翡翠Evolution 〜我に宿りしその力〜

えーしろ

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Evo15 「雨曜日の贈り物」

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 雨は、生きとし生けるもの全てに、恵みとして降り注いでくれます。それは、空を洗い流し浄化してくれる優しい現象でもあり、時には悲しい雨になってしまう事もあるでしょう。

 だけど雨が止んだ空には、悲しみを消し去ってくれる程の、晴れ渡った景色が広がっていますよね。


 そして私にも、雨からの贈り物が届く事になったのです。


「店長、今日も暇ですね」

「ああ。こうも雨が続くと客足に影響が出てかなわんよ」

「あっ、光也君、配達お疲れ様~」

 店長の話をスルーしてしまった私。だけど今年の梅雨は、これでもかという程雨を降らせていたのです。


「どしゃ降りで、びしょ濡れだよ」

「タオルで身体を拭いた方が良いよ。はい、どうぞ」

 店長との接し方が、明らかに違ってしまった私ですが、まあ、それはしょうがないとして、店長は自分の過去話を無理矢理、私達に聞かせ始めたのです。

 店長は今年で53歳になるそうなのですが、バツ1の離婚経験者であるのだそうです。しかも、2人の子持ちであると言っていました。


「まあ、離婚理由は完全に俺の性なんだけどな」

 店長が若かった頃は、まだ景気が良い時代で毎晩の様に豪遊していそうです。と、ここで、店長の話はどうでもいいと感じるかも知れませんが、本当にどうでもいい話なので読み飛ばしても構わないですよ。


「店長アレですか? ギャンブルとかに手を出して、愛想を尽かされたんじゃないですか?」

「何で分かったんだよ、光也?」

 焦る店長。だけど話を続けた店長。店長は奥さんに告白をした時も、そして別れを告げられた時も、今日みたいなどしゃ降りの雨の日だったと、遠い目をして言っていました。であるので、雨の日は少しだけ……いやかなり、その時の状況を思い出して、鬱な気持ちになってしまうらしいのです。


「でも店長。元奥さんに出会えただけでも幸せじゃないですか」

 「そうですよ。元奥さんもきっとどこかで、子供さん達と幸せに暮らしいる筈です」

 店長で遊ぶ光也君と私。だけど、私達が告げた言葉は、その通りなのかも知れないのです。好きだと思える人と出会い、恋に落ち、結婚出来た事は素晴らしい経験なのですから。


「お前ら……優しさの中に棘があるよ……」

 そこでやっと、店長の話から解放された私達。だけど、雨は連日降り続いていました。

 私は週に2回バイトをしているのですが、光也君はほぼ毎日入っている為、雨の影響を受ける事になっていたのです。

 そして学校にて。 


「光也君、おはよう」

「翡翠、おは……ックシっ!」

 どうやら光也君は、少し風邪をひいてしまった様なのです。だけど、弟さんの為にバイトを休む事はしなかった光也君でした。

 その後、私は魔術師のアグリッタさんに呼ばれ、魔法の国へ出向く事になっていたのですが、アキナ君にある情報を聞く事になったのです。


「翡翠さん、お疲れ様。わざわざ城まで来て貰ってすまなかったね」

「いえ。それより話とは何ですか?」

「翡翠、現時点での魔術師の人数が、判明したんだよ」

 魔法の国には、何人もの魔術師が存在しています。だけど、魔術師として引退や、魔力が尽きいられ無くなる人。新たに魔術師となり、領土を獲得した人などの出入りで、絶えず変動している状態であるのだと、私は聞きました。

 そこでアキナ君が現時点で、魔法の国に在住している魔術師を調べたところ、アグリッタさんを含め12人いる事が判明したそうなのです。だけどその内の2人は、まだ遣いの者を持たない状況であるのだと言っていました。


「その遣いを持たない魔術師の中に、サンサラーと言う者がいるのだが……」

「遣いが選定されたら、翡翠にとっても強敵になる筈だよ」

 今まで私が出会って来た遣いの人達は、ルアンユーさん、ソフィーさん、アリスちゃん、マリアさん、雲影さん、笑姫ちゃん、ブレンダさんの7人で、私を含め8人の遣いがいる事になるのです。そして残り4人の内、2人は遣いとして存在していると言う事でありました。


