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生配信23 野球選手になれるって………ま?

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「はい、今日もゲーム配信。配信者はお馴染みTakiチャンネルの滝です」

『こんばんわ!』
『ばんわ』
『サキサキさんとのデート楽しかった?』
『サキサキさんと絵茶さんとのデート楽しかった?』

 始まって早々、コメント欄が忙しなく動き始める。

 ってか、なんで今日の昼間から夕方に掛けての出来事がリスナーさん達にバレてんの⁉︎ サキサキさん、配信してたのか………してたのか。

 リスナーさん達が知っていた訳を知り、理解した俺は、リスナーさん達の質問を無視して配信を進行していく。

「………じゃあ、早速だけどゲームの紹介に入っていきます」

『ねぇ、感想教えてよ』
『どうだったって聞いてんだけど』
『楽しかったよね、、、このクソ野郎!』
『羨ましくないけど、このバカ野郎!』

「今日プレイするゲームは、『実況パワフルプロ野球2021』通称『パワプロ』をやっていこうと思います」

 コナミから発売された人生シュミレーション野球ゲーム——『実況パワフルプロ野球』、通称『パワプロ』。

 シリーズ化されており、野球ゲームの中で1位を争うほど人気のあるゲームだ。

 自分の作ったキャラを操作、育成し、甲子園やプロ野球選手を目指す野球ゲーム。

『へぇ、パワプロか。んで、楽しかった?』
『よかったね、美女に囲まれて楽しくお買い物できて』
『ああああ、ずるいよ! 俺もお出かけ行きたい!』
『女の子とのお出かけ、、、羨ましいな。この裏切り者!』

 しつこいな、こいつら。

 俺のゲーム配信より、今日の出来事にしか興味ないやん。

 答えないと永遠とコメント欄が質問で埋まりそうだな………答えないとダメか。

 このまま無視でもいいんだが、無視するとコメント欄が質問で埋まり、普通のコメントが埋もれていってしまう。

 流石にそれは嫌だ。

 普通のコメントはどんどん拾って行きたいので、まずは、

「はいはい、質問に答えますよ」

 溜まりに溜まった質問を答えていく。

「楽しかったか、楽しくなかったかの2択なら楽しかったかかな」

『ずるい』
『なんで、俺も誘ってくれなかったの?』
『私も行きたかった』
『楽しそうだな、いいな』

「やっぱりね、同じ趣味を持っている人と遊びに行くのは楽しいんよ。話題が絶えることないし」

 ちなみに同じ趣味というのは、配信とかゲームとか、あとは漫画とか。

「あと自分の趣味に対して否定とか反対とかしてこないじゃん、同じ趣味持っている人は。なんでも話せるし、隠す必要ないから、気が楽で、素直に楽しめた。リスナーさん達の中にも居るんじゃないかな? 同じ趣味を持ってて、この人と居ると気軽に話せる人とか」

『いるね』
『それはそう』
『隠す必要ないから、なんでも話せる』
『趣味の話しかしなくなる時ある』

「でしょ! だから、サキサキさんと絵茶さんとの買い物は心の底から楽しめたと思う。けど、やっぱりさ、女性との買い物だから、言葉には気をつけたかな」

 うん、そこは男友達と遊ぶ時と女友達と遊ぶ時の違いはあったかな。

『例えば?』
『ああ、少し分かる気がする』
『服を選ばされる時とかのこと?』

「そうそう、服を選ばされる時とか! 男性の感覚と女性の感覚って、やっぱり少し違うから、言葉は選んだ。でも、素直な俺の感想はちゃんと言ったし、選ぶときに事前に「俺の好みは」って付け加えて選んだから、問題はなかったと思う。多分」

 サキサキさんと絵茶さんの2人に選ばされた時は何を言えば良いか分からなくなった。そんな俺を見て、あの2人は楽しんでいたと思う。

 男あるあるを話したところで、

「話は以上。パワプロやっていくよ」

 今度こそ配信を進めていく。

「今回は『マイライフ』っていうモードをやって行こうと思います」

 パワプロには、何種類かモードがある。

 1つ目は、対戦モード。

 対戦モードは字の通り、友達やCPUコンピューターと対戦して遊ぶ機能。実際にあるプロ野球チームをそれぞれ選択し、操作して対戦を楽しむ。

 2つ目は、サクセスモード。

 このモードは、作成したオリジナルキャラが、高校に入学または大学に入学して、野球を始め、オリジナルキャラとサクセスに登場するキャラを育成し、甲子園やプロ野球選手を目指すストーリーモード。

