翡翠Evolution 〜我に宿りしその力〜

えーしろ

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Evo19 「2人目の神使いヤーナ」

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 ソニアちゃんはアリスちゃんを倒す為、領土に出向いていたのですが、そこに現れたの者はアリスちゃんのお父さんである、グラディーさんであったそうです。

 そして、魔術師と遣いの戦いが始まってしまったらしいのですが、ソニアちゃんの使う魔力は魔術師さえも凌駕する力であった為、グラディーさんは屈してしまう事になってしまったのでした。

 その状況を察したアリスちゃんは、お父さんを助けに魔法の国へ来たのですが、お父さんの敵わなかった相手に勝てる筈も無く、親子の魔力は尽きかけてしまっていたのです。

 その後、ソニアちゃんは私が来た事により一旦立ち去る事になったのですが、アリスちゃん達の身体は魔法の国から消えかけてしまっていたのでした。

 そこでグラディーさんは、己が持つ最後の魔力をアリスちゃんに託し、これからは遣いでは無く、魔術師として生きて行く様伝えたのです。

 お父さんの願いを託されたアリスちゃんと私は、アグリッタさんの元へ行き、魔術師としての修行をして貰える様にと願い、アグリッタさんも了承する事になってくれたのでした。


「良かったね、アリスちゃん」

「うん、ありがとう。でも、翡翠も気を付けて。ソニアの魔法は危険過ぎるから」

 その後私達は、一旦一般世界へ戻る事にしました。だけどグラディーさんは、記憶を数年分消されている状態であったので、アリスちゃんが状況を説明しようとしたのですが。


「パパ、私の事は覚えているわよね?」

「君は……誰だ? と言うか、ここはどこなんだ?」

「パパ? 嘘でしょっ!?」

 数年分は疎か、アリスちゃんの事さえ忘れてしまっていたグラディーさん……と思いきや。


「冗談だよ、アリス。さっきまでの事は、全て知っているよ」

 グラディーさんは 『覚えている』 ではなく、『知っている』 と言ったそうなのです。

 グラディーさん自身、もしもの時を想定していたらしく、先程までの記憶を魔法により、一般世界の日記に書き残していたのだと、アリスちゃんは言っていました。


「……もう、心配掛けないでよねっ。でも……良かった」

 アリスちゃんは一安心し、アグリッタさんの元で魔術師としての修行を受られる様になったと、お父さんに伝えたそうです。

 そして私は、光也君とのデート中
であったので、急いで戻る事にしました。


「お待たせ、光也君」

「あれ、早いな。今、トイレ行ったばっかだよな?」

「そっ、速攻です」

 私が魔法の世界に行っている間、一般世界の時は止まっている状態であるので、光也君には一瞬の出来事だと感じたのです。等の私もすっかり忘れていたので、適当に取り繕ったのですが、光也君はある事に気付いてしまったのでした。


「翡翠、さっきさ……何か、変な声が聞こえなかったか? 魔法の国に来て、とか何とか」

「ええっ、魔法の国? 光也君、それはアレだよ。さっき観た映画の記憶が、まだ残ってたんだよぉ……多分」

 光也君自身、普通に常識的な考え方をしているので、魔法の国がある訳が無いと考え、勘違いであったと納得した様です。

 だけど私は、アリスちゃんの事、ソニアちゃんの事、更にはこれからどうすれば良いのかを考えてしまい、その後のデートは上の空のまま終わってしまいました。

 そしてその頃、ソニアちゃんは。 


「アリスにはトドメを刺せ無かったけど、もう遣いとしては歯向かって来ないよね。次は……マリアにしよう」

 音の魔法を使う、マリアさんを狙う算段を立てていた様なのです。

 現時点で残っている遣いは、後6人。だけど、その内の1人はまだ遣ではは無いので、後5人を倒せばソニアちゃんの独擅場となってしまうのでした。

 だけど、マリアさんは愚かではありません。ブレンダさんをソニアちゃんにやられた事に対しての制裁は、しっかりと考えていた様なのです。


「神の魔力……確かに厄介ですが、私には通用しませんわよ」

「はい。マリア様に敵う者など、存在致しません」

 ブレンダさんは、一般世界でマリアさんの召使いとして従事している様です。

 遣いとしての記憶は消され、今は一般人として生活しているブレンダさん。マリアさんは魔法に関する話は出来なかったので、マリアさんの妄想として聞かされていたそうなのです。