「翡翠さん、これからの戦いは今まで以上に厳しさを増すかも知れないが、やってくれるかい?」

「はい。遣いとしての戦いは、私にとっても成長出来る経験だと気付けましたから」

 もう、戦う事に迷いは無い……筈の私。だけど、次に出会ってしまう遣いには、戦闘意欲を発揮出来ない状況になってしまう事を、私はまだ知る由も無かったのでした。

 そして私は一般世界に戻り、バイト先へと向かっていたのです。


「おはようございま~す。店長、今日も思い出の雨が降り仕切ってますね」

「もう勘弁して……。それより光也、翡翠ちゃん、買い物に行って来てくれないか?」

 私達は果物類を買う為、大雨の中商店街へと向かう事になりました。


「横風も強いから、傘をさしている意味が無いね」

「ああ。雨合羽を着て来れば良かったな」

 一先ず買い物を済ませ、店へと戻る私達。だけどその時、事件(ハプニング) が発生したのです。

 私達は両手に買い物袋を抱えていたのですが、横を通り過ぎた車の水飛沫が飛んで来てしまったのでした。

 車道側には光也君が歩いていたのですが、その勢いでよろけてしまい、私にぶつかってしまったのです。と同時に、私達は足をも釣らせ大転倒してしまったのでした。

 だけど光也君は、咄嗟に私をかばってくれて下敷きになってしまったのです。そのお陰で、私達は何とか衝突は避けたのですが、宙に飛ばされたリンゴが私の頭に落下し、その勢いで私は光也君の顔に、自分の顔を重ねてしまったのでした……。

 そして、私達は目を合わせながら3秒程、時が止まっていたのです。


「……あわわわわっ、ごめんなさい光也君っ! ……光也君?」

 光也君は連日、雨に打たれながら仕事をしていた為、高熱を出す程の状態であったのです。更に倒れた事により、気を失なってしまったのでした。

 そして店まではそれ程の距離では無かった為、私は光也君を担ぎ連れて行く事になりました。


「どうしたんだ、翡翠ちゃんっ!?」

「光也君が……」

 一旦、光君を控え室のベッドで寝かされる事となりました。そして救急車を呼ぶ程では無いと考えた店長は、光也君の自宅に連絡をする事になったのです。だけど弟さんはまだ学校で、お父さんは仕事中であった為、連絡が取れ無い状態でした。

