5日間ホテルに滞在して大阪・関西万博のボランティア活動をしてみた

夏目碧央

文字の大きさ
50 / 61

5日目の活動~エリア活動東

しおりを挟む
 ディレクターさんに連れられて移動する時、気づいたら女性3人でしゃべっていて、無口な男性の姿が見当たらない。
「男性1人だから、つい女性3人でまとまちゃって申し訳ないね。」
などと話した。あの人無口だよね、みたいな話も。でも、自ら望んでこのボランティアをやっているのだし、コミュニケーションが嫌いなわけはないよね、などとも話した。私は口には出さなかったが、もしかしたら、お客さんにうんちくを語ってしまうタイプかなと思った。だが実際には、お客さんに、ではなかったのだ。その話は追々話そう。
 意外に、エリア活動をする場所が被る事がなかった。最後の今日は、~広場という名前のある場所ではなく、コモンズ館Aと静けさの森の間の、名前のない遊び場のような休憩所の前だった。
 その休憩所の奥に、インフォメーションがあった。あんなところ、絶対に偶然見つける事はない。聞かれたら答えればいいと言われたが、案内されるまでは何かがあるとは思えない穴倉だった。そして、その休憩所の隣には校舎のような雰囲気の建物があったが、これにも名前がない。何となく工事中っぽい。これは何だ?
 そこに立つ頃には、9時を少し過ぎていて、お客さんがどんどん入場してきていた。おはようございます、と声を掛けていく。あまり返事を返してくれる人はいない。皆さん急いでいる感じだ。
 そして、急いでいるのに目指すパビリオンの場所が分からない人も多い。アメリカ館はどこですか、西ゲートはどっちですか、中国館はどこですか、などと聞かれた。大阪の女性はX上で無料で配っていたという地図を印刷してきていて、それには地図上にパビリオンの名前が記入してあった。聞かれたらその地図を見せてもらって答えた。
 曇っていてジメジメしていた。空模様は怪しいが、予報によると雨は降らないらしい。
 まだあまり人が通らない。近くのパビリオンからは、
「10時の回はご予約なしですぐにお入りいただけまーす。」
などという声が聞こえていた。朝一で入ればすぐに入れるところもあるのか?
 無口だった男性は、ボランティアは今日が2回目だそうだが、色々と詳しかった。ボランティアをやる人で大阪在住の人は、ほぼ100%の人がテストランに来たようだが、この男性はそれのみならず何度か来ているようで詳しく、私がまだ知らなかった事、当日予約は入場して10分後から早い者勝ちで予約できるから、迷っていたらあっという間に埋まるとか、3日前予約も早い者勝ちだとか、色々教えてくれた。やっぱり観客として来る際は、朝一で来ないとダメだな。(後に改善され、朝だけでなく一日に何度か当日予約を解放するようになったようだ)
 それから、無口だった男性は、人気のある日本館の事を「あれはつまらない」などと言う。後で京都の女性に、
「ボランティアなんだから、そういうネガティブな発言はよくないですよ。」
と言われていた。自分に合わないと言えばいいとか。そうしたら男性は、SDG‘sに興味のある人だったら面白いかもしれないと言っていた。興味ある人もたくさんいるでしょうよ。
 それからその男性、語り始めるとこちらを向いて夢中でしゃべってしまう。2つの意味でよろしくない。1つは、4人で並んでいるのに2人に向かってしゃべってしまい、1人に背を向けてしまう事。もう1つは、お客さんそっちのけでしゃべってしまう事。ボードを持つと言ってくれたのはいいが、掲げないで下の方で、ただ片手で持っているだけなのだ。
 さて、中国館はどこですかと聞かれ、地図を見せて説明したものの、本当にそっちにあるのか、距離感がどのくらいなのか、実際に行って確かめてくると言って、私はそこから中国館を目指して歩いてみた。
 ところが、なかなか中国館に辿り着けない。例によって静けさの森は迷いやすい。ぐるっと回って行くと食べ物などが売っている店がたくさんあったが、パビリオンが全然ない。
 単独行動は避けてください、と言われていたので、このままずっと一人で歩いていくのは良くないと思い、引き返してきた。だが、
「辿り着けなかった。遠い。」
と言い、単独行動は良くないと思って戻ってきたと話したら、チームの3人はこぞって、誰かが知っておいた方がいいなどと言って、中国館まで行ってきた方がいいと言う。歩くのが疲れるから嫌だとは言えず、私はまた中国館を目指して歩いていった。
 しかし、意外と遠いし、迷った。歩いて行ったらいつの間にかいのちパークに出てしまい、さっきのところを右折だったかと引き返し、やっと中国館の前に辿り着いたのだった。
 変なところに水たまりが出来ていて、雨は降っていないよな、などと不思議に思ったところがあったが、後々ニュースで水浴びをする子どもが映り、あの水たまりはそういう訳で出来ていたのか、と知るのだった。危うくボチャンと足を突っ込んで靴を濡らすところだった。だけど、池のように囲われてもいない、単なる水たまりだ。雨が降れば普通に雨水がたまるだろう。どうやって管理しているのか。管理してないのか?そこで水浴び?えー……。
 水浴びする程暑くないのだが、パーカーを脱ぎたいくらいには暑くなった。連日の歩き過ぎで、私の足はだいぶ疲労が溜まっている。しかも、気づけばそろそろ10時になろうとしていた。また探されてしまう。私は走るようにして持ち場へと戻った。うへえ、暑い。疲れた。
 何とか10時までに戻った。汗をかいた。そこへアシスタントディレクターさんがやってきて、そろそろ10時なので案内板のところへ集合してくださいと言った。ギリギリ間に合った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...