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Evo14 「ブレンダの望み」
しおりを挟む私が通う学校に新入生として入学して来た、杉浦 笑姫(すぎうら えひめ) ちゃん。趣味としてタロット占いが得意なのですが、その能力に気付いた魔術師アライスターさんは、笑姫ちゃんを遣いとして選定する事にしたのです。
その後、私達に状況を説明してくれた笑姫ちゃんは、魔法の国でアリスちゃんと対戦修行をさせられる事になってしまうのでした。
「さあ、笑姫、貴女も変身しなさい」
「変身した姿は恥ずかしいのですが。……我に射し込むその力 今この時この瞬間 運命の扉を開かん……笑姫……エボリューションっ!」
「笑姫ちゃん可愛い~。その格好、アニメで見る魔法使いの姿だよね?」
変身の際、イメージする事でどんな姿にも慣れるのですが、笑姫ちゃんは魔法使いの姿を古典的な格好でイメージしてしたらしいのです。
「じゃあ笑姫、魔力で技を出してみなさい」
「と、言われましても……」
「笑姫ちゃんの魔法は、タロットを使うんだよね? なら好きなカードの力を身に付ければ大丈夫だよ」
笑姫ちゃんは少し考え、1枚のカード名を叫びました。それはエンプレスの『女帝』 を示し、正位置では『魅力』 の能力を持つカードだそうです。
そして笑姫ちゃんは貴族の格好に変身したのですが、それだけでは戦闘としてあまり意味が無いと、アリスちゃんに言われてしまいました。
「魅力の能力ね。確かにさっきよりはマシな格好だけど……エリースっ!」
エリースの能力を使い、勢い良く突進するアリスちゃん。だけど笑姫ちゃんは、咄嗟にエンプレスの能力を正位置から逆位置へと反転させたのです。
それは、相手を『疑心暗鬼』 にさせる能力であるらしく、アリスちゃんはまんまと笑姫ちゃんの技を受けてしまったのでした。
そしてその魔法の効果により、アリスちゃんは攻撃を一旦中断し、考え込んでしまったのです。
「ただ突っ込むだけじゃ、避けられるかも知れないわね。蹴り? それとも突きで行こうかしら?」
「アリスちゃん、笑姫ちゃんの勝ちだよ」
私の言葉で、漸く術を掛けられていた事に気が付いたアリスちゃん。
「えっ? あぁ、ワザとよ。だって少しは手を抜いてあげないと可愛そうでしょ?」
一先ず、初戦闘体験をした笑姫ちゃん。とは言ったものの、私と同じで笑姫ちゃんは、今までの人生の中で戦いなどした事が無いのです。そんな笑姫ちゃんは、やはり戦う事に於いて少しの不安は残していた様でした。
だけど神黒翡翠を手にするには、戦闘を避ける事は出来ないのだと、アリスちゃんに助言されたのです。
「有難う御座いました、アリスさん。翡翠ちゃんも、ありがとね」
「笑姫ちゃんなら、直ぐに魔法を自由に使える様になるよ」
私達は普通の生活を送っていれば、戦闘など特に経験する事は無かったでしょう。だけど魔法の力を手に入れた事により、その代償として戦わなければいけなくてなってしまいました。でもそれもまた、成長をする為に良い経験となる筈だと、私は信じています。
そして笑姫ちゃんは自主トレをする為、魔法の国へとちょくちょく出向いていたそうなのですが、そんなある日、他の遣いに出くわす事になってしまったらしいのです。
「ふぅ。今日はこれくらいにしておこうかなぁ」
自主トレを開始してから、1週間程経った笑姫ちゃん。元々飲み込みの早い事もあり、魔法の使い方を大分理解して来ていたみたいです。
だけどそこへ、1人の遣いが現れたと言っていました。
「ねぇ、アンタ。この領土に入れてくんないか?」
「え? うちの領土にですか?」
