何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ

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第三章 ルーゼント家編

大きな変化

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騒動から、一ヶ月経った現在…

俺の周りは、一気にドタバタと激変した。
あの後リリー夫人は、無事医師の治療で、意識を取り戻したが、目覚めてからずっと様子がおかしく常に、ブツブツと何かを呟き、目に見えないに怯え暴れ回り、物を壊したり使用人達へ当たり散らかし手が負えない状態だった。そんな日々が続き、美しかったリリー夫人は、頬はこけ髪は痛み、いつも爪を噛むため指もぼろぼろになり今は、もう昔のあの美しかった頃の面影が少しもなくなってしまったと、アティカスくんが教えてくれた。

そして…あの日、真実を知った公爵様は、怒りリリー夫人と離縁する予定だったが、リリー夫人の実家が現在バタついている事と、今のリリー夫人の状態では離縁は、無理だと断念した公爵様は、リリー夫人を自身や俺の目に入らないようにと、住まいを別邸に移させたと聞いた。
リリー夫人の手が、回っていた使用人達も全て解雇になり新たに、使用人達が数名雇われた。
新たに雇われた使用人達は、全てオリヴァーさんが面接し合格した者達なのだとか……


オリヴァーさんには、「新たに雇った使用人達は、私めがしっかりと見定めた者達ですので、これまでの様なをする様な者は、今後一切おりませんのでご安心くださいませ。もしそれでもする様な者が居た場合は、二度と出来ない様に致しますので、お任せ下さい。」と笑顔で言われたが、目の奥は笑っていなかった。

それと、厨房で俺を蔑んだ目で睨み、勝手に人の料理を出したあの馬鹿な料理長も、リリー夫人の手の回った料理人だったらしく即刻解雇されていた。
次の料理長を継いだのは、優しい顔をしたおっとり系の元副料理長の男性だ。
そしてなんと…その次の副料理長に、ロイドが指名され今は副料理長を務めている。

そして、リリー夫人の息子サイラスは…と言うと、今回の事件に一切関わりない事や何も知らなかったと言う事から住まいは、そのまま本邸に残されたが今後一切リリー夫人との接触は、禁じられたらしい。現在は、自室に閉じ籠っているらしい。

「いや~それにしても、師匠…色々大変だったッスね~。」
「ん、ありがとう。」

ロイドは、呑気にそう言いながらテーブルの上におやつの甘味を置く。
俺は、生返事をしながらフォークを手に取り置かれた甘味を口にゆっくりと運ぶ。因みに、リヒトは現在俺の膝の上で、お昼寝している。

「美味しい!」
(うん!相変わらず美味いな!前世で、食べたものと変わらないクオリティーだよな……本当にロイドは、凄いな。)
本日の甘味は、この前教えたショートケーキだ。
真っ白で甘い生クリームでふわふわとした柔らかい生地を包み込み生地の間には、甘酸っぱいベリー系の果物が、沢山挟まっている。シンプルだが、とても美味しい。

俺が、ケーキを美味しそうに食べている姿をロイドは、嬉しそうに見ていた。
副料理長になったロイドは、今でも変わらず俺を師匠と呼びおやつの時間になると俺の部屋に、わざわざ自ら作った甘味を届けに来てくれる。

ロイドは、元々料理の腕がとても良いのだろう。
教えた事は、一回でほぼ完璧に出来るし、本人曰く、一度作ったものなら失敗せず作る事ができるらしい。
それに、多分こんな感じだったな~や確か、こうだったと思う。という曖昧な作り方を教えてもロイドは、前世で食べていた物を完璧に作り上げてくれた。
一瞬、もしやロイドも転生してきた者なのでは?と、疑ったくらいだ。
クレープを食べながらそんな事を考えていると、ロイドが何かを思い出したように口を開いた。

「あ…!そういえば、サイラス様ってまだ部屋に、閉じ籠ってるんッスよね?」
「うん。そうみたいだね…。まぁ、サイラスにとって、今回の事は…とても辛い事だろうからね。」
「確かに…実の母親が、まさかッスもんね。でも、確かそろそろサイラス様って学園入学時期ッスよね?大丈夫なんっスか?」
「あぁ、そういえば…そんな事、前に言ってた気がする。」

この国の貴族達は、七歳になるとシュリーナにあるアルカディア学園に入学式する事が、決まっている。
俺は、入学年齢を過ぎていた事とお馴染みの黒髪赤目の為と言う事で、入学は出来なかったがサイラスは、入学が決まっていた。

「あのお茶会も、確か…サイラスが入学した時、そばに置く側近達や婚約者を探し決める為のものだったんだけど…駄目に、なっちゃったんだよね。どうするんだろう。アティカスくん、何か知ってる?」
「はい。公爵様と父が、側近候補を数人選んだと聞いております。婚約者候補も既に決まっているようです。」
「そうなんだ!知らなかった……。それじゃあ、やっぱりサイラスは、学園に入学予定なんだよね?」
「えぇ…。そう伺っております。確か、入学まであと三週間くらいだったと……」
「三週間?!?」

入学まで時間がない事に、驚き少し大きな声を出すと、アティカスくんが教えてくれた。なんでも入学準備は、終わっている為あとは、入学日を待つだけなのでほぼ問題はないのだが、肝心のサイラス本人が部屋に閉じ籠っていてまだ、側近達と婚約者との顔合わせが出来ていないらしい。

実の母親が、大罪を犯していた事とあんな姿になってしまったのが相当、ショックだった様だ。
前まで、あんなに嫌って程突っかかって来ていたのに、この一ヶ月一度も、サイラスを見ていない。
てか……生きてるよな?

「食事とかは、しっかりと取ってるんだよね?」
「…それが、他の使用人達の話だと、サイラス様はどうも偏食気味らしく余り食事をお召にならない様で…」
「…………」
(マジか……。この状況、めちゃくちゃヤバいのでは?絶対サイラス弱ってるよな。まだ七歳だぞ?本来ならしっかり食事を三食食べて、運動して遊んでいるような子供だ。それが、一ヶ月食事をまともに取ってないとすると状況は、かなりマズイよな?…てか!公爵様は、何してんだよ!!この状況で、まさか何もしてないのか?)

俺は、アティカスくんを見つめ問いかける。

「公爵様は、どうしてるの?」
「…………」

その瞬時、アティカスくんは何も言わず無言で俺から目線を外し、申し訳なさそうに目を伏せた。その様子を見て俺は、大体の事を察する。あの公爵様は、何もせずサイラスを放置しているのか。馬鹿なのか?公爵様は、また同じ事を繰り返そうとしてるのか??え?本当に、馬鹿なの?お前、父親だろうがッ!!クソッ!

俺は、俯き寝ているリヒトを見つめた後、強く自身の手を握り覚悟を決める。ロイドの方を振り向き作って欲しい物を告げると、ロイドは俺が、何をしようとしているのかを直ぐに察したのか、了解っス!っと笑顔で告げると足早に厨房へと向かって行った。


そして俺も椅子から立ち上がり、へと向かう為、歩き出したのだった。




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