何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ

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第三章 ルーゼント家編

料理人見習い ロイド

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俺の目の前には、アティカスくんとマリーさんが集めてきてくれた…ホロココの卵、数個とタロウシのミルクが入った青い瓶が二本と、角砂糖の様な物が調理台の上に置いてあった。

ホロココは、前世での鶏に似た魔獣らしく、毎朝卵を数個産む…タロウシもホロココと一緒で、前世での牛と似た様な魔獣で、毎日ミルクが搾れるらしい
どちらの魔獣も、とても大人しく卵もミルクも高値で売れる為、食用として狩る事もあるが、大抵はテイムされて商人達などに、家畜として飼われている事が多いとアティカスくんが、教えてくれた。

俺は、目の前に置かれたホロココの卵を手に取り見つめる。

(アティカスくんの話を聞いた感じだと前世の鶏や牛っぽいんだよな…卵も……前世でよく見た鶏の卵に、サイズも形も似てる…ただ…色が、めっちゃカラフルなんだよな~…何故なんだ?…アティカスくんもマリーさんも、味に問題はないと言っていたけど…てか待てよ?卵がこれって事は…まさかミルクも…!?)

俺は一旦、卵を元の場所へ戻すと隣に置かれた青い瓶の蓋をそっと外して中を覗き込む。中には、前世と同じ真っ白なミルクが入っていた。
(こっちは、普通だ!よかった…こっちまで、カラフルだったらどうしようかと…)

俺は、ほっとして蓋を閉じると後ろにいるアティカスくんとマリーさんの方を振り向くと二人は、俺の行動をじっと見つめ不思議そうにしていた。

(見られていたのか……恥ずかしい!!)

俺は、手をぱんっと誤魔化す様に軽く叩き、二人に告げる。

「よし!じゃあ…作ろうか!」
「はい。先ずは、何をしたらよろしいでしょうか?」
「マリーさんは、この四つの卵を卵黄と白身に分けてくれる?アティカスくんは、ミルクをこの小さな鍋で指で触れる程度まで温めてくれる?」
「「お任せ下さい!」」

二人は、俺が言った作業を素早く開始する
そして暫くすると俺が、器を用意している時とマリーさんが、出来ました!と四つの卵黄が入ったボウルを持ってきた。

「ありがとう!マリーさん!」

俺は、ボウルを受け取りそこへ追加で、もう一つ卵を割り入れ砂糖加えかき混ぜる終えると、ミルクを見ていたアティカスくんが、「ミルク温まりました!」と告げた。

「ありがとうアティカスくん!じゃあ…今、俺が混ぜたボウルの中に、そのミルクを少しずつ入れてくれる?」
「分かりました!こう…でしょうか?」

そう言いアティカスくんが、俺がかき混ぜているボウルへと少しずつミルクを入れていく。

「そうそう!あとは、これをザルとかあれば…1度こしたいんだけど…ザルなんてないよね?」
「こし…?あの、ざる?」
「ざる?とは一体どういうものなのですか?」
「ザルってのはね…」

二人に、ザルの説明をしたがやはり知らないらしく…お役に立てず申し訳ありません。と申し訳なさそうな顔をしていた。

(やっぱりないかー!どうしようかな…う~ん、ひとまず今回は、このままでやってみるしかないか…うん!次までに、街とかで売ってないか探してみよう!)

俺は、二人に大丈夫だよ。と告げ微笑み作業を続けた。

「出来たこの液体を、この小さなカップの半分まで注いで、上に浮いてきた泡を丁寧に取る…」
「あとは、私がやりますわ!」
「うん!ありがとう」

全てのカップに、液体を入れ終え完成した物を底に、布を引いた大きな鍋へと置く

「アティカスくんこの中に、さっき用意したお湯をカップの半分まで入れてくれる?」
「はい」

お湯を入れた鍋に蓋をして火にかける

「はじめに…一分半中火にかけてその後、弱火に落として三分かけたら、火を止めて蓋をしたままにして十二分くらい待って取り出して、粗熱を取ったら冷蔵庫に入れて冷やしたら完成だよ!」
「楽しみですわ!」
「とても楽しみです。出来るまで、俺は使ったものを片付けておきます。」
「ありがとう」