「ブレンダ、貴女の仇は必ず取ります。例え神が相手であろうと、私の奏でる音で魅了させてみせますわ」

 未だ、誰1人として新たな神黒翡翠を見つけられぬまま、遣い達だけが消えて行っていました。その最終地点に残された者には、孤独が待ち受けているだけなのかも知れません。

 だけど以前、私が神黒翡翠を手にした時、その意思は告げていたのです。もう1度、神黒翡翠に出会えるであろうと。

 それは只の予期なのか、決定事項なのかは分からないです。でも私は、誰よりも早く神黒翡翠を手に入れなければ、多くの知り合いを失ってしまう事になってしまう為、負けられないのでした。

 そしてソニアちゃんは、マリアさんの前に立ち塞がる事になってしまったらしいのです。


「貴女がソニアですね? 随分と幼い遣いさんですこと」

「身体は子供、魔法は宇宙一の使い手、ソニアちゃんだよ」

 マリアさんの挑発じみた言葉にも、全く動じないソニアちゃんだった様です。その自信は過剰でも無く、揺らぎない勝利への確信があるからでしょう。


「……お話は、貴女が跪いてからに致しましょう。我に奏でしその力 今この時この瞬間 聖なる音源で魅了せん……マリア……エボリューションっ!」

 マリアさんは初っ端から『シ』 の能力を使い、ソニアちゃんの動きを封じたそうです。続いて、楽器の弦で精製した鞭を『レ』 の能力で力強く振り下ろしたと、私は後に聞きました。


「痛っ……成る程ね。少しマリアを見くびってたみたいだわ」

「この程度で感心させれても嬉しくないですわ。ファ♯、ソ、ソ♯、ソニアを包んでさしあげなさいっ」

 ソニアちゃんは動きを封じられたまま、マリアさんが新たに精製したドラムヘッド(牛皮) で完全に覆い尽くされてしまったらしいのです。


「ありゃ~、これじゃあ、1分もしないうちに窒息死しちゃうよ~」

「随分と余裕ですわね。ならば、完全に息の根を止めてさしあげますわ。ド♯っ!」

「え~、まだイジメるの~?」

 ド♯は『高揚させる』 能力を持つらしく、ソニアちゃんは体内から高熱を発せられる状態にされてしまっていたそうです。そして牛皮に包まれている事もあり、中と外から高温を与えたと、私はマリアさんから聞きました。

