何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ

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第二章 冒険者編

渦巻く闇

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「エル師匠!!それに、グレンやオリヴァーさんまで!!え!なんで?!」

扉を開け入ってきたのは、エルティア、グレン、オリヴァーさんと初めて見る二人組だった。
タイラーは、椅子から立ち上がるとオリヴァーさんへと近づく

「久しいのー!オリヴァーよ!相変わらず何を考えているか分からん奴だの~」
「そう言う貴方こそ…相変わらずの強面顔ですね…」
「五月蝿いわい!」

タイラーとオリヴァーさんは、親しそうに話しているのを横目に、エルティアとグレンが、俺に近づき頭を軽く撫でた。

「ルーク…聞いたよ。大変だったね」
「エル師匠…」
「大変じゃったの…しかし大きな怪我もなかった様で、安心したのじゃ…」
「ご心配お掛けしました……」
「うんうん!いいんだよ!ルーク達が、無事なら…」

そう言ってエルティアがもう一度撫で微笑んだ
俺は、二人にお礼を告げていると二人の隣にいた獣人族の青年と目が合う

「あの…エル師匠?それで、そちらの方達は…」
「ん?あぁ…!彼らは、パーティーの仲間のフィンとルナだよ!」

エルティアに紹介された二人が、俺に近づいてくる

「【銀月】リーダーのフィンだ!よろしくな」
「ルナです!よろしくお願いしますね。」
「ルークです。よろしくお願いします!」

フィンと名乗った青年は、灰色の髪と目をした狼の獣人族で人懐っこい笑顔で、俺に片手を差し出してきたので握手かな?と思い俺も、片手を出し差し出された手を握り名乗るとフィンは、ニカッと嬉しそうに笑う。
尻尾が、左右にパタパタと揺れている…いい人そうだ。
そして、ルナと名乗った少女は、ハニーブラウン色の髪と碧い目の教会のシスター達と、少し似た服を着た十五歳位の人族だった。

その後、エル師匠から教えてもらったのだが【銀月】は世界で、三組しかいない【SS級パーティー】の一組で、フィンとエル師匠がS級でグレンとルナがA級なんだそうだ。
(エル師匠とグレンが凄いのは、分かってたけど…フィンとルナも…すごい人なんだな…!!てか今更だが…俺の周りもしかして凄い人達ばかりなのでは…!?!)

俺が座っていた右側に、エルティアそして左側にグレンが腰掛ける
その向かいの長椅子に、右からフィン、タイラー、ルナと腰掛けていた。オリヴァーさんは、アティカスくん達と同じ様に立っている

「どれ…挨拶も済んだことだし、本題に入ろうかの……今日、集まってもらったのは、皆知っているとは思うが、先日報告されたグリフォンの事だ。」
「確か、クーレの森だよな?あそこは、低級魔獣か魔物しか生息しない弱い森の筈だぜ?どうしてグリフォンが……」
「ルーク達には、先に教えたのだがのグリフォンの体内から、呪詛が込められた魔石が発見された。それも、生易しい呪詛でなく…禍々しい程の闇を込めた呪詛だわい…それを、〖浄化〗で解除しただったな。ルークよ…」
「はい……」
「はぁー?!なんだそれ!!!」
「ふむ…呪詛は、自然には掛からないものじゃったよな?という事は……意図的に何者かによって掛けられた…ということじゃな?」

タイラーが、あぁ…と頷くとエルティアが少し考えた後タイラーの方を見て口を開く。

「呪詛は、遥か昔争いがあった時代に生まれた魔術だ。だが、その力は強くどの種族にも危険とされて現在では、禁忌として扱われ呪詛に関する全てが、確か燃やされその術を誰も知らない筈だ…。だって…どの種族も、呪詛がどんなものかと言う話は、知っていても術のやり方とかは、知らないだろう?」
「確かにのう…竜人族でも、呪詛と言う魔術があり自然に掛かるものではないという曖昧なことしか伝わってないの……」
「獣人族でも似たようなもんだな…」
「わしらも、同じだわい……」
「では、その呪詛は…一体何処から……?」

