5日間ホテルに滞在して大阪・関西万博のボランティア活動をしてみた

夏目碧央

文字の大きさ
45 / 61

明日の準備(またもや非常ベル)

しおりを挟む
 ホテルに戻ってきた。鏡を見たら顔が真っ赤だった。目まで真っ赤。やっぱり日焼けしたか。顔がほてって暑いので、数分だけ冷房をつけた。初日は暖房をつけたのにね。それにしてもこの部屋、狭いのにエアコンがやたら大きいな。
 そして、初日に買ったお土産がスーツケースに入るかどうかの確認をした。何とか、真ん中のファスナーを開けて広げれば入る事を確認。しかし、お化粧品などは明日の朝も使うので、それらをまた出す。お土産の下に入れないといけないから、明日の朝早く起きてちゃんと入れ直さないといけない。
 忘れ物をせずにホテルを出なければならない。チェックアウトをしなければならない。そして、とうとうコインロッカーに荷物を入れなければならない。遅刻せずに8時にボラセンに集合しなければならない。
 最終日、予定通り彦根城に寄ってから帰ると決め、米原から品川までの新幹線の予約をした。予約というか、切符を買うというか。面談の時に色々あって、JR東海ではスマートEXが便利でお得だと教えてもらった。今、そのアプリを利用している。もっと早く知っていればよかった。JR東日本のえきねっとはずっと使っていたのにね。
 色々済ませ、日記を書いているとまたもや非常ベルが鳴った。怖い。
 廊下を覗く。誰もいないし煙なども見えない。そしてまた放送が入る。この建物の6階で火災報知器が鳴ったから、確認をすると。
 初日にも非常ベルが鳴った。また同じかなと思ったが、念の為心の準備をする。もうお風呂にも入ってしまってスリッパだが、逃げる場合は靴を履いた方がいいのか、などと考えていた。テレビを付けていたので、放送が鳴るとよく聞こえるように扉を少し開けて聞いた。
 火災報知器が点滅していたら作業員にお知らせください、という放送も入った。どこの部屋で鳴ったのか特定できていないのだろう。煙が出ていたら匂いなどで分かりそうなものだから、やっぱり火事ではないのかな。
 日記を再び書いていると、また放送が鳴った。急いで廊下の方へ行こうとして、したたか膝をぶつけた。もんどり打って扉の所へ。放送を聞くと、やはり初日と同じ、浴室の湯気で煙探知機が作動したという事だった。
 だからさ、扉を開けたままシャワーを出さないようにとか、張り紙でもすればいいのに。5日いて2回も非常ベルが鳴るとか、あり得ないでしょ。そんなに長く泊まっていなければ頻繁に鳴っている事など知る由もないが。でもマジで怖いから。膝は青あざになった。
 色々な不安から、やっぱり眠れる気がしない。こんな風に緊張状態がもっとずっと続いて眠れなかったら、いずれ体を壊すのだろう。私は今、好きな事を楽しんでやっているからいいけれど。でも、これ以上続けるのは無理だ。
 眠れないなら、ちょっと缶ビールでも飲めば?と思うものの、どうしても飲む気になれなかった。私が週末に飲む気になれないなんて珍しい。それだけ緊張しているようだ。
 楽しい事と、緊張しない事とは同じではない。緊張するくらいの事だから、すごく楽しいとも言える。そして、終わった後に達成感を感じられるはずだ。
 まずはスーツケースにちゃんと全て入れる事、そしてコインロッカーに入れる事。その前に早起きする事。ドキドキしながら寝床に着く。そして、やっぱりほとんど眠れない夜を過ごしたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...