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こんがラガる
2.
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「凛さんのところにね、今日寄ってきたの。それで幸子さんとの付き合い方を相談したんだけど。あ、もちろん、年齢のことはいってないよ。そしたら、まずは幸子さんについてよく知ることが大事だっていわれたの」
学校から帰るとすぐ、ゆきは和人の部屋に行った。和人が、同好会の集まりではプライベートな会話をしたがらないのだ。おそらくもう一人のメンバーに気をつかっていることは、ゆきにも想像がついた。
「……うん」
和人はベッドの上で、上半身だけ起こしてボーッとしたまま答えた。
「考えてみれば、私たち、あの人のこと、知っているようで知らなかったと思うの」
「……そうだね」
うつむき加減に答える和人の態度は、ゆきをいらいらさせた。
一体誰のために動いているか、分かっているの?
ゆきはそう聞きたかった。
小学校のときから、クラスで出しものやイベントをするときにアイデアだけ出して、いざ準備段階に入ると途端に意気が萎んでいく連中がいる。結局、一番大変な思いをするのは、準備段階で頭を使い、身体を動かす人たちなのだ。
兄がそんな連中と一緒だとは、ゆきは思いたくなかった。
「お兄ちゃん、これって結構大事なことだと思うよ。うちの家族も、町の人も実はよく分かってないんじゃない?」
両親はゆきや和人が、緑亭館に行かなくなったことについて一切詮索してこなかった。
それこそ、思考が麻痺している証拠ではないか。
幸子がすることは何でも正しいし、従わなければいけないと思っているのではないだろうか。
ゆきはそんな風に思っていた。
「でもさ、どうやって知るの? だって本人に聞くわけにはいかないでしょ?」
ゆきもそこまでは考えが浮かばなかった。
両親に聞くわけにはいかない。さすがに不審に思われるだろうし、幸子に言いつけられたりでもしたら、面倒なことになる。
かといって幸子を魔女として内心恐れている町の人間が、ペラペラ話すとは思えない。
「お兄ちゃん、確か良子さんのお父さんの会社の知り合いって、幸子さんの遠縁にあたるんだよね?」
「うん。家庭内で起きた事件を解決してもらったっていってた」
「だったら、良子さんに聞いてみたら?」
和人は納得していない様子だったが、とりあえず承諾した。
ゆきは、いつしか興奮を覚えていた。
幸子を徐々に追い詰める。
それは、狩人の心情に似ているかもしれない。
徐々に罠はすぼまってきている。
自分はすごいことをしているのだと、半ば浮かれたような熱を体内に感じていた。
もはや幸子が和人にいった言葉など、ゆきの頭にはなかった。
ゆきは心のどこかで薄ら寒い気配を感じていた。だがそれは、徹底的に無視することに決めた。
学校から帰るとすぐ、ゆきは和人の部屋に行った。和人が、同好会の集まりではプライベートな会話をしたがらないのだ。おそらくもう一人のメンバーに気をつかっていることは、ゆきにも想像がついた。
「……うん」
和人はベッドの上で、上半身だけ起こしてボーッとしたまま答えた。
「考えてみれば、私たち、あの人のこと、知っているようで知らなかったと思うの」
「……そうだね」
うつむき加減に答える和人の態度は、ゆきをいらいらさせた。
一体誰のために動いているか、分かっているの?
ゆきはそう聞きたかった。
小学校のときから、クラスで出しものやイベントをするときにアイデアだけ出して、いざ準備段階に入ると途端に意気が萎んでいく連中がいる。結局、一番大変な思いをするのは、準備段階で頭を使い、身体を動かす人たちなのだ。
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「お兄ちゃん、これって結構大事なことだと思うよ。うちの家族も、町の人も実はよく分かってないんじゃない?」
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それこそ、思考が麻痺している証拠ではないか。
幸子がすることは何でも正しいし、従わなければいけないと思っているのではないだろうか。
ゆきはそんな風に思っていた。
「でもさ、どうやって知るの? だって本人に聞くわけにはいかないでしょ?」
ゆきもそこまでは考えが浮かばなかった。
両親に聞くわけにはいかない。さすがに不審に思われるだろうし、幸子に言いつけられたりでもしたら、面倒なことになる。
かといって幸子を魔女として内心恐れている町の人間が、ペラペラ話すとは思えない。
「お兄ちゃん、確か良子さんのお父さんの会社の知り合いって、幸子さんの遠縁にあたるんだよね?」
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「だったら、良子さんに聞いてみたら?」
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それは、狩人の心情に似ているかもしれない。
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