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プロローグ
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領地拡大を競い合う戦国の世。隣国は敵か味方か。当主は一時も心が休まる事がない。ここは都から山をいくつも隔てた跋扈(ばっこ)の国である。
跋扈の国の当主は鈴城羅山(すずしろ らざん)である。その鈴城家に仕える家臣に森尾佐介という男があった。その佐介に息子が生まれた。剣介(けんすけ)と名付けられたその子は、利発な子で、弓や剣に秀でていた。この子を何とか出世させたいと考えた佐介は、方々駆けずり回り、とうとう息子をお城に上がらせる事に成功したのである。
「剣介、剣介!どこじゃ!」
父に呼ばれた剣介は、畳の上へ控えた。
「父上、お呼びですか?」
「おお、剣介、良く参った。まあ、聞きなさい。お前も十二になった。そろそろ出仕しなければならん。」
「はい。」
「良い話があるのだ。当主鈴城羅山様の嫡男、頭栗(ずぐり)様の守役として、お前を出仕させてはどうか、とお達しがあったのだ。」
お達しがあったというよりも、本当は何とかうちの息子にと、あちこち頭を下げてつかみ取った話なのだが。
「守役、ですか。」
「そうだ。やってみるか?」
剣介はちょっと考えた。だが、考えても仕方のないこと。これ以上の良い仕事など、考えつかなかった。
「はい、喜んで。」
そうして、剣介は森尾家の期待を一身に受け、お城へ上がったのだった。
跋扈の国の当主は鈴城羅山(すずしろ らざん)である。その鈴城家に仕える家臣に森尾佐介という男があった。その佐介に息子が生まれた。剣介(けんすけ)と名付けられたその子は、利発な子で、弓や剣に秀でていた。この子を何とか出世させたいと考えた佐介は、方々駆けずり回り、とうとう息子をお城に上がらせる事に成功したのである。
「剣介、剣介!どこじゃ!」
父に呼ばれた剣介は、畳の上へ控えた。
「父上、お呼びですか?」
「おお、剣介、良く参った。まあ、聞きなさい。お前も十二になった。そろそろ出仕しなければならん。」
「はい。」
「良い話があるのだ。当主鈴城羅山様の嫡男、頭栗(ずぐり)様の守役として、お前を出仕させてはどうか、とお達しがあったのだ。」
お達しがあったというよりも、本当は何とかうちの息子にと、あちこち頭を下げてつかみ取った話なのだが。
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「そうだ。やってみるか?」
剣介はちょっと考えた。だが、考えても仕方のないこと。これ以上の良い仕事など、考えつかなかった。
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