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宿屋でミゾレと
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「偉大なる勇者ショウ様!数々の非礼、お許しください!ショウ様が望むものは全て献上いたします!どうか我々を御導きください!」
メアリーは翔に懇願した。
「メ、メアリー様、その様な召喚者に跪くなどメアリー家の汚点ですぞ!有ってはなりませぬ!」
大臣が絶叫する。
「お黙りなさい!あなたにはショウ様の偉大さが分からないのですか!?」
メアリーは大臣を叱責した。
「ど、どうするんですか?」
ミゾレは翔に問う。
「ふむ」
翔は『ふむ』と呟いた。
たったそれだけで、その場にいた人々は息を呑み沈黙した。
それもまたショウ・タイム(翔の時間)だった。
「取り敢えず、宿屋を手配してくれ。美味い飯も、な」
「そ、それでは。。。。。。?」
メアリーは表情を明るくする。
「今のところ、他に予定も無いし、な」
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
翔の宣言に家臣達は狂喜乱舞した。
≪メアリー伯爵領・街中≫
翔とミゾレは街中を歩いていた。
翔とミゾレは誰がどう見ても疑いようも無く絶世の美男美女だった。
道行く男はミゾレに見惚れた。
道行く女は翔に見惚れた。
ただ一つ違うのは、共に歩くミゾレも、翔に見惚れていると言う事だ。
「翔さん、、、、かっこいい。。。。」
ミゾレはボソリと呟く。
「ん?なんだ?」
翔は問う。
「な、何でもありません!」
ミゾレは顔を赤くしながら、ニッと笑う。
歩いていると、ならず者が暴れていた。
「オラオラオラー!この街は俺らイーグル団の縄張りだぜー!?」
「ヒャ―ハハハ!!」
道行く人々にならず者たちは危害を加える。
「おい爺さん!金寄こせよ!」
「なあそこの譲ちゃん、おじさんと良い事しようぜー!?」
翔は圧倒的なオーラを解放する。
ズオアッ!!!
翔の圧倒的な殺気は大気を揺らし、人々は戦慄した。
「なんだテメェー!!!」
ならず者は翔に襲い掛かる。
「ゴミ共め」
翔は拳を握り振り回す。
ドゴッ!!!
ゴシャッ!!!
バキャッ!!!
次々とならず者が倒されていく。
翔の拳はまるで巨人の鉄拳だった。
「つ、強ェ!強過ぎる!!」
「ば、化物だ!!」
「ひぃい!!」
ならず者たちは悲鳴を上げる。
「十秒やる、、、、、消えろ!!!」
ズズズ。。。。。
翔の放つ常軌を逸したどす黒いオーラがその場を支配した。
「あわわわああ。。。」
ならず者たちは口から泡を吹き、白目を剥いて失神した。
「ふん、此の程度か」
翔は吐いて捨てる様に言った。
「わあああああああああああああああああああ!!!!!」
街の人々はならず者を瞬殺した翔に熱狂して歓声を上げた。
「ん?なんだ?」
翔は歓声を上げる群衆を見た。
「あんた凄いよ!」
「あんたみたいなスケールのデカイ男を見たことないぜ!!」
「英雄だ!!」
群衆は口々に翔を称賛した。
「いや、大した事はしていないが?」
翔は本音を言った。
「謙遜するなよ!」
「器がデカイな!」
「人格者だ!」
群衆は翔を絶賛した。
しかし、ならず者を瞬殺することなど、翔にとってはいとも容易い事だった。
「翔さんかっこいい。。。。」
ミゾレはウットリとした表情で呟いた。
「ん?なんだ?」
翔は問う。
「な、なんでも有りません!」
