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保育所へ行ったものの、すぐに里奈を引き渡してはくれなかった。そりゃそうだ。誰にでもホイホイ渡されたのでは困る。
「あの、潮里奈を迎えに来たんですけど……。」
勝手が分からない。
「あー、はい。潮さんからお聞きしています。身分証明書を見せていただいてもよろしいでしょうか。」
免許証を出して見せた。保育所の先生は免許証の写真と俺の顔を見比べ、
「はい、確認いたしました。ありがとうございます。少々お待ちください。」
と、やっと態度を軟化させて、そう言った。こちらもホッと胸を撫で下ろす。
「あ、あのー、今後もこういう事があるかもしれませんので、名刺を置いて行きますね。播磨祐作と申します。よろしくお願いいたします。」
一番偉そうな先生に、名刺を渡した。その先生は名刺を受け取って目を通し、
「まあ、菱形建設にお勤めで!インテリアデザイナーをなさってるの?!素敵ですねえ。」
褒めちぎって来た。頭をかく。どういう反応を返せばいいのか分からない。
「播磨さんは、独身ですか?」
更に聞かれる。
「ええ、まあ。」
「ご予定はありますの?ああ、そういえば潮さんとはどのようなご関係なのでしょうか。お友達にしては、少しお年が離れていらっしゃるような。」
困った。朝陽は今日迎えに来る俺を何と言って紹介したのだろう。知り合い、とでも言ったのだろうか。慌てていたからそんなとこか。
「えーと……パートナー、と言いますか……。」
「お仕事の?潮さんはダンスをされているんですよね?その関係でしょうか?」
このおばさん、全くゲイカップルの可能性が頭にないらしい。こっちはインテリアデザイナーだと言っているのに。
「まあ、そんなところです。」
だが、面倒なのでこれ以上説明するのは辞めた。パートナーだと言ったのだ。嘘をついてはいない。そこへ里奈が連れて来られた。おぉ!里奈が歩いている!
この間つかまり立ちをしていたと思ったら、もう先生に手を引かれてよちよちと歩いているのだ。子供の成長は早い。
「里奈~、歩けるようになったのか~。おいで!」
しゃがんで両手を広げると、里奈は先生の手を放し、ヨタヨタっと駆け足のように、しかしゆっくりと俺の元へ駆けてきた。雰囲気としては駆けてきたのだが、よちよちと歩いてきた、というスピードだった。
「ゆ、ゆ」
俺に抱き着いてきた里奈は、「ゆ」を連発した。もしかして!祐作、と言ってるのか?
「そうだよー、ゆうさくだよー。さ、帰ろうか。あの、私何も持ってきていないのですが、抱っこバンドとか、預かっておりませんか?」
「あ、先日から里奈ちゃんはベビーカーで来ていますよ。こちらにあります。」
若い先生が里奈のベビーカーを持ってきてくれた。そうだったのか、ベビーカーなんて押した事はないが、抱っこバンドよりは楽そうだ。
「ありがとうございました。では、さようなら。」
「さようならー、里奈ちゃんバイバーイ!」
先生方に見送られ、午後7時過ぎに保育所を出た。
「あの、潮里奈を迎えに来たんですけど……。」
勝手が分からない。
「あー、はい。潮さんからお聞きしています。身分証明書を見せていただいてもよろしいでしょうか。」
免許証を出して見せた。保育所の先生は免許証の写真と俺の顔を見比べ、
「はい、確認いたしました。ありがとうございます。少々お待ちください。」
と、やっと態度を軟化させて、そう言った。こちらもホッと胸を撫で下ろす。
「あ、あのー、今後もこういう事があるかもしれませんので、名刺を置いて行きますね。播磨祐作と申します。よろしくお願いいたします。」
一番偉そうな先生に、名刺を渡した。その先生は名刺を受け取って目を通し、
「まあ、菱形建設にお勤めで!インテリアデザイナーをなさってるの?!素敵ですねえ。」
褒めちぎって来た。頭をかく。どういう反応を返せばいいのか分からない。
「播磨さんは、独身ですか?」
更に聞かれる。
「ええ、まあ。」
「ご予定はありますの?ああ、そういえば潮さんとはどのようなご関係なのでしょうか。お友達にしては、少しお年が離れていらっしゃるような。」
困った。朝陽は今日迎えに来る俺を何と言って紹介したのだろう。知り合い、とでも言ったのだろうか。慌てていたからそんなとこか。
「えーと……パートナー、と言いますか……。」
「お仕事の?潮さんはダンスをされているんですよね?その関係でしょうか?」
このおばさん、全くゲイカップルの可能性が頭にないらしい。こっちはインテリアデザイナーだと言っているのに。
「まあ、そんなところです。」
だが、面倒なのでこれ以上説明するのは辞めた。パートナーだと言ったのだ。嘘をついてはいない。そこへ里奈が連れて来られた。おぉ!里奈が歩いている!
この間つかまり立ちをしていたと思ったら、もう先生に手を引かれてよちよちと歩いているのだ。子供の成長は早い。
「里奈~、歩けるようになったのか~。おいで!」
しゃがんで両手を広げると、里奈は先生の手を放し、ヨタヨタっと駆け足のように、しかしゆっくりと俺の元へ駆けてきた。雰囲気としては駆けてきたのだが、よちよちと歩いてきた、というスピードだった。
「ゆ、ゆ」
俺に抱き着いてきた里奈は、「ゆ」を連発した。もしかして!祐作、と言ってるのか?
「そうだよー、ゆうさくだよー。さ、帰ろうか。あの、私何も持ってきていないのですが、抱っこバンドとか、預かっておりませんか?」
「あ、先日から里奈ちゃんはベビーカーで来ていますよ。こちらにあります。」
若い先生が里奈のベビーカーを持ってきてくれた。そうだったのか、ベビーカーなんて押した事はないが、抱っこバンドよりは楽そうだ。
「ありがとうございました。では、さようなら。」
「さようならー、里奈ちゃんバイバーイ!」
先生方に見送られ、午後7時過ぎに保育所を出た。
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