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裏切り〜桃太郎異譚〜
時を経た彼の名は?
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「太郎や、薪を取っておくれ」
「はい。おばあさん」
あの時拾った赤ん坊は太郎と名付けられ少年へと成長しました。
太郎は元気いっぱいで、やんちゃをしては怪我をしてばかりでした。しかし、長年育ててくれた2人にはよく懐き優しい子に育ったのです。
平穏な日々はある日突然無くなります。
ある日のこと、おじいさんが床で亡くなっていました。
おじいさんを村人みんなで弔い、海に流しました。
こうして、太郎とおばあさんは二人暮らしになったのです。
太郎はおじいさんの分も孝行しようと村人の手伝いをしては何かをもらっては生活を支えました。
老いてあまり自由に動けないおばあさんは太郎に感謝をしながらどこか申し訳なさそうに…
「わるいねぇ。私が動ければいいけれど…」
そう言います。
そしたら太郎は決まってこういうのです。
「それならあのわらべうたが聞きたい。謡っておくれよ。おばあさん」
「ああ。いいとも」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞
酸漿灯る伊の島は
紅き花が咲き乱れん
酸漿灯火消されぬと
黒き瞳が睨みたもう
酸漿灯火消えるなら
紅き椿が咲くだろう
酸漿再び灯るなら
炎の宴に興じよう
酸漿灯火灯すには
紅き椿を舞落とせ
∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「太郎は本当にこの謡が好きだねぇ」
「好きだよ。不思議な謡だよね」
「そうだねぇ。この村に伝わる昔ながらの謡だからねぇ」
「そっか。そろそろご飯もできそうだね。こっち持ってくよ。おばあさんは座ってて」
「おやおや、ありがとう」
不思議と耳に残るわらべうた。
太郎は口ずさみながら食事の準備を終えました。
「「いただきます」」
具沢山の汁に焼き魚。米と粟を混ぜたものを主食に食べます。
それがいつもの食事です。気分で魚は肉にも変わります。
それが太郎の当たり前なのです。
食べるものに困ったことのない太郎は村の外を知りません。
この村に不満や疑問を持ったことのない太郎は村の外に興味がありません。
村のみんなは穏やかで滅多に喧嘩は起きません。困ったなら手を貸しますし、こちらだって貸されるような余裕のある暮らしぶり。
当たり前が崩れるのは一瞬。
それはおじいさんが亡くなった時に知ったはずなのに、太郎は満たされた生活の中で忘れてしまいました。
村長に相談を持ちかけられたのは少し暑すぎるくらいよく晴れた日のことでした。
「はい。おばあさん」
あの時拾った赤ん坊は太郎と名付けられ少年へと成長しました。
太郎は元気いっぱいで、やんちゃをしては怪我をしてばかりでした。しかし、長年育ててくれた2人にはよく懐き優しい子に育ったのです。
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ある日のこと、おじいさんが床で亡くなっていました。
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こうして、太郎とおばあさんは二人暮らしになったのです。
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「わるいねぇ。私が動ければいいけれど…」
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そしたら太郎は決まってこういうのです。
「それならあのわらべうたが聞きたい。謡っておくれよ。おばあさん」
「ああ。いいとも」
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∞∞∞∞∞∞∞∞∞
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「そうだねぇ。この村に伝わる昔ながらの謡だからねぇ」
「そっか。そろそろご飯もできそうだね。こっち持ってくよ。おばあさんは座ってて」
「おやおや、ありがとう」
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「「いただきます」」
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当たり前が崩れるのは一瞬。
それはおじいさんが亡くなった時に知ったはずなのに、太郎は満たされた生活の中で忘れてしまいました。
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