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リトマス試験紙

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 シルクの胸の傷は、メタルによって「手当」された。いつも通りのテクニカルな舌使いに、いつも通り、シルクは快楽の淵に誘(いざな)われた。

 翌朝、朝食を皆で取っていると、そこへ昨日助けてくれた軍人達数人が店に現れた。
「まだ開店じゃないよ。」
レインが言うと、
「レインさん、これを持って来ました!」
軍人達は、鉢植えを3つ、カフェに持ち込んだ。
「え、ラブフラワーじゃない!」
レインが驚いて声を上げた。
「どうしたんですか?ああ、これがラブフラワーですね?」
実物を初めて見るロックが、興味深げに眺めている。
「レインさんが手に入れられなかったと聞いて、何とか出荷前に取っておいたんです。良かったらどうぞ!」
軍人達が自慢げに言う。
「ありがとう!ありがたくいただくよ。」
レインがニッコリすると、軍人達は歓喜にむせび泣き・・・というのは言い過ぎだが、感極まって言葉も出ない様子のまま、敬礼をして店を出て行ったのだった。

 「ラブフラワーか。もう要らないなぁ。庭にでも埋めよっか。」
軍人達が出て行くと、レインが言った。ダイヤとシルクは苦笑い。もう、愛を確かめる必要がなくなったからって、ひどい言い様だ。
「そういえば、ラブフラワーってどうやって殖えるんだろ?」
ふとレインがそう言い、ロックと顔を見合わせた。
「これは、実験ですね。」
ロックが嬉しそうに笑い、鉢植えを一つ抱え上げた。
「僕も、もう要らないな。」
ダイヤがそう呟いたので、ハイドが、
「じゃあ、これも庭に植えようか。いつか子供が欲しくなったら、その時にまた鉢に植え替えればいいよね。」
と言って、鉢を一つ持ち上げた。
「鉢のまま庭に置いておけばいいんじゃない?」
「そうかな。でも、直植えの方がよく育つんじゃない?」
などと、ダイヤとハイドで言い合っていると、シルクが、
「僕は、今欲しい。」
と言って、一つを手に取った。そんなシルクをメタルがちらっと見た。
「まあ、一つくらい家に置いといてもいいんじゃない?リトマス試験紙代わりに、あってもいいよね。」
いつの間にかテーブルでコーヒーを飲み始めていたレインが、そんな事を言った。
「レインさんって、けっこういい加減だな。」
シルクがぼそっと呟いた。
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