笑姫ちゃんは思い出したそうです。領土に他の遣いを入れるには、話し合いか戦闘で勝利する事を。そこで笑姫ちゃんが出した答えは、戦いをする事であったらしいのです。
特訓の成果を試したい気持ちもあった様なのですが、何より私達に早く追い付きたいという思いがあったのだと聞きました。
「どうなんだよ? 入れるのか入れないのか?」
「……私は、魔術師 アライスターの遣い、杉浦 笑姫です。貴女の名前は?」
律儀に自己紹介をした笑姫ちゃん。そして相手も面倒くさそうに名を名乗ったそうです。
「私は、魔術師レンバラントの遣い、ブレンダ デ ヴリースだ。名を名乗ったからには……っ!」
笑姫ちゃんなら変身しなくと倒せると考えたらしいブレンダさん(女性) は、肉弾戦で仕掛けて来たそうなのです。
「痛~っ。いきなり攻撃するなんて卑怯ですね」
「これは戦いだが、ケンカでもあるんだよ。そのケンカに卑怯もへったくれも無いだろっ!」
流石に只の拳でも当てられては危険だと考えた笑姫ちゃんは、ブレンダさんから少し距離を取る事にしたそうです。そして、意外にも勝気な性格であった笑姫ちゃんは、呪文を唱え戦う事にしたと言っていました。
「もう、許さないんだから。我に射し込むその力 今この時この瞬間 運命の扉を開かん……笑姫……エボリューションっ!」
「ちっ、まあ良いだろう。我を彩りしその力 今この時この瞬間 世界を塗り替えん……ブレンダ……エボリューションっ!」
ブレンダさんも変身してしまったそうです。そしてブレンダさんは、『黄道12宮絵画』 の魔法を使い熟す遣いであったと、笑姫ちゃんから聞きました。
「ハーミットっ!」
「なら私は……彩れ、オーギュスっ!」
笑姫ちゃんが使った魔法のハーミットは『隠者』 を示し、『変幻自在』 の能力を持つらしいです。
そしてブレンダさんが使用した魔法のオーギュスは、『光の動き』 の能力を持っているのだとか。
そこで笑姫ちゃんはその身をコンドルに変幻させ、ブレンダさんに突進したらしいのですが、光の動きには到底追い付けないでいた様なのです。
「ジッとしててよねっ!」
「アホか。その程度の能力で私に勝てるかよ。終いだ、クロードっ!」
クロードは『睡蓮の花攻撃』 の能力を持ち、笑姫ちゃんの眼前に花びらを散りばめ視界を奪ったそうです。そしてブレンドさんの一撃を受けてしまった笑姫ちゃん。
「ぐううっ……」
「ふん。こんな弱い遣いじゃ、アンタんとこの魔術師も苦労するねぇ」
笑姫ちゃんの横を過ぎ去り、領土へ侵入しようとしたブレンダさん。と、そこへ私は笑姫ちゃんの様子を見に、魔法の国へ訪れていたのです。
「笑姫ちゃん、差し入れにおにぎり持って来たよ~」
「翡翠ちゃん……」
蹲る笑姫ちゃんを見つめ、一瞬固まってしまった私。そして、翡翠と言う名を聞いたブレンダさんは話し掛けて来たのです。
「オマエが、若竹 翡翠か? 神黒翡翠を手に入れた事があるんだってな?」
「えとぉ、どちら様で? と言うか、魔法の国にいるのだから、遣いの方ですよね」
ブレンダさんはブルガリアの生まれだそうなのですが、日本とブルガリアには6時間程時差があるのです。
そして、私達が神黒翡翠を見つけた時刻は朝の10時頃であり、その頃ブルガリアは明け方の4時であったのでした。
ですので、ブレンダさんは熟睡していたらしく、神黒翡翠の気配や、魔術師の言葉に全く気が付かず、神黒翡翠の争奪戦に参戦する事が出来なかった様なのです。
「神黒翡翠が出現した時の状況を詳しく教えろ。そうすれば、そこで転がってる奴の様にはしないでやるよ」
その言葉で、漸く笑姫ちゃんがブレンダさんにやられているのだと言う状況を理解した私。そして私もブレンダさんに言葉を返しました。