ミゾレは顔を赤くしながらニッと笑う。
≪メアリー伯爵領・宿屋≫
「さて、飯でも食うか」
「はい!」
翔とミゾレは食事をとる。
「よっと」
翔は席に着く。
「しょ、翔さん。。。」
ミゾレは顔を赤くして翔に言った。
「ん?なんだ?」
「わ、わたし、翔さんの隣でごはんが食べたいです!!」
「ん?ああ、構わんが?」
「あ、ありがとうございます!!」
ミゾレはペコリとお辞儀した。
「翔さんと一緒にランチを食べられるなんて、夢みたいです!」
「ん?そうか?」
「はい!」
ミゾレはニッと笑う。
翔とミゾレは食事を終えて寝室にいた。
「これからどうするんですか?」
ミゾレは翔に問う。
「さあな、ダンジョン攻略か、オリバー共和国と戦うか、あるいはメアリー伯爵領を奪い取るか、それとも俺の国に帰るか、別の場所へ向かうか、、、、何だって良いのさ。
俺は俺のやりたいようにやる。何者も俺を操れない、阻めない、倒せない。
俺は今までそうやって生きてきたし、これからも俺のスタイルを崩すつもりなど皆目無い。
運命に翻弄されなどしないし、運命に操られもしない、運命に道を閉ざされる事も無い。
そんな事があれば、運命をぶった切るだけだ」
翔は自分の人生哲学を語った。
それは今までに存在した全ての哲学者を超越した空前絶後の人生哲学だった。
翔を止める事など誰にも出来なかった。
「翔さん、凄いです。。。。」
ミゾレは翔にウットリとしていた。
完全に虜になっていた。
宿屋で人生哲学を語り、一万年に一人の美少女アイドルを心酔させる。
これもまた、ショウ・タイム(翔の時間)だった。
「さて、日も暮れた事だし、眠りに就くとするか」
翔は寝室に向かう。
「あ、あのっ!」
ミゾレが翔を呼び止める。
「ん?なんだ?」
「あ、あのっ、いっ、いいいいいいい一緒に寝ても良いですか!?」
「い、一緒に寝る?」
翔にはミゾレの言葉が理解出来なかった。
「そんな事をして、一体何になるというのだ?」
「お、お願いします!」
「まあ、構わないが?」
翔はミゾレの気迫に押されて渋々承諾した。
「あ、ありがとうございます!」
ミゾレは嬉しそうに笑みを浮かべた。
≪宿屋・寝室≫
「寝るとするか」
翔はベッドに潜り込んだ。
「は、はい」
ミゾレは気恥ずかしそうに翔と同じベッドに潜り込む。
「ん?もう一つベッドが有るのだから、そちらで眠れば良いのではないか?」
翔が鋭く指摘すると、ミゾレは顔を真っ赤にした。
「さ、さっき、一緒に寝て良いって言ったじゃないですか!」
「時間的な話かと思ったが、場所の話だったのか」
「当たり前じゃないですか!そんな事してなんの意味があるんですか!!」
「ならば、同じ寝具で眠る事に、何の意味が有るのだ?」
「うう、そ、それは。。。。。」
ミゾレは言葉に詰まる。
「どうしたんだ?」
翔は問う。
「も、もういいです!」
ミゾレは涙目になりながら翔に背を向ける。
「。。。。。。?」
自分に正直に生きてきた翔にとって、ミゾレの心境は理解に苦しむものだった。
翔には友達がいなかったが、常に超然としていた。
地を這う鼠の群れを他所に、虚空を飛翔する鷹の如く。
それゆえに、他者に寄り添う事を望むミゾレの感情を量りかねた。
強さゆえの孤独。
そしてその強さがミゾレの感情に対する理解を妨げた。
「うう、ぐすっ、、、、ぐすっ。。。。。。」
ミゾレは肩を震わし、声を押し殺しながら泣いていた。
「分かった、分かったよ。一緒に寝よう」
翔は髪を掻き毟りながら敗北を認めた。