 その後、光也君は30分程で眼を覚ましたのですが、まだフラついた状態であり、私は状況を説明したのです。


「そっか。迷惑かけたな、翡翠」

「ううん。私が倒れたりしなければ……。私の方こそ、ごめんなさい」 

 その後、店長に今日は暇だから上がって良いと言われ、私は2人分の雨合羽を借り、自転車で光也君を自宅まで送る事になったのです。


「ぐっ……(光也君の頭が背中に……。大丈夫っ、背中にはまだ贅肉は付いて無い筈っ)」

 私は、こんな時でも肉の心配をしてしまいまきた。だけど私も、普通の女の子である証拠なのです。そして光也君の家に着き、部屋まで送る事になりました。


「助かったよ、翡翠」

「光也君、台所借りて良いかなぁ?」

 私は店を出る際、光也君の看病をする為、店長に食材を分けて貰っていたのです。そして厨房も任されいた私は、料理を披露する事になりました。

 と、その時、私は誰かが帰ってきた気配に気付いたのです。


「えっと、兄貴の知り合いですか?」

「あっ、光也君の弟さんですか? 初めまして。私は光也君と同級生の」

 私が自己紹介しようとした時、弟さんは先に当ててしまったのです。


「ああ、もしかして翡翠さんですよね?」

「え? 何で知ってるんですか?」

 光也君は家族に、私の事を話ていてくれた様なのです。何と言っていたかまでは聞けませんでしたが。

「兄貴から聞いてますから」

「そっ、そうなんですね。それより智也君……で良いんだよね? 光也君が熱で倒れちゃったの」

 私は智也君に状況を説明し、智也君の勉強の邪魔にならない様、急いで食事を作り帰ると伝えたのですが、智也君は。


「翡翠さん、兄貴の為に有難う御座います。全然、ゆっくりで構いませんよ」

 私に気を利かせてくれたのでした。

 そして、光也君の家はお世辞にも広いとは言えなく、智也君が腰掛けたテーブルから台所で調理をする私が見えていた様です。


「……そっか。兄貴は翡翠さんのこういうところが……あっ、ゴメンなさい。何でもないです」

「ん? どうしたの、智也君?」

 智也君は私と目をそらし、言葉を隠した様でした。

 そして30分程で簡単な料理を作った私は、試食として智也君に振る舞う事にしたのです。


「出来た~。智也君、試食してみてくれるかな?」

「え、実験台ですか? 良いですよ。でも、もし僕が倒れたら看病して下さいね」

 私の作った料理を、一口頬張る智也君。だけど、そのまま動きが止まってしまったのです。


「ど、どうかな?」

「……翡翠さん、この味付けは店で習ったんですか?」

「ううん。私のオリジナルだよ。あっ……ごめんなさい。口に合わなかった?」

 私は特に凝った物を作った訳では無かったのですが、智也君は其の後も黙り込んでしまったのです。

 これは私の知らない事で、智也君達のお母さんが生前に作ってくれて味付けと酷似していたからだそうです。


「俺、記憶力には自信があるんです。この味ならきっと兄貴も喜ぶ筈ですよ」

 智也君のお墨付きを貰い、光也君の部屋へ入る私。そしてやっぱり、光也君は料理を口に入れた瞬間、驚く事となっていたのです。


「えとぉ、一応智也君には大丈夫だと言って貰えたのですが……ダメかな?」

「ダメ……な訳無いだろっ!」


 私の作った料理を、残さず食したてくれた光也君。その後、光也君が寝たのを確認した私は、智也君に見送られ藍原宅を後にする事になりました。

 そしてそこには、雨が上がった空に、真っ赤な景色が広がっていたのです。

 
「あっ、雨があがって夕日が出てるね。やっと梅雨も終わりかなぁ」

「翡翠さん、今日は本当に有難う御座いました。それと、これからも兄貴を宜しくお願いしますね」

 長く続いた雨の季節は終わりを告げ、また太陽の季節がやって来たのでした。

 だけど、光ある場所には影も現れてしまうのです……。


「へ~……あの翡翠がねぇ」

 藍原宅を出て来た私は、魔美華ちゃんにその姿を見られていたのです。

 そして翌日、学校にて。


「そろそろ期末テストですかぁ……憂鬱だよ」

「アリスちゃん、これを乗り越えれば太陽サンサンが待ってるよ」

 英語以外は苦手なアリスちゃん。そこへ、魔美華ちゃんが私に話し掛けて来たのです。


「……翡翠、私に勉強教えてよ」

「おおっ、魔美華ちゃんがヤル気を出しました。良いですよ~」

 この時は、安請け合いしてしまった私でしたが、後に大変な事になってしまうのです。

 期末テストまでは、2週間程時間があったのですが、魔美華ちゃんは事あるごとに私を呼び出し、側を離れ様としなかったのでした。


「翡翠、今日、店忙しそうだから少し早め目に来てくれって店長が言ってたぞ」

「うん。また後でね、光也君」

 私達の会話を聞いていた魔美華ちゃんは、直ぐに駆けつけ話に割り込んで来たのです。


「翡翠、今日バイト終わったらうちに来てよ。どうしても分からない問題があるの」

「え? でも、何時になるか分からないよ?」

 その後、魔美華ちゃんは私がバイトを終えるまで店で待つ事になっていました。そして翌日は学校も休みであった為、私を家に泊める事にしたのです。


「ん~……魔美華ちゃん、今日はこれくらいにして寝ようか?」

「そうね。……翡翠、寝る前に聞きたい事があるんだけどさ」

 魔美華ちゃんは言葉を濁さず直球で尋ねて来ました。私は光也君と付き合っているのかと。

 そして、その問いに何と答えれば良いのかと動揺する私でしたが、付き合ってはいないと答えたました。


「でも……やっぱり私は、光也君の事が好きだよ」

「そう……なんだ」


 私達はその後沈黙したまま、深い眠りに入りました。だけど魔美華ちゃんの心中には、私を取られたくないと言う思いを抱いていた様なのです。

 そして期末テストを無事クリアした私達は、夏休みへと突入していたのですが、魔美華ちゃんは特に用事の無かった様で、近くの公園を散歩をしていたらしいのです。


「暑っ。サッサと帰って、クーラーを浴びなきゃ」

「本当に暑いですよね、橘 魔美華さん」

 魔美華ちゃんの前に突如現れたらしい、1体の動物(申さる) 。と言うか、周りにいた人達には見えず、魔美華ちゃんにしか認識出来ない状況であったそうです。

 そして魔術師の遣いとして、魔美華ちゃんを選定しに来た者であったと、私は裏ルート(アキナ君が密かに見ていた様です) から聞きました。


「え? 蜃気楼的な現象??」

「僕は申です。魔美華さん、貴女は今……何かでお悩みですね?」

「……ヤバ。暑さで思考が溶けて来たんだわ。家に氷嚢あったかしら?」

 申の存在を認識している筈なのに、受け入れ様とはしなかった魔美華ちゃん。だけど、申の一言で存在を認めてしまう事になってしまった様なのです。


「魔美華さんは、翡翠さんを取られたくないんですよね?」

「あんた……何者よ?」

 魔美華ちゃんは、片手で申の頭を鷲掴みにし尋ねたそうです。そして申はもがきながら、魔美華ちゃんの願いを叶えたければ、神黒翡翠を見つければ良いのだと言っていたと、後にアキナ君は教えてくれました。


「神黒翡翠があれば、大抵の願いは叶うんですーっ、痛たたたたーっ!!」

「神黒翡翠……? それ、どこで売ってんのよ? 2千円までだったら出してあげるわ」

 申を認識したは良いのですが、ツボ売りみたいな人と勘違いしていた魔美華ちゃん。

 そして、このままでは握り潰されてしまうと感じた申は、魔美華ちゃんを魔法の国へと連れて行く事にしたそうです。


「ここは一般世界では無く、魔法の国です。しかし、やはり魔美華さんには素質がありましたね」

 魔法の国には、ある程度の魔力を持つものか、遣いの素質がある者で無いと来れないのです。そして魔美華ちゃんは申に連れられ、ある屋敷へ向かったと私は聞いています。


「何時代の作りの家よ?」

「卑美呼様、連れて来ましたよ」

「おお、良い具合に闇を抱えておるな。我の名は卑美呼じゃ」

 卑美呼さん……この人もまた魔術師の1人であったそうです。そして魔美華ちゃんは、卑美呼さんの遣いとなってしまうのですが……。
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