 そこで、ソニアちゃんは考えたそうです。この魔法から抜け出す事は大して難しい事では無かったそうなのですが、マリアさんを驚かせるにはどうすれば良いかと。

 人を殺める程の魔法を破ったとあれば、マリアさんは戦意を喪失するであろうと、ソニアちゃん目論んでいた様なのです。

 そして時間は1分を過ぎ、牛皮に包まれたソニアちゃんは丸焦げの状態になってしまっていた筈なのですが。


「いい具合に、黒焦げですわね。少し大人気なかったかも知れませが、ブレンダの仇はとらせて貰いましたわよ」

 完全に炭と化してしまった筈の、ソニアちゃんを見つめるマリアさん。だけど、次の瞬間。


「ジャンジャジャ~ンっ」

 炭の中から、ソニアちゃんが飛び出して来たそうなのです。


「なっ……どう言う事ですの?」

 ソニアちゃんは不敵に笑いながら説明したそうです。身動きが取れず、丸焦げにされてしまったソニアちゃんの筈であったのですが、ある魔法を使ったのだと。

 それは冥界の主である『ヤマ』 の能力であるそうなのですが、ソニアちゃんは自分自身を冥界に送る事で難を逃れていたそうなのです。

 そしてマリアさんが魔法を解いた頃合いを見計り、炭の中へ戻っていたと私は聞きました。


「さあ、マリア。次は私の番だけど、魔法の国に遺言でも残しておく?」

「その必要はありませんわ」

「そう。じゃあ……ぐうっ! 何、この音は?」

 マリアさんは先程の攻撃の際、音を『反響』 させていたらしいのです。

 反響とは、音源から出た音波が物などに反射して、少し時間が遅れて聞こえて来る現象の事だそうです。

 例として『やまびこ』 や、『洞窟の中で叫んだ時に遅れて聞こえて来る音』 などの事なのだとか。

 だけど1分以上、音の遅れを出す事は通常不可能な事であるらしいのですが、そこはマリアさんの魔法でやってのけた技であったと聞きました。


「今度は逃がしませんわよ。奏でなさい、トリプル シっ!」

 3倍の束縛魔法をソニアちゃんに掛け、完璧に動きを封じたマリアさん。この状態ではソニアちゃんも、魔法の唱える言葉さえ発する事が出来なかったそうです。


「ぐうううっ……」

「心配しなさんな。気絶させるだけですわ。しかし、その身に私の音色を刻み付けなさいっ!」

 トドメの魔法、レ♯をマリアさんは唱え様としたそうです。

 だけどその時、ソニアちゃんに掛けられた魔法を、鋭い槍の様な武器で解き放った者が現れてたと、マリアさんは言っていました。


「ソニア、無様な姿ですね」

「ヤーナ、何で貴女がいるのよ?」

「マリアさん、今日のところはソニアの負けです。ですが、次は無いと思っていて下さい」

 ヤーナさんはそう言い残し、ソニアちゃんを抱え去ってしまったそうです。ヤーナさんも遣いであるそうなのですが、驚くべき事はエジプトの神々を使う魔力を持っていると言う事であったと、マリアさんは言っていました。


「……ヤーナがソニアに加勢してしまうと、少し厄介ですね」

 一先ず、マリアさんが行った策である、ソニアちゃんに攻撃をさせる前に叩くという方法は、功を奏す事になったでしょう。だけど、2人の神使いが組んでしまっては、更なる脅威となってしまう事は間違いないのです。

 そして、ヤーナさんの領土に着いたソニアちゃんは。 


「ちょっと、余計な事しないでよね」

「ソニア、貴女はまだ神使いとして未熟です。マリアさんの奏でる音は、神をも震わす真音なのですよ」

 かなり不貞腐れたソニアちゃんであったそうなのですが、ヤーナさんの説教により黙り込む事になった様です。

 ヤーナさんはエジプト神、ソニアちゃんはインド神の使いである為、本来は相容れない仲なのかも知れません。

 だけどヤーナさんは、ソニアちゃんと違い淑やかな性格であり、優しいお姉さんタイプであるそうなので、ソニアちゃんを妹の様に慕っていた様なのです。そして何より、同じ神使いという事もあり、ひいきにしていたのだとか。


「ヤーナ、私はあなたも倒す内の1人に入れてるんだからね」

「はいはい。そうだソニア、折角だからファラマに会って行きなさいな」

 ファラマ アンク エドフさんは、ヤーナさんを遣いにした魔術師であるそうです。

 ヤーナさんも元々は一般人であったそうなのですが、お父さんが考古学者であった為、幼い頃ピラミッドの中に入った事があるのだとか。

 だけど途中で迷子になってしまったヤーナさんは、まだ誰も知らない部屋へと入ってしまったそうなのです。そこでヤーナさんが見た物は、神々が描かれた壁画であったのだと、私は間接的に聞きました。

 と、それと同時に、ヤーナさんは沢山の声が聞こえて来てしまったそうです。恐ろしくなったヤーナさんは部屋を出ようとしたそうなのですが、その時魔術師ファラマさんが現れ、ある事を告げたと聞きました。


