:LV2 ― ピアス
|---短剣:LV3 ― 飛燕
【軽装戦士:TLV1】
|---歩方:LV1 ― ステップ
【二刀流:TLV1】
|---二刀流:LV1 ― 二刀流
変わったことと言えば片手剣スキルにちょっと振ってみた。今回入手できたのはパッシブスキルの≪基本動作≫とアクティブスキルの≪バッシュ≫の二つだ。
【Passive Skill : ≪基本動作≫】
剣術を扱う際の基本動作。剣装備時のダメージが2%上昇する。
パッシブ名基本動作。ただこれを取得してなかったということは基本動作出来てなかったということなのだろうか。ただのスキル名で別に基本動作が身に付くわけではないとわかっているけれど。まぁ【血兎】の分離連結含めての動きが基本動作に含まれていたら嫌だけど。
【Active Skill : ≪バッシュ≫】
武器を強く相手に叩きつける。STRが相手より上の場合少しノックバックさせる。
取ってからいらないことに気付いてしまったスキル。まぁスラッシュと違う軌道をしてくれるアクティブスキルってだけで僕にはありがたいからね。本当だよ。手の震えを双子に悟られたけど何事もなかったかのように誤魔化している。
それにしても習得可能スキル一覧を見るとまた増えていた。エルフ討伐、悪魔討伐のスキル群だ。エルフは討伐したと言えるのだろうか。勝手に食われたけど。
ただどちらも魔法関係が多かったので、僕にはあまり使えそうなスキルではなかった。多分この先も習得することはないだろう。
◇
森に出るとモンスターを警戒するために周囲を見回すが、ほとんど見受けられなかった。数匹は見かけたがそれも他のプレイヤーと戦っているモンスターくらいで、こちらの進行方向にぶつかるようなモンスターは一体も見つからない。
まぁさすがに双子を抱えて戦闘とかできないし。クエスト側の配慮かな。
そう思い森を歩いていると大きい蜘蛛……ビッグスパイダーが木の上から糸を垂らし、降りてくる。うわびっくりした。やっぱりモンスターは出るのか。
子供たちに少し離れてもらい、剣を振るおうとすると子供たちは僕のことを止め何やら聞き取れない言語でモンスターに話しかける。すると蜘蛛はシュルシュルと糸を辿り木の上に戻っていく。
ええ……何今の……
「森は友達だから」「森の魔物も、たまに話が通じるの」
つまり彼らはパッシブで一定の魔物と会話できるスキルがあると。あと森にいるときにバフかな。だからさっきからあまりモンスターと出くわさなかったのか。
僕何匹かモンスター狩っちゃったけど大丈夫だったかな。
「森は生死も許容するから」「討たれた魔物はまた後で命を育てるの」
「でも私たちはまだここじゃ死ねないから」「頼んで帰ってもらってるの」
すごい深いことを子供たちに教えてもらえた。
そのまま双子の力で無事に森を切り抜けることができた。エルフってすごいなぁ。実はエルフ系統のスキル進めていけばこれもスキルであったりするのかな。
◇
街の前までくると、門番をしているエルフさんたちが双子を見て膝をつき、丁重に通してくれた。迎えの者をよこすかとか護衛するかとか聞いているが、双子は僕がいるからいいと断っている。
いや迎え来てもらっても?護衛って僕まだ11レベだけど?
森の中を歩いている辺りやら生贄にされそうな高貴な血のエルフとかでなんとなく予想してたけど思ってたよりも大物だった。ということはあのお姉さんも……
クエスト進行の矢印通りに進むと最初にお姉さんと会ったのとは少し違う場所に辿りつく。そこは街の中央に位置する巨大な大樹の根元で、視界の端にエルフの王城と表示された。
城兵の方がいたので声をかけ双子を見せると近くにいた兵士に目配せをし、何やら慌ただしく動き出す。あの、届けたので帰ってもいいですか?
帰ろうとするも双子たちに手を引かれ、そして僕の後ろから付いてくるように完全武装のエルフさんたちが来るので逃げれなくなった。
大樹の中は本当に木造のお城とでも呼べるような作りになっていた。普通より階段と部屋数が多く、廊下には調度品らしきものが並べられている。ただそれら調度品よりもエルフらしいのかわからないが花瓶に花や木が多くみられる。
そして長い階段と廊下を渡った先に大きな門がある。遺跡の地下を思わせるがそれよりも豪華で、こちらのほうがなんとなく神聖な雰囲気がある。
完全武装のエルフさんたちがドアを開けてくれ、子供たちは無邪気にドアを抜けて走っていく。そして僕を手招きし中に入れてくれる。
門の中は広めの空間になっていた。壁に肖像画がかけられ、廊下にもあった調度品や草木が嫌らしくない程度に配置されていて、中央には向かい合う形で机とソファのようなものがあった。ただ何故か暖炉らしきものまである。それつけたら木全部燃えないの?
そして中央のソファに腰掛けるのは街であったあのエルフのお姉さ……
「お母さんなの~」
お母さまでした。
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