片付けが、終わり粗熱を取ったプリンを冷蔵庫に入れて一時間後…
俺は、完成したプリンを冷蔵庫から取り出すと、プリンを見た二人は、とても嬉しそうな顔をしながら俺を見た。

「さぁ!二人共食べてみて…!」
「え!?俺達が、食べてもいいのですか?」
「そうですわ!先にルーク様が…」

俺は、頭を左右に振り二人を見る

「二人に、食べてほしいんだ。」
「ルーク様…」

プリンとスプーンを二人へと差し出すと、二人はプリン受け取ると、スプーンでプリンを掬い口へと運ぶ
その瞬間、二人の目が大きく見開かれた。

「ッ!!!」
「わッ!なんですか!これ!!」
「どうかな?」

ドキドキしながら聞くと、二人は俺を見て満面の笑みを浮かべた。

「とても美味しいです!こんな美味しい甘味、初めて口にしました!」
「プルンッとしていて甘くて…卵とミルクの味が優しくて…とても美味しいですわ!」
「よかった…!!」
「とても不思議な食感です…噛まなくても口の中で崩れていって…」
「カラメルもあれば、もっと美味しいんだけど…」
「まぁ…!これよりもですか!」

美味しそうに、食べ進めている二人を見ながら、俺もプリンを手に取り口に運んだ。

(あぁ…懐かしい…前世で、食べたプリンに比べれば少し劣るかも知れないけど…美味い…それにしても、調味料は俺がいた世界と同じで良かった。違かったらどうしようかと……)

そんな事を思いながら久しぶりのちゃんもした甘い物に舌鼓していると…

「それ!美味しそッスね…!」
「え…」

声がした方を見ると、そこには175cmくらいで茶目で、肩までのある濃い茶髪を横に、一つに纏め厨房服を着た青年が俺のすぐ傍に立っていた。

「えっと…?」
「あ!俺、料理人見習いのロイドって言います!」
「俺は…」
「あ!それくらい俺でも知ってるッスよ!ルーゼント家の嫡男のルーク·ルーゼント様ッスよね!」
「あ……うん。」
「よろしくッス!」

突然現れたロイドは、いき良いよくそう言うと…ニカッと人懐っこそうな顔で笑い、俺の片手を握るとブンブンと振り回すように握手した。
(おぉ~!?!勢いが、凄いなこの青年!!)

「それで!!それ…何っスか?ずっと見てたんすけど…めっちゃ美味そうッスよね!!」
「あ…え…あぁ…これは、プリンだよ。」

ロイドは、プリンをじっと見ながら…へぇ~!!と言うと視線を俺へと移しキラキラとした目をして見つめてくる
(うッ!これは……もしや……)

「俺にもそのぷりん?ってやつ貰えないっすか?」

やっぱりか…!と思いながらも俺は、残っていたプリンを一つだけ、ロイドに渡した。
するとロイドは、嬉しそうに笑いお礼を告げ受け取りその場で一口食べる
その瞬間、ロイドは目をカッと見開き…

「ッ!!?!美味!え!何っスかこれ!!ツルンってしてて冷たくて滑らかで!卵とミルクと砂糖で、シンプルなのにめっちゃ美味いっスねこれ!!!てかこれどうやって作ったんスか?!鍋、使ってたッスよね?鍋使う料理なんて軽く煮込むくらいッスけど…見てた感じこの容器事と、お湯を入れて…煮込んでたッスよね?」
「え…あ……おぉ……」

ロイドは、グイッと俺に近づくと…にこにこと嬉しそうな顔をしながら、大興奮気味で話し始めた。
あまりのロイドの圧に、俺は一歩後ろへ下がり少しだけ仰け反った。

(圧が!!圧が強い…勢いも凄い!!そして…なんか怖い!!!何なんだこいつは!?!)


それが、俺とロイドとの初めての出会いだった。



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