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崩れる
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しおりを挟む“死ぬ”………?
「なんで……?」
「……ふーくんがいない人生に意味がないから。」
俺がいない人生………?
「どういうこと……」
「………俺さ、考えたんだよね。如何したらふーくんが幸せになるのかなって。ふーくんが幸せになる未来には俺はいないんだよ。」
「っ………?」
何を言ってるんだ。
「俺だってっ、雄斗がいないの嫌だ……」
雄斗がいないのが苦しい。
辛いから頑張った。
なのに………
「俺と離れたら死のうと思ったでしょ?」
「え………」
「……嬉しいよ。そこまで俺を想うようになってくれて。」
雄斗はぎゅっと俺を優しく抱きしめる。
「死にたくない?」
「っ……雄斗が死ぬなら死にたい……雄斗と離れるなら死にたい。ずっと一緒にいられるなら生きる。」
「………そっか。」
彼は優しい声で、眼差しで、俺を見つめる。
「俺もそうだよ。……だけどね、……………。」
雄斗は何か言おうとしているが、言葉を詰まらせている。
「……ゆうと?」
「……………俺、さ……ふーくん以外の人と数えきれないほど主従関係を築いている。初体験だってふーくんじゃないし、百合先輩をあんなんにさせたのも俺だ。ふーくんを自分のものにしようとして、たくさんの人を傷つけた。」
「………うん。」
「覚えてる?廃校舎でシたの。」
「うん。」
「痛かったよね。」
「すげー痛かった。嫌いになった。」
「……………」
「殺されそうになったの…怖かった。俺が俺じゃなくなるのが1番怖かった。……だけど、今は怖くない。」
「……え?」
「いいよ。一緒に死のう。」
「……なんで?」
「わかんね。」
いつから雄斗を好きになったのかわからない。
主従関係を築いたから好意に発展したのか、百合先輩の壊れた姿を見た後に彼への好意に気づいたのか。遥奈さんに言われて気づいたのか。
わからないことだらけ。
“「人の言うことが正解としか判らないのよ」”
本当にそうだ。
俺も馬鹿だから、雄斗がいないと生きていけない。
「………俺が腕につけた傷、まだ残ってる?」
「傷?うん、残ってるけど。」
「それは、俺が生きていた証になるね。」
「………え?ゆうと、?」
「俺は、死を逃げる理由にしていた。死んでしまったらどんなに楽か…って考えたことがあるけど……ふーくんは…そう思ってないなら、多分もっと生きて幸せになるべきだよ。」
ゆっくりと雄斗は俺を離す。
「ふーくんのお母さん、もう解放しているよ。隼人の家の病院にいる。……ごめんね、いつも自分勝手で。」
そう言い、彼は俺にキスをする。
「愛してるよ、風。」
「っ……!ゆう」
止まれ
「【stop】」
「っ?!!」
動けない
雄斗を追いかけないといけないのに
「っ……!やだっ…、やだ……ゆうと…!!」
彼は振り向かない。
雄斗の顔が思い出せない。
最後の、顔が思い出せない。
どんな顔をしていたっけ
どんな服を着て、何が好きだったっけ
思い出せない
もう一度、雄斗を見たい
安心したい。
「ゆうと!!!!」
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