エルティアが、チラリッとルナの方に視線を向ける。
ルナは、先程から何かをずっと考え込み俯いているようだ。
暫くすると、何かを考え黙っていたオリヴァーさんが突然口を開いた。

「私めが、冒険者の頃…とある旅人からこんな噂を聞いた事が御座います。」
「ふむ……その噂とは?」
「大聖堂の地下深くに、呪詛に関する記述が残されていると言う噂です。」
「大聖堂じゃと!?!」
「隣国のグランドイーリス聖王国にある大聖堂か?!」
「まさか!?有り得ない!精霊王は、呪詛を一番嫌っているはずだぞ!あの争いで呪詛が使われ一番のを受けたのが精霊王だ!そんなの許すはずがない!」
「えぇ……私めも聞いた時は信じれませんでしたが、今…呪詛が込められた魔石が出たとなると…」
「…………」

暗い空気が漂う中、黙っていたルナが顔を上げゆっくりと口を開いた。

「その噂……もしかしたら間違いないかも知れません。」
「「「!?!!?」」」
「ルナ!?何を!」
「お忘れですか?確かに、グランドイーリス聖王国は精霊王が治めておりますが、教会や大聖堂は別の者が仕切っている事を……」
「別の……あっ!!あぁ…そうだ!…そうだったわい!忘れておった。あやつか……」
「あぁ…僕とした事が、忘れてたよ!そうだよ!そう!!大司祭サミュエル·シュートルだ。」

ルナは、こくりっと頷くとエルティアが片手で顔を隠し俯いた。
タイラー達もルナの言葉で、思い出した様で苦虫を噛み潰したような顔をし微かにため息吐く。

「サミュエル·シュートル?何処かで聞いたような…?」
「ルーク様、教会に行った際にお教えした大聖堂の大司祭様です。」
(あぁ…!思い出した。あの精霊王様と同等の地位を持っているという大司祭か!)
「私の記憶が正しければ、各地の教会や大聖堂は、あの争いの後からシュートル家が仕切っていたはずです。」
「マジかよ……」
「こりゃ……調べる必要がありそうだわい。お前達【銀月】に依頼する事になるだろうが…頼めるか?」

その言葉に、フィン達がタイラーを見る。
フィンは、はぁ~と大きく溜息を吐き腕を組むと眉を寄せ嫌そうな顔をしながら口を開く。

「あの国、苦手なんだよな…。堅苦しくてよ~」
「そうかの?我は、好きじゃぞ?とても美しい国じゃからの~」
「久しぶりに、実家に帰るのもいいかな~!ばあ様に殴られそうだけど!」
「私は、教会に信頼できる人が数名いるのでその者達に、協力してもらえるか頼んでみます。」
「すまんのう!報酬は弾むからの……」

そして話が終わると、タイラーが…ぱんっと膝を叩き俺を見た。

「ルーク…よいか?お前さん達が今日聞いた話は、決して誰に話してはならんぞ?大丈夫だ!この問題は、わしらが何とかするから安心するといいわい……」
「え…あ…はい…!」
「オリヴァー、後で話がある残ってくれるな?」
「えぇ…分かりました。」

その後、少し話したあと俺達は立ち上がりオリヴァーさんに、声を掛け部屋を後にした。一緒に部屋から出てきたエルティア達にもう帰るのかと、声を掛けるとエルティア達はまだ少しやる事があるからと、ギルドで軽い挨拶を済ませ別れた。

俺達は、オリヴァーさんが用意してくれた馬車に乗り込むと馬車は、ルーゼント家へ走り出した。




とある地下室に男は静かに、立っていた。


〖あと少し……あと少しだ…〗


男は、手に持っていた魔石をゆっくりと飲み込み不気味に…にやりっと笑うと静かに扉に近づき開け部屋を出ると…


ギィィィ…と不気味な音と共に扉が、ゆっくりとバタンッと音を立て固く閉じた。



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