「ほ、本当ですか!」
ミゾレは満面の笑みで振り向いた。
「ああ、俺の負けだ」
「うふふ」
ミゾレは喜びながら翔のベッドに潜り込み、翔に抱き付く。
「翔さん、温かいです」
「そうか?」
翔は騙されたのでは無いかと思いながら答えた。
「翔さんと一緒に寝られて嬉しいです!」
「良かったな」
翔は、やはり一杯食わされたのではないかと思った。
何はともあれ、夜は更けた。
≪翌朝≫
鳥の囀りで翔は目を覚ます。
ミゾレは翔に抱き付いたまま熟睡している。
「器用な奴だな」
翔が呟くと、
「んん~、むにゃむにゃ、翔さん~」
ミゾレは寝言を口にした。
暢気だな、と翔は思った。
「おい、ミゾレ、朝だぞ」
「んん~、むにゃむにゃ、まだ寝ましょうよ~」
「、、、、、本当は起きているのではないか?」
「んん~、むにゃむにゃ、起きてませんよ~」
絶対嘘だな、と翔は思った。
「取り敢えず俺は起きる、そして朝食をとる」
翔は立ち上がり支度をする。
「ああっ、わたしも行きます!」
ミゾレは慌てて起き上った。
「やはり起きていたのだな」
「てへへ」
ミゾレは気恥ずかしそうに言った。
「まあ良い、朝食だ」
「はいっ!」
廊下を歩く翔の横に、ミゾレはピッタリとくっつく。
翔の右腕に抱き付き、首を傾け、顔を預ける。
ミゾレの顔は至福に包まれていた。
「随分と上機嫌だな」
翔が言った。
「はい!異世界に召喚されてから、嫌な事ばっかりだったけど、わたし今、幸せです!生きてきた中で、今が一番幸せです!!」
ミゾレは翔の顔を上目づかいで見詰め、ニッと笑う。
≪宿屋・食堂≫
「今日は何を食べましょうか?」
ミゾレはルンルンと鼻歌混じりに翔に話しかける。
「栄養の豊富な食材、消化に優れた食材、スタミナの付く食材、腹持ちのする食材」
翔は極めて合理的に食材を選別した。
「な、なるほど。。。」
ミゾレは翔の合理的な選択に圧倒された。
朝早くから食堂で海よりも深い博識を披露した。
そして一万年に一人の美少女アイドルを感心させ、ますます夢中にさせる。
「翔さん凄いです!!」
ミゾレはニッと笑う。
胸の高鳴りを感じながら、ミゾレは尊敬の眼差しを翔に向けた。
これもまた、ショウ・タイム(翔の時間)である。
「大変だあ―――――――――!!!」
一人の兵士が宿屋に駆け込んできた。
「大変だ!大変だ!大変なんだ―――――――!!!!」
兵士は取り乱している。
「落ち着け!」
翔が圧倒的なオーラを放出すると、兵士は圧倒的強者である翔に逆らってはいけないという恐怖と、翔という偉大なる英雄が味方になってくれるかも知れないという安堵から落ち着きを取り戻す。
「どうしたのか、順序立てて説明してみろ」
「あ、あの、襲撃が有りました!」
「誰から?」
「そ、それが、、、、」
「何だ?言い辛い事なのか?」
「か、確証は無いのですが、前線の兵士達の報告を宮廷魔術師達が統合したところ、、、、」
兵士は歯切れが悪い。
「何だ?はっきりと言え」
「ち、知性を持つ魔族なのではないかと、、、、、」
「ほお」
翔は興味深そうに言った。
「あの、でも、まだ確証は無いのですが、知性を持つ魔族が存在すると仮定した場合の特徴や条件と一致している部分が多いので。。。。。。」
「了解した。可及的速やかに現場へ向かう」
翔は席を立ちあがる。
「あ、ありがとうございます!!」
兵士は泣いて礼を言った。
「ショウ・タイム(俺の時間)だ」
翔は支度をする。
「あ、あの、わたしも付いて行っていいですか?」
ミゾレが翔に聞いた。
