何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ

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第四章 シュナリオ王国

面白い子供〖エルティアside〗1

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とある酒場に昔共に、冒険者パーティーを組んでいたオリヴァーという男に珍しく呼び出された。

酒を飲みながら話を聞くと、どうやら俺に現在仕えてる人間の子供…黒髪赤目と言うだけで、忌み嫌われ八年間別邸で、酷い環境で生きていた子供に、魔法を教えて欲しいという事だった。だが、俺はその時その話を断るつもりでいた。

 この世界に生きる者なら誰しもが持っている〖魔力〗だが、それを〖魔法〗として使うには基礎を学び己の持つ魔力量をしっかり把握する事で、少しずつ使える様になる。

これ迄も様々な者達がS級冒険者の僕に、魔法を教えてほしいと懇願され何度か教えた事があるが、すぐに音を上げやめたり、自身の力を過信し魔力を暴走させたりと色々とても酷いものだった。

普通の人間でさえ、そうなのだから…そんな環境で生きていた子供が、まともに魔法などできるはずもないし、例え教えて魔法が出来たとしても弱く軟弱ですぐ諦めてやめたいと言うに決まっている。そんな子供に僕は、興味もなかったし教える価値もないだろうと思っていた。

僕は、片腕を机の上に置き頬杖を付きながら目の前に、座るオリヴァーを見る。

「オリヴァー、君の頼みは聞いてあげたいけどね~正直言えば、お断りだね…」
「エルティア、そこを何とかお願い出来ませんか?貴方しかお願い出来る人が…いないのです。」
「はぁ~。なんでそんなに、その子供に熱心なんだい?君が、ここまでするなんて珍しいじゃないか…」
「ルーク様は……」

オリヴァーは、一瞬目を伏せ再び僕に視線を戻し口を開いた。

「ルーク様は、私めにとってなのです。」

その一言だけを告げるとオリヴァーは、もう一度「お願いします。」と告げテーブルに銀貨二枚を置くと、立ち上がり去っていった。

オリヴァーの後ろ姿が見えなくなる迄見つめた後、テーブルに置かれた銀貨に視線を向ける。

「………」

オリヴァーは、基本誰かを特別視や扱いしないタイプの人間だ。何年も共に、冒険をしてきた仲だからこそそれをよく~知っている。
それが、あんな言葉を言うなんて…

〖面白い〗

(オリヴァーが、あそこまで言う人間か…あのオリヴァーがね…後悔や罪悪感で特別になったのかな?それとも何年も見守り続けて情が湧いたとか?まぁ…どちらにせよ!オリヴァーにそこまで言わせる子なんて一体どんな子なのか少し気になるな…う~ん…まぁ~、期待外れだったらオリヴァーには、悪いけど断ればいい話だしね…うん!)

銀貨にチラッと、視線を落とし置かれた銀貨を手に取ると、自然と口角が上がるのを感じた。僕は、ゆっくりと立ち上がり手に持った銀貨を店の人間に渡し店を後にした。

その後すぐに、オリヴァーに会ってもいいと連絡すると一週間後…会うことを決まった。
その約束の日、僕はオリヴァーに案内されルーゼント家の中庭でその子供を待っていた。

「さてさて~どんな子なのか…」
「もうそろそろ来る頃かと…」
「そっか!楽しみだな~」

オリヴァーとたわいのない会話しながら待っていると…

一人の少年が、執事とメイドを連れやって来た。
近づいてくる少年は、想像通りの細く弱い身体にオリヴァーに教えられていた通りの黒髪赤目の少年だった。

確か、八歳だと聞いていたが…どう見ても五~六歳くらいにしか見えない。オリヴァーに聞いていた通りとても酷い環境でずっと生きていたのだろう。

(生きていたのが、不思議なくらいだ…。少しは良くなったらしいが、それでも凄く細く筋肉も足りていない…それに、魔力が上手く身体の中で循環できていないし…これで、本当に魔法が扱えるかな…う~ん)

だけど、こちらをジッと見つめてくる目は、とても真っ直ぐで強い意志と不思議な魔力を感じさせる。

「やぁ!初めまして!僕は、エルティア!エルって呼んでくれてもいいよ!」

そう僕が告げると、子供は慌ててルークと名乗り頭を軽く下げた。そんなルークに返事をしながら俺は、グッとルークに顔を近づけ目をジッと見つめる。

あぁ…やっぱり
この子は、人族だと聞いているが…

人族特有の〖魔力〗なのでそれは、間違いないはずなのだが…微かに、どこか魔族に近い魔力が混じっていた。それに、他にも少し何か別の魔力が混じっている気がするんだよな~
本来ならば、勝手に他人のステータスを見る事はいけないことだが、今回は魔法を教える立場として先に彼のステータスを見るのはいいだろうと、精霊眼を使いルークのステータスを見た瞬間…

僕は、驚き一瞬時間が止まった。

【名前】 ルーク·ルーゼント〖×××××〗
【年齢】8 〖××〗
【魔力量】300〖×××〗
【種族】人族?
【スキル】隠密おんみつ 無限収納インベントリ 肉体強化 ××
【魔法】水魔法 風魔法 闇魔法 ×××× ××××
【加護】〇×■△〇‪✕‬■ 全精霊の加護
【他】××××× ××××× 〇△■️△‪✕‬

(なんなんだ!?このステータスは!!?初めて見た…こんなステータス…八歳で魔力量が、300…それに全精霊の加護だって?!?…それに、僕の精霊眼でも見れない所もあるなんて有り得ない…はは…は…なんて面白い!面白すぎる!!何この子!!!)

この瞬間…僕は、ルークという存在に凄く興味が湧いた。

笑顔でルークから距離を取り離れるとルークは、ぽかんっと訳が分からないという顔で僕を見つめていた。

その後、魔法基礎を教え魔力の循環等を教え正しく出来た頃合に、手の平に水魔法で水を出すように言うとルークは真剣な顔で手の平を見つめている。

(うんうん!真剣な顔してルークはいい子だな~。まぁ~詠唱を教えてないから、水魔法使えなくて失敗すると思うけどね…と言う事を最初に体験させてから教えるのが1番手っ取り早いからな~可哀想だけど…)

なんて、考えながら少しルークから目を離しすぐに視線を戻した次の瞬間…その光景を見て僕は、目を見開き大声を出していた。

「えッ!?!」

ルークの手の平には、丸い水の球体が浮かんでいた。
そう!真ん丸な水の球体が…ぷかぷかと…

ぷかぷかと…じゃないよ!!!

はぁーー?!?ちょっと待って!?!え!!!
どういう事!?何が起きた…今、ルークは何をした?
まさか…で魔法を…?

僕は、隣にいたオリヴァーの方を勢いよく見るとオリヴァーも驚いた様で、目を見開き固まっていた。

その後は、もうドタバタだった。
二人の使用人に誓約魔法で、無詠唱の事を決して口外しない事を誓わせたり…人前で無詠唱をしない事をルークに教えた。
ルークは、オリヴァーや僕の言葉をしっかり理解している様で真剣な顔で話を聞き終えると、ゆっくりと頷き「気をつけます…」と告げた。

(見た目は、凄く幼く魔法を学んでいる姿も子供らしいのに…何故だが、時々大人っぽく感じてしまう時がある。この子が何を考え感じているのか…知りたい。)

あぁ…どうしたものか…こんな感覚は初めてだ。
この子の未来を行先をもっと見てみたい!
この子が、この先どんな者になっていくのかを…


オリヴァーに感謝しなくてはいけないな。


僕は、目の前で再び一生懸命魔法を学んでいるルークを見つめながら静かに微笑んだ。



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