 『お前は聞こえているのだな? 神々の声が』 と。


 そしてファラマさんは、魔法の国の存在をヤーナさんに話、その願いを問うたそうです。


「お前は何を望む? お前のしたい事は何だ?」

「私は……世界の平和を望みます。悲しみも、苦しみも無い世界を創りたいですっ!」

 私と同じ願いをしていたヤーナさん。だけど、私の願いとは決定的な違いがあったそうなのです。

 ヤーナさんの望む世界の平和とは……己だけの平和な世界であったのだと、私は後に知りました。

 その頃のヤーナさんは同級生達にイジメられていて、死をも選択肢に入れてしまう程の状況であったそうです。

 こんな悲しい世界などにはいたくない。苦しみがこの先も続いて行くのであれば、世界など崩壊してしまえば良いのだと思うくらいに。

 だけど、神黒翡翠を手に入れればその苦しみから逃れる事が出来、自分だけの幸せな世界を創れると知ったヤーナさんは、遣いとなったそうなのです。


「インド神の使い手、ソニアと言ったか? ヤーナと友達になってはくれぬか?」

「ファラマ様、私の方が歳上なのですよ?」

「そうであったな。しかしソニア、お前にとっても悪い申し入れでは無い筈だぞ?」

 ファラマさんはソニアちゃんに言ったそうです。マリアさんを含め、残りの遣い達との戦いは、熾烈を極めるであろうと。

 勿論、ヤーナさんと戦ったとしても神使いの同士では互角、いえ、経験の差でソニアちゃんは勝てないかも知れないです。であるならば、神黒翡翠を2人で使えば良いのだと、ファラマさんは告げたのらしいのでした。


「2人で? そんな事が出来るの?」

 前回、私が手にした神黒翡翠は、既に寿命が尽きかけていたので、魔力が殆ど無くなってしまっている状態でした。

 だけどもし、完全な魔力を保ったままの神黒翡翠を手にする事が出来れば、2人の願いは疎か思いのままの願いが叶うかも知れないらしいのです。


「ソニア、私と一緒に願いを叶えましょう」

「……まあ、良いよ。その代わり私の願い、お菓子で出来た国を作る事が先だからね」

 神使い同士が、結託してしまったのです。ソニアちゃんやヤーナさんを、1人ずつ倒す事さえ困難であるのにも関わらず……。

 そしてその頃、マリアさんはある遣いの領土に出向いていたそうなのです。


「あまり気乗りしませんが、ブレンダがおっしゃってくれた策を使うしかありませんね。居るなら出てらっしゃい」

「珍しいお客さんね。良いわよ、入りなさい」

 マリアさんは、ソフィーさんの領土に来ていたらしいのです。その要件は自ずと知れた、ソニアちゃんとヤーナさん対策であったのだとか。

 マリアさんは1度、ソフィーさんと戦っているらしいのですが、僅差で敗北してしまった事があるそうです。再戦を挑みたいところではあるのでしょうが、今はそれどころでは無い状況なのでした。


「ソフィー、単刀直入に言いますわ。私と手を組みなさい」

 願うのではなく、命令したマリアさん。だけどソフィーさんは、飼っているゼロ君の能力の1つである『メッセージ』 で、状況を把握していたらしく、マリアさんが言わんとしている事を直ぐに理解したそうです。


「成る程ね。しかし、条件があるわ。戦闘は、私が前衛でマリアは後衛よ」

「何をおっしゃるのです。ソニアと戦った事がある私が、前衛に決まっていますわ」

 その後、2人の言い争いは白熱してしまったらしいのですが、結局ジャンケンで決める事になり、ソフィーさんが前衛を務める事となったそうです。

 何はともあれ、力強いパートナーが出来たマリアさん。だけどソニアちゃん達も己の欲を叶える為、ソフィーさん達を出迎えたと、私は聞きました。
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