「貴女には教えません。もし聞きたいのであれば、笑姫ちゃんに謝って下さい」
「翡翠ちゃん?」
「上等だ。神黒翡翠を手にした奴の力を知りたかったところ何だよ。行くぜっ!」
私は即座に変身し、ブレンダさんの攻撃に対応しました。そして、そこにアキナ君が現れ助言してくれたのです。
「翡翠、ブレンダは絵画の魔法を使うんだ」
「アキナ君? 何か久しぶりだね。でも、ありがと。じゃあ私は……ウエルさん、お願いします」
先ずは、ウエルさんの能力である『勇気』 で、私は応戦しました。
「勇気なんざ、自分で奮い立たせるものなんだよっ。行け、サンドロっ!」
サンドロは『大きさ』 の能力を持つらしく、ブレンダさんは近くにあったクリスタルストーンを巨大化させ、私に投げ付けて来たのです。
だけど私は、守護能力を持つ4体の天使さん達を同化させ、その攻撃を防いだのでした。
「ふぅ、危なかったぁ」
「……5つの能力を身に付けたのか。流石だと言っておこう。だが、これならばどうだ。パブロっ!」
パブロの能力は『無差別攻撃』 であるらしく、ブレンダさんはその場にあった物質を、手当たり次第に武器へと変化させ攻撃を繰り出して来たのです。
そして、私もこのままでは埒があかないと考え、攻撃魔法の1つであるラムさんに同化して貰い、ブレンダさんの動きを止める事に成功したのでした。
「ぐっ……6つ目の能力か。だが、私は負けんぞっ!」
ブレンダさんは次の攻撃体制に入っていたのですが、その時マリアさんが現れ戦いを中断させる事になったのです。
「翡翠、調子はいかかです? と言いますかブレンダ、何をしているのですか」
どうやら、マリアさんとブレンダさんは知り合いであった様なのです。そして、マリアさんの出現により、ブレンダさんの言葉遣いに異変が起きたのでした。
「マ、マリア様。貴女様こそ、何故ここに……」
マリアさんは偶然、笑姫ちゃんの領土近くを通り掛かっていた様なのですが、私とブレンダさんが戦っているのを見かけ立ち止まったらしいのです。
そしてマリアさんとブレンダさんの関係は、ブレンダさんがマリアさんを一方的に憧れている存在であるのだと聞きました。
「ブレンダ、貴女まさかまた、一方的に戦いを仕掛けた訳では無いでしょうね?」
「いや、それは……。ですがマリア様、こいつは倒さなけばいけない相手です。マリア様の敵になる奴は私がっ」
マリアさんはブレンダさんの話を遮りました。例え私が敵であったとしても、無闇な戦闘をするものでは無いのだと。
「えとぉ、マリアさん? ブレンダさんとは、どういったご関係なのでしょうか?」
「マリア様に気安く話し掛けるな。私はマリア様の奏でる音に魅了して遣えているのだっ」
この2人の関係には、もう少し事情があるらしいのですが、一先ず戦闘の続きはやらない事になり、私達は一般世界へと戻る事になりました。
「翡翠ちゃん、カッコ良かったよっ!」
「いえいえ。あのままブレンダさんと戦ってたら、負けてたかも知れないよ」
その後、私は笑姫ちゃんに戦いについて少しだけ説明しました。もし魔法の国で戦い、傷付いても死ぬ事は無いのですが、魔術師の魔力が枯渇してしまうと、最終的には魔法を使う事は愚か、魔法の国へも行けなくなってしまうのだと。
「そっかぁ。じゃあ、やっぱり強くならなきゃいけないんだね」
「うん。でもね、強くなる為には目的が必要だと思うんだぁ」
私は多くの人の平和の為に、マリアさんは己を刺激する者に出会う為に神黒翡翠を欲しています。笑姫ちゃんも成り行きで遣いになってしまいましたが、やはり戦闘をするにあたって目的は必要になって来ると思ったのでした。