「、、、、、ミゾレの好きにすれば良い」
「はいっ!」
ミゾレはニッと笑う。
空前絶後の偉大なる英雄、翔が出撃した。
ショウ・タイム(翔の時間)は加速する。
メアリーは翔に懇願した。
「メ、メアリー様、その様な召喚者に跪くなどメアリー家の汚点ですぞ!有ってはなりませぬ!」
大臣が絶叫する。
「お黙りなさい!あなたにはショウ様の偉大さが分からないのですか!?」
メアリーは大臣を叱責した。
「ど、どうするんですか?」
ミゾレは翔に問う。
「ふむ」
翔は『ふむ』と呟いた。
たったそれだけで、その場にいた人々は息を呑み沈黙した。
それもまたショウ・タイム(翔の時間)だった。
「取り敢えず、宿屋を手配してくれ。美味い飯も、な」
「そ、それでは。。。。。。?」
メアリーは表情を明るくする。
「今のところ、他に予定も無いし、な」
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
翔の宣言に家臣達は狂喜乱舞した。
≪メアリー伯爵領・街中≫
翔とミゾレは街中を歩いていた。
翔とミゾレは誰がどう見ても疑いようも無く絶世の美男美女だった。
道行く男はミゾレに見惚れた。
道行く女は翔に見惚れた。
ただ一つ違うのは、共に歩くミゾレも、翔に見惚れていると言う事だ。
「翔さん、、、、かっこいい。。。。」
ミゾレはボソリと呟く。
「ん?なんだ?」
翔は問う。
「な、何でもありません!」
ミゾレは顔を赤くしながら、ニッと笑う。
歩いていると、ならず者が暴れていた。
「オラオラオラー!この街は俺らイーグル団の縄張りだぜー!?」
「ヒャ―ハハハ!!」
道行く人々にならず者たちは危害を加える。
「おい爺さん!金寄こせよ!」
「なあそこの譲ちゃん、おじさんと良い事しようぜー!?」
翔は圧倒的なオーラを解放する。
ズオアッ!!!
翔の圧倒的な殺気は大気を揺らし、人々は戦慄した。
「なんだテメェー!!!」
ならず者は翔に襲い掛かる。
「ゴミ共め」
翔は拳を握り振り回す。
ドゴッ!!!
ゴシャッ!!!
バキャッ!!!
次々とならず者が倒されていく。
翔の拳はまるで巨人の鉄拳だった。
「つ、強ェ!強過ぎる!!」
「ば、化物だ!!」
「ひぃい!!」
ならず者たちは悲鳴を上げる。
「十秒やる、、、、、消えろ!!!」
ズズズ。。。。。
翔の放つ常軌を逸したどす黒いオーラがその場を支配した。
「あわわわああ。。。」
ならず者たちは口から泡を吹き、白目を剥いて失神した。
「ふん、此の程度か」
翔は吐いて捨てる様に言った。
「わあああああああああああああああああああ!!!!!」
街の人々はならず者を瞬殺した翔に熱狂して歓声を上げた。
「ん?なんだ?」
翔は歓声を上げる群衆を見た。
「あんた凄いよ!」
「あんたみたいなスケールのデカイ男を見たことないぜ!!」
「英雄だ!!」
群衆は口々に翔を称賛した。
「いや、大した事はしていないが?」
翔は本音を言った。
「謙遜するなよ!」
「器がデカイな!」
「人格者だ!」
群衆は翔を絶賛した。
しかし、ならず者を瞬殺することなど、翔にとってはいとも容易い事だった。
「翔さんかっこいい。。。。」
ミゾレはウットリとした表情で呟いた。
「ん?なんだ?」
翔は問う。
「な、なんでも有りません!」
ミゾレは顔を赤くしながらニッと笑う。
≪メアリー伯爵領・宿屋≫
「さて、飯でも食うか」
「はい!」
翔とミゾレは食事をとる。
「よっと」
翔は席に着く。
「しょ、翔さん。。。」
ミゾレは顔を赤くして翔に言った。
