ショウ・タイム~異世界最速攻略記~

人羊ゲーム

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旅に出てトロールに出くわしても動じない

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翔が異世界に来て五日目。
翔は目を覚ます。
顔を洗い、朝食をとる。
海の幸、山の幸が惜しみなく使われた豪勢な食事だった。

「ショウ様!」

マリーが翔に声をかける。

「何だ?」

「ううううう!今日はなにをするんですか?」

マリーはウサギの耳をピョコピョコ動かす。

「そうだな、外を見て回ろうと思う」

「そ、そとをみてまわる????」

マリーは翔の言葉を理解出来なかった。

「そうだ。この世界はまだまだ広がっている。国の基礎は整えた。俺が直接指示を出さずとも、ある程度まで発展するだろう。次の陣頭指揮が必要になるまでの期間、外界を散策しようと考えている」

「出かけるんですか?」

「ああ」

「マリーも付いていきますう!!」

「アタイも連れて行っておくれ!」

「レイナも御一緒させてください」

「ウチも付いて行ってよろしいですか?」

「ボクもいきたい!!」

「わたくしの背に乗って行ってください」

マリーとユリアとレイナとカッサンドラとバネッサとシャーロットは、翔に付き従う。

「ならば、そろそろ出掛けるか」

翔は立ち上がり、準備をする。

「行くぞ!」

「ショウ様―――――!!お気をつけて―――――!!!」

皆は手を振り翔と六人を見送る。
翔と六人は、旅に出た。




翔と六人は荒野を歩く。

「うううううう、暑いですう。。。。」

「こりゃあ参るね」

「特にマーメイドには堪えますわ」

「リザードマンにも辛いです」

「ボクは全然平気だよ」

「わたくしも平気ですわ」

種族ごとに適した環境がある。
それは分かり切っていたことだが、それをまざまざと見せつけられていた。

「何処か休息をとれる場所を探すか」

翔たちは歩く。



荒野を歩いていると、砂埃の向こうから音が聞こえる。
馬の蹄の音と、車輪の音。
そして罵声と悲鳴。

「オラオラオラァ!!金目のモン置いてけや――――!!!!」

「うわ―――――!!!」

翔は剣を構える。

「な、なんですか!?」

六人は怯える。

「馬車強盗だ、多分な」

一陣の風が吹き、砂煙が晴れる。

「おお!?何だお前ら!?お前らも金目のモン寄こせ!!」

強盗は人間の三人組だった。それぞれ馬に跨り、剣で武装している。その中の一人が、翔たちにも恫喝する。

「ショウ・タイム(俺の時間)だ」

一閃、一閃、一閃。
翔の抜刀は音も無く、ただ刹那に反射された太陽光だけが其れを知らせた。

「ぐあ!」

「がっ」

「うぐ」

馬車強盗の三人組は大地に転げ落ちる。
馬車の御者は、翔の神業に唖然とする。

「い、今のは、あなたが。。。。?」

御者が翔に訊ねる。

「そうだが」

「す、すばらしい!!!あなたのような達人は初めて見た!!!」

御者は鼻息荒く、まくし立てる。

「お前は、何処から来て、何処へ行くんだ?」

翔が御者に訊ねる。

「あっしはレットハ村からギルデンスターン王国へと向かう途中なのです」

「ギルデンスターン王国とは栄えているのか?」

「はい、それはもう!この辺りでは随一の繁栄を誇っています」

「ふむ、俺達を乗せて行ってくれないか?」

「し、しかし」

「道中で襲いかかる敵は全員撃退してやる」

「そうですね、それでしたら」

翔たちは馬車に乗り込み、ギルデンスターン王国を目指す。

「それで、どれ位でギルデンスターン王国に到着するんだ?」

「ここからギルデンスターン王国へ行くには、ドミニク沼地を通過して、次にジョン岩山を通過して、到着です。二日ほどですかね」

「そうか」




≪ドミニク沼地≫

「此処がドミニク沼地か」

と翔。

「ううう、なんだか不気味ですう」

とマリー。

「不穏な気配を感じるよ」

とユリア。

「怖いです」

とレイナ。

「何かに見られている気がします」

とカッサンドラ。

「こんな場所があったんだ」

とバネッサ。

「自分では歩きたくない場所ですわ」

とシャーロット。

ドミニク沼地は仄暗く、陰惨な空気が立ち込めている。
心なしか荷車を牽引する馬も歩くのが嫌そうだ。
荒野は湿度が極端に低く、土埃やうだるような暑さが有り、とても快適とは言えなかった。
それとは真逆の沼地だが、やはり快適とは言えない。
荒野を行く馬の蹄は軽快な音を鳴らしていたが、沼地の其れは耳障りですらある。