「私は、多分ブレンダさんと同じ理由かな。翡翠ちゃんみたいに強い人になりたいの」
「いえ、待って。私、途轍もなく弱いよ? 自分で言うのも何だけど、頭も運動も精神力も」
私は覚えていなかったのですが、笑姫ちゃんは幼い頃、私に助けられた事が何度かあったそうです。
犬に追いかけられた時、私も怖い筈であるのに庇ったそうです。落し物をした時は、親に叱られるのを承知で、夜遅くにまで一緒に探した様でした。
そして何より笑姫ちゃんは、自分を犠牲にしてでも助けてくれる私に、憧れているのだと言ってくれたのです。
と、その頃、マリアさんとブレンダさんにて。
「ブレンダ、貴女はもう少しお淑やかになさい」
「マリア様、そうは言われましても、私は強くあらねばいけないのです」
ブレンダさんは言ったそうです。今のままでもマリアさんは強さと気品を兼ね備えているのですが、サポート役の自分は、そこいらの遣いに負ける訳にはいかないのだと。
だけどマリアさんは、ブレンダさんをサポート役にした覚えは無いと告げたらしく、自分は1人で大丈夫であると突き放したそうです。
「ブレンダ、貴女は貴女の望みの為に戦いなさい」
「私の望みは、マリア様に降りかかる火の粉を振り払う事です」
呆れるマリアさんであったらしいのですが、好きにしなさいとブレンダさんに声を掛けたと聞きました。
ブレンダさん自身、本来はとても優しい心の持ち主であるそうです。アリスちゃんと同じで魔術師の父がいたそうなのですが、魔法を誤った使い方で行使してしまい、その反動で寿命を縮め引退する事になってしまったのだと、私は聞きました。
1人になってしまったブレンダさんですが、マリアさんの家に引き取られ今に至っているらしいです。
そして歳も近い2人であるそうなのですが、ブレンダさんにとってマリアさんは超える事の出来ない存在であったみたいです。ならば、ブレンダさんに出来る事は、マリアさんの為にその身を尽くす事だと幼心に誓い、別の魔術師の遣いになったのだと聞きました。
「そう言えばブレンダ。少し前に拾ったペンダントはどうしたのですか?」
「あれは浜辺で拾った物でしたので、小瓶に入れて海に戻しました」
「そう。持ち主の所に戻ると良いですわね。と言いますか、そういう優し気持ちで他人に接しなさい」
ブレンダさんが拾ったペンダント……。普通にアリスちゃんが無くした物であった事は、その後誰にも知られる事は無かったのでした。
だけど手紙に書いた文章といい、ブレンダさんも乙女な一面がある様なのです。そんなブレンダさんであったのですが、ある日を境に遣いとして、マリアさんを支えられなくなってしまう時がやって来てしまうらしいのですが……。
と、その前に私達に戻って。
「翡翠ちゃん、ちょっと良い?」
「どうしたの、笑姫ちゃん?」
昨晩、笑姫ちゃんは私のこれからの出来事を自宅で占ってくれていた様なのです。それは直近についての占いであった様なのですが、私に幸せな出来事と、身近な人と戦わなければいけないと言う暗示であったと言っていました。
「私の占いは詳しい状況まで当てられないんだけど、一応気を付けてね」
「うん。でも、良い事と争い事かぁ……微妙な結果だね」
その2つの出来事は、私のこれからにとって大きな意味を持つ事柄になってしまうです。
人は生きて行く中で、嫌な事や悲しい出来事に遭遇してしまう事の方が多いかも知れません。だけどその辛さを乗り越えた時、悲しみもまた思い出として刻まれて行くのでしょう。
そしてその辛い出来事も、その人の経験として活かす事が出来るのだと、私は信じています。
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