「ん?なんだ?」
「わ、わたし、翔さんの隣でごはんが食べたいです!!」
「ん?ああ、構わんが?」
「あ、ありがとうございます!!」
ミゾレはペコリとお辞儀した。
「翔さんと一緒にランチを食べられるなんて、夢みたいです!」
「ん?そうか?」
「はい!」
ミゾレはニッと笑う。
翔とミゾレは食事を終えて寝室にいた。
「これからどうするんですか?」
ミゾレは翔に問う。
「さあな、ダンジョン攻略か、オリバー共和国と戦うか、あるいはメアリー伯爵領を奪い取るか、それとも俺の国に帰るか、別の場所へ向かうか、、、、何だって良いのさ。
俺は俺のやりたいようにやる。何者も俺を操れない、阻めない、倒せない。
俺は今までそうやって生きてきたし、これからも俺のスタイルを崩すつもりなど皆目無い。
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それは今までに存在した全ての哲学者を超越した空前絶後の人生哲学だった。
翔を止める事など誰にも出来なかった。
「翔さん、凄いです。。。。」
ミゾレは翔にウットリとしていた。
完全に虜になっていた。
宿屋で人生哲学を語り、一万年に一人の美少女アイドルを心酔させる。
これもまた、ショウ・タイム(翔の時間)だった。
「さて、日も暮れた事だし、眠りに就くとするか」
翔は寝室に向かう。
「あ、あのっ!」
ミゾレが翔を呼び止める。
「ん?なんだ?」
「あ、あのっ、いっ、いいいいいいい一緒に寝ても良いですか!?」
「い、一緒に寝る?」
翔にはミゾレの言葉が理解出来なかった。
「そんな事をして、一体何になるというのだ?」
「お、お願いします!」
「まあ、構わないが?」
翔はミゾレの気迫に押されて渋々承諾した。
「あ、ありがとうございます!」
ミゾレは嬉しそうに笑みを浮かべた。
≪宿屋・寝室≫
「寝るとするか」
翔はベッドに潜り込んだ。
「は、はい」
ミゾレは気恥ずかしそうに翔と同じベッドに潜り込む。
「ん?もう一つベッドが有るのだから、そちらで眠れば良いのではないか?」
翔が鋭く指摘すると、ミゾレは顔を真っ赤にした。
「さ、さっき、一緒に寝て良いって言ったじゃないですか!」
「時間的な話かと思ったが、場所の話だったのか」
「当たり前じゃないですか!そんな事してなんの意味があるんですか!!」
「ならば、同じ寝具で眠る事に、何の意味が有るのだ?」
「うう、そ、それは。。。。。」
ミゾレは言葉に詰まる。
「どうしたんだ?」
翔は問う。
「も、もういいです!」
ミゾレは涙目になりながら翔に背を向ける。
「。。。。。。?」
自分に正直に生きてきた翔にとって、ミゾレの心境は理解に苦しむものだった。
翔には友達がいなかったが、常に超然としていた。
地を這う鼠の群れを他所に、虚空を飛翔する鷹の如く。
それゆえに、他者に寄り添う事を望むミゾレの感情を量りかねた。
強さゆえの孤独。
そしてその強さがミゾレの感情に対する理解を妨げた。
「うう、ぐすっ、、、、ぐすっ。。。。。。」
ミゾレは肩を震わし、声を押し殺しながら泣いていた。
「分かった、分かったよ。一緒に寝よう」
翔は髪を掻き毟りながら敗北を認めた。
「ほ、本当ですか!」
ミゾレは満面の笑みで振り向いた。
「ああ、俺の負けだ」
「うふふ」
ミゾレは喜びながら翔のベッドに潜り込み、翔に抱き付く。
「翔さん、温かいです」
「そうか?」
翔は騙されたのでは無いかと思いながら答えた。
「翔さんと一緒に寝られて嬉しいです!」