「ここらへん、出るって噂なんでさあ」

御者が誰に言うともなくこぼした。

「何が出ると言うんだ?」

翔は問う。

「トロールが出るって噂があるんですよ」

御者はトロールと言う単語を忌々しげに発音する。

「トロールは有害なのか」

「はい、そりゃもう。旦那は強盗を瞬殺してくれやしたが、ありゃあ人間でしたからね。トロールは怪物でさあ。会わぬが吉ってやつですよ」

「そんなにトロールが嫌なら、別のルートを選べば良い」

翔は一般論を語る。事情が有ることを予想しながら。

「へへ、そうしたいのは山々なんですが、あっしは商人でして。積み荷を期日内にギルデンスターン王国へ届けにゃあならんのです」

「このルートが最短なのか」

「へい、それもありやすが、他のルートも安全とは言えないもんで」

「安心しろ。俺は人間以外も倒せる」

翔は誇張の無い事実を言葉にした。

「うううう!そうです!ショウ様は誰にも負けません!」

とマリー。

「そうさ!ショウ様ほど強い御方はいないよ!」

とユリア。

「レイナはショウ様を誰よりも信じています」

とレイナ。

「ウチはショウ様のお役に立てるなら、なんでもします」

とカッサンドラ。

「ボクは誰が相手でもショウ様が勝つと思うな!」

とバネッサ。

「わたくしはショウ様ほど優れた御方を知りません」

とシャーロット。

「へへ、ずいぶん信頼されてやすね、旦那」

と御者。

「ヒヒーン!!」

と馬。

沼地のそこかしこで生物が蠢く。
岩を伝うヤモリ。
空を切る蝙蝠。
地を這う蛇。
木々に巣を張り移動する蜘蛛。
生物の面影が白骨だけの荒野とは対極だった。
今のところ、トロールの気配はしない。
万事順調に運ぶかと御者が安堵した矢先、

ズシン!

「!!!」

御者は沼地の足場にも響く不吉な音を聞いた。
それは当然、翔にも聞こえる。
しかし二人とも、それを言葉にしない。
御者は、不気味な足音が幻聴であることを祈り、現実を受け入れたくなかったから。
翔は、迎撃に時間が必要では無いが故に、その姿を現すまでは気に留めない。

ズシン!!

再び足音が響く。少なくとも、その足音は馬よりも重量が有ることを示していた。

ズシン!!!

三度足音が響く。御者は汗まみれだった。足音が大きくなる事が、接近を知らせる。

「、、、、、だ、、旦那、、、、、守ってくれるんですよ、、、ね。。。。?」

御者は受け入れ難い現実に向き合い、翔に臨戦態勢を取ることを仄めかす。

「安心しろ。此の馬車には俺と、俺の大事な人が六人も乗っているんだからな。今ここで別れることは上手くない」

翔は剣の柄に手を添える。

「ううううう!ショウ様の大事な人ってマリーですね!!」

とマリー。

「ア、 アタイがショウ様の大事な人なのかい?」

とユリア。

「レイナはショウ様と相思相愛だと信じていました」

とレイナ。

「ウチ、ショウ様のそばにいられて幸せです」

とカッサンドラ。

「ボクはショウ様の大事な人だったのか」

とバネッサ。

「わたくしはショウ様のためなら何でもしますわ」

とシャーロット。

「イチャイチャすんのは結構ですが、頼みますぜ?」

と御者。

「ヒヒーン」

と馬。

ズシン!!!!

「で、出たあ!!!」

とうとうトロールが其の不気味な巨体を現した。
全長三メートルは優に有り濁った緑色の皮膚からは粘液が漏れ出る。
知性は感じ取れないが、漂う凶暴な敵意がトロールに自我が有る事を明示していた。

「グガガ、、、ガガ」

トロールは言葉では無く唸り声を上げる。

「ショウ・タイム(俺の時間)だ」

翔は馬車から身を乗り出す。

ズバッ!!!

翔の一振りでトロールは真っ二つになった。

ドスウウン!!!

