ちょっとした小話

ラズ

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アメアメ降れ降れ

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これは雨の日に起きたお話。

当時小学生だった私は、その日友達と話して下校していました。
すると突然、雨が降ってきたのです。
どちらも傘を持っておらず、困りました。
雨はあっという間に激しくなります。
当時、班で下校していました。
しかし、班員には相合傘をしてもらう余裕はありませんでした。
私たちは班員に先に行ってと伝え、近くの公園で雨宿りをすることにしました。
なんとかびしょ濡れにならずに済んだ私たちは、ベンチに座って話の続きをします。
そんな時、公園の入り口の方から黄色い傘をさした子供が、こちらにやってくるのが見えました。
傘で顔が見えなかったけど、背丈から同じ小学生くらいだと思いました。

(?傘を持っているなら、そのまま帰ればいいじゃん)

なぜこちらに来るのかわからず、友達と顔を見合わせると首を傾げました。

「おねえちゃんたち。ここでなにしているの?」

「雨宿りしているんだけど…こんなところでどうしたの?」

女の子の声をしていました。
自分より年下の子だと判断し、優しい声で答えてあげました。

「あめ、やまないの?」

「止まないね~」

そんな時にふと気付いたのは、女の子が一人でいる違和感。
集団で行動しているはずなのに、彼女は一人です。傘をさしているなら、公園で雨宿りする必要もありません。

(仲間外れにされちゃったのか…?)

「雨が上がったら一緒に帰ろう」

自分より小さな子を一人で返すのは気が引けて、私はそう言っていました。

「いいの?」

「いいよ。〇〇ちゃんもいいでしょ?」

「うん。もちろん!雨が上がるまで待っててもらうけど…」

「わーい」

顔が見えなくても喜んでいるのがわかりました。
私たちは顔を見合わせて、わらってしまいました。

「こっちにおいで。一緒に雨宿りしよう」

そう、誘いをかけると、彼女は傘をさしたまま入ってきました。

「傘、たたまないの?」

不思議に思ってそうきくと

「あのね、これはさしていなきゃいけないの。じゃないと、おかあさんがわからないの」

そう、答えてくれました。

(黄色い傘は結構あると思うんだけどなあ。
てか、母親の迎えがあるのか…)

「お母さんの迎えがあるなら早く行かなきゃ…」

のんきに私は考えていたけど、友達はそう指摘しました。
言われてみればそうです。傘が目印というなら雨の日は迎えに来てくれるのでしょう。
そこで娘が来なかったら心配するに決まってます。

「でもね。わたしひとりでいけないの」

かといって、雨が止むまでここに引き止めるわけにはいきません。
びしょ濡れになるのを覚悟で、私たちは彼女を案内することにしました。

「お母さんはどこにいて欲しいって言ってた?」

「えっと…えき!」

今いる公園から駅までそう遠く離れていません。
私は女の子の手を取り、歩き出しました。
その時の女の子の手はとても冷たく、雨の中でずっと困っていたんだと思いました。
そして、駅まで女の子の話をずっと聞いていました。


私たちがびしょ濡れになりながら駅に来ると、黄色い傘を持ちながらさすことなく、立ち尽くしている女性がいました。
その傘はなんとなく見覚えがあります。

「あの…どうしたんですか?」

思わず話しかけていた私。
女性はどこか悲しげな瞳で見返してきました。

「大丈夫よ。ありがとう。…あなた達みたい優しい子が、あの子のそばにいたらよかったのに…」

「あの子…?」

友達と顔を見合わせて首をかしげました。
女性は私たちの声を拾ったのか、駅の中へ移動してから話してくれました。

小学校1年生の娘がいたこと。
娘は班で仲間はずれにされていたこと。
こんな雨の日に一人で下校して、駅までの道に迷い、事故にあって死んだこと。

「学校まで迎えに行ってあげればよかった…。そしたら、きっと…」

女性は泣き出してしまいました。
その前に、私たちは別のことで固まっていました。

雨の中、一人でいた女の子。
駅までの道がわからない。

女の子はいつの間にかいなくなっていました。はぐれないように手をしっかりと握っていたのに…。
手を見ても何もありません。
そんな時、女性は言いました。

「あの子は恨んでいるかもしれない…」

『そんなことない!』

私たちは揃ってそう言い返します。
何故なら…

あの子は、ここに来る途中、ずっと…
の話をしていたからです。

信じてくれないかも…と思いつつ、
私たちは駅までの話をしました。

すると女性は泣き笑いのような顔をして

「娘を案内してくれて、ありがとう」

そう言って消えました。

目の前のことに驚いた私たち…
白昼夢かと思いましたが、あまりにも鮮明すぎました。

「おねえちゃんたち。ありがとう!」

どこからか聞こえてくる、女の子の声…。

いつの間にかあめは止み、空に虹が見えていました。


昔、その駅付近では…
駅近くの公園前で女の子が車に撥ねられて死亡…迎えに行った母親は、「学校まで行けばよかった」と責任を感じ、線路へ飛び出し自殺した…という、事件があったそうです。
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