「良かったな」
翔は、やはり一杯食わされたのではないかと思った。
何はともあれ、夜は更けた。
≪翌朝≫
鳥の囀りで翔は目を覚ます。
ミゾレは翔に抱き付いたまま熟睡している。
「器用な奴だな」
翔が呟くと、
「んん~、むにゃむにゃ、翔さん~」
ミゾレは寝言を口にした。
暢気だな、と翔は思った。
「おい、ミゾレ、朝だぞ」
「んん~、むにゃむにゃ、まだ寝ましょうよ~」
「、、、、、本当は起きているのではないか?」
「んん~、むにゃむにゃ、起きてませんよ~」
絶対嘘だな、と翔は思った。
「取り敢えず俺は起きる、そして朝食をとる」
翔は立ち上がり支度をする。
「ああっ、わたしも行きます!」
ミゾレは慌てて起き上った。
「やはり起きていたのだな」
「てへへ」
ミゾレは気恥ずかしそうに言った。
「まあ良い、朝食だ」
「はいっ!」
廊下を歩く翔の横に、ミゾレはピッタリとくっつく。
翔の右腕に抱き付き、首を傾け、顔を預ける。
ミゾレの顔は至福に包まれていた。
「随分と上機嫌だな」
翔が言った。
「はい!異世界に召喚されてから、嫌な事ばっかりだったけど、わたし今、幸せです!生きてきた中で、今が一番幸せです!!」
ミゾレは翔の顔を上目づかいで見詰め、ニッと笑う。
≪宿屋・食堂≫
「今日は何を食べましょうか?」
ミゾレはルンルンと鼻歌混じりに翔に話しかける。
「栄養の豊富な食材、消化に優れた食材、スタミナの付く食材、腹持ちのする食材」
翔は極めて合理的に食材を選別した。
「な、なるほど。。。」
ミゾレは翔の合理的な選択に圧倒された。
朝早くから食堂で海よりも深い博識を披露した。
そして一万年に一人の美少女アイドルを感心させ、ますます夢中にさせる。
「翔さん凄いです!!」
ミゾレはニッと笑う。
胸の高鳴りを感じながら、ミゾレは尊敬の眼差しを翔に向けた。
これもまた、ショウ・タイム(翔の時間)である。
「大変だあ―――――――――!!!」
一人の兵士が宿屋に駆け込んできた。
「大変だ!大変だ!大変なんだ―――――――!!!!」
兵士は取り乱している。
「落ち着け!」
翔が圧倒的なオーラを放出すると、兵士は圧倒的強者である翔に逆らってはいけないという恐怖と、翔という偉大なる英雄が味方になってくれるかも知れないという安堵から落ち着きを取り戻す。
「どうしたのか、順序立てて説明してみろ」
「あ、あの、襲撃が有りました!」
「誰から?」
「そ、それが、、、、」
「何だ?言い辛い事なのか?」
「か、確証は無いのですが、前線の兵士達の報告を宮廷魔術師達が統合したところ、、、、」
兵士は歯切れが悪い。
「何だ?はっきりと言え」
「ち、知性を持つ魔族なのではないかと、、、、、」
「ほお」
翔は興味深そうに言った。
「あの、でも、まだ確証は無いのですが、知性を持つ魔族が存在すると仮定した場合の特徴や条件と一致している部分が多いので。。。。。。」
「了解した。可及的速やかに現場へ向かう」
翔は席を立ちあがる。
「あ、ありがとうございます!!」
兵士は泣いて礼を言った。
「ショウ・タイム(俺の時間)だ」
翔は支度をする。
「あ、あの、わたしも付いて行っていいですか?」
ミゾレが翔に聞いた。
「、、、、、ミゾレの好きにすれば良い」
「はいっ!」
ミゾレはニッと笑う。
空前絶後の偉大なる英雄、翔が出撃した。
ショウ・タイム(翔の時間)は加速する。
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