トロールの死体が地面に崩れ落ちる。

「す、すげえ、すげえよ旦那!」

御者が狂喜する。

「ううううう!ショウ様かっこよすぎますう!!」

とマリー。

「アタイはショウ様にメロメロだよ~」

とユリア。

「レイナはショウ様に一生ついていきます」

とレイナ。

「ウチはショウ様と出会うために生れて来たんやと思います」

とカッサンドラ。

「ボク、ショウ様が大好き」

とバネッサ。

「ショウ様と出会えてわたくしは幸せです」

とシャーロット。

トロールを倒したが、翔は剣を鞘に納めない。

「まだ終わっていない」

翔は辺りを見渡す。

「脅かさないで下さいよ、旦那」

御者は冗談でしょ、と言いたげに聞く。

「ボオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!」

地の底から響くようなトロールの声が沼地を包む。

ズシン!    ズシン!    ズシン!    ズシン!    ズシン!
    ズシン!    ズシン!    ズシン!    ズシン!    ズシン!

トロールの声が沼地を包むと、四方八方からトロールが出現した。
一体目のトロールは歩いて現れたが、今回は走って現れる。

「ひいい!旦那ァ!!」

御者は悲鳴を上げる。

「ショウ・タイム(俺の時間)だ」

翔は高く舞い上がり、トロールの群れに飛び込んだ。
トロールは翔を攻撃しようとするが、翔の周りに光が走るとトロールは動きを止める。
翔の斬撃がトロールを瞬殺したのだ。
翔が着地すると、その僅かな衝撃で三体のトロールが地面に崩れ落ちる。

「ボオオオ!!」

トロールは怒りを露わにして翔に襲いかかる。
しかし、翔とトロールの間には、絶対的な速度の差が有った。
トロールに包囲されても、翔は難なくそれを潜り抜ける。
トロールの岩をも砕く一撃が翔にヒットするよりも前に、翔の一太刀はトロールを葬っていた。
三体に囲まれようと、五体に囲まれようと、トロールの一撃が当たる事は無い。
翔と其の剣は最速で敵を討伐する。

「ボオ」

「ボオ」

トロール達は、戦意を喪失し始めている。

「ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」

先ほどのトロールの声がした。

ズシン!!!ズシン!!!ズシン!!!

一際大きなトロールが現れた。

「お前が此処の支配者か」

翔はトロールのドンに呟く。

「ボオオオオオオオ!!!!」

トロール・ドンの右手が翔に襲いかかる。

ゴアッ!!

「!!!」

翔はトロール・ドンの攻撃を回避した、が。
着地が完了する前にトロール・ドンの追撃が翔を襲う。

ボギャ!!!!

鈍い音がして、翔は弾き飛ばされる。

「ショウ様!!!」

六人は悲鳴を上げる。

「っがあ!」

翔は岩に激突した。岩を這っていたヤモリは翔の背中につぶされる。

≪勇者の腕輪・発動・回復≫

翔はダメージを回復した。

「ボオオオオオオ!!!!」

他のトロールの攻撃が翔を襲う。

ドゴッ!!

攻撃をしかけてきたトロールの内、一体は倒したが、もう一体からの攻撃は食らった。

ズバッ!!!

即座に反撃し、もう一体を倒す。

≪勇者の腕輪・発動・回復≫

翔はダメージを回復した。

「先に雑魚から片付けるか」

翔は跳躍し、次々とトロールを葬っていく。

ズバン!

「ボオオオ!!」

トロール・ドンは翔に襲いかかる。
しかし翔はトロール・ドンの攻撃を回避し、他のトロールを倒していく。

ズバッ!!

「片付いたか」

翔は剣を振るい、付着した血液を払い飛ばす。

「お前が最後だ」

翔はトロール・ドンに剣の切っ先を向ける。

「ボオオオ!!」

トロール・ドンは怒り狂い、翔に突進する。

「お前のターンは一度だけだったんだよ」

一筋の閃光がトロール・ドンを通過し、トロール・ドンは崩れ落ちた。
翔は一太刀でトロール・ドンを討伐した。

「ううううう!ショウ様かっこいいですう!」

とマリー。

「アタイはショウ様にメロメロだよ~」

とユリア。

「レイナはショウ様だけを愛しています」

とレイナ。

「ウチはショウ様が居ないと生きていけません」

とカッサンドラ。

「ボクはショウ様になら、なにされてもいいよ」

とバネッサ。

「わたくしの心はショウ様で満たされていますわ」

とシャーロット。

「あっしは旦那を尊敬してやす」

と御者。

「ヒヒーン」

と馬。

沼地を抜けて、馬車はジョン岩山へと向かう。

ショウ・タイム(翔の時間)は加速する。
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