 3つ目が今プレイする、マイライフモードだ。

 このモードは、作成したオリジナルキャラが1人のプロ野球選手として人生を送る。結婚もできるし、家や車も買える。日本代表になって海外の選手と戦ったりすることもできる。

 他にも色々モードはあるが、全て説明していたら、配信時間がどんどん短くなっていくので、割愛する。

 パワプロの説明を終わらし、オリジナルキャラを作っていく。

 まずは顔から。

『これで滝の顔が分かる』
『ついに顔バレ!』
『どんな顔なんだ!』
『ワクワク』

 いや、ワクワクされても困るんだが。

 確かにキャラを作るとき、極力似せて作りたい感はある。でも、俺さ、顔を公開している訳じゃないし、似せて作ったとしても、リスナーさん分からんでしょ。

 ということで、適当に面白そうな顔にしていく。

 髭面のドレッドヘアー。グラサンをつけてっと。

『ところで滝は何部?』
『野球好きなの?』
『えっ、それが滝の顔なの』
『イメージと違いすぎる』

「中高ともに帰宅部で、ゲームばかりしてたかな。野球は、家族で何回か見に行った程度で、最近は見てない」

 ゲーム大好き人間だから、いち早く家に帰れる帰宅部に入部。

 野球は父親が好きで、家族で見に行ったことがある程度だから、あんまりルールとか知らない。9人でやるスポーツぐらいの印象しかない。

「んで、このキャラの顔が俺の顔だと思うのはやめて! イメージと違いすぎるのは当たり前。こんな顔じゃないから」

 おバカなリスナーさん達に向けて言う。

 こんな顔の人いるかもだけど、居たとしても海外。日本にこんな人いないでしょ。俺は1度も見たことはない。

「次は年齢設定か。これは高卒からプロでいいんじゃないかな?」

 高校卒業からプロになるか、大学から卒業になるか、社会人からプロになるか、の3択から選べるようで、俺は高校からプロになるを選択した。

『次はドラフト何位で選ばれたかだね』
『確か5位くらいが長くプロでいられるらしいよ』
『1位にすれば、初期値が高いはず』
『1位でいいんじゃない?』

 パワプロ有識者さん達が教えてくれた通りに、初期値が高いドラフト1位に設定する。

「次はアピールポイントだけど、これも初期値に関係する感じ?」

『するよ!』
『する』
『どんな選手になりたいか考えて決めた方がいい!』
『分からんことあったら逆に言ってほしい!』

 頼りになるリスナーさん達が多い。ここは遠慮せずに頼っていくつもりだ。

「足が早くて、走れる選手がいいんだけど、これ足に関するアピール2個あるよね? どう違うの?」

 アピールポイントの項目には、足について書かれている選択肢が2つあり、それぞれどう違うのか気になる。

『ああ、それは走塁と盗塁の違いだね』
『俊足の方は走塁。スタートダッシュは盗塁』
『走塁はベースを回るときに活躍。盗塁は相手の目を盗んで次の塁に走る感じ』

 走塁と盗塁の違いについては何となく分かっているが、コメント欄のおかげで若干理解した。

『足だけで活躍したいなら盗塁の方がいいんじゃない?』

 マジ。足だけで活躍したいなら盗塁を選んだほうがいいのか。

「なら、盗塁の方を選んでおこう」

 たまたま目に入ったコメントを見て、そのコメントを参考にし、スタートダッシュを俺のアピールポイントにする。

 今度はウィークポイント。これはコメント欄の指示に従い、『これといって全くない』を選択した。

 これで一通りキャラ制作は終わり、マイライフが始まっていく。

「さあ、プロ野球選手のをやって行きますか!」

 やっと本題に入れる。

 キャラクリが終わり、リスナーさん達と雑談しながら順々と進めていくと、オープン戦前のキャンプ合宿へと場面が移る。
 
 このオープン戦前のキャンプ合宿では、自分の基礎能力値や獲得したい特殊能力など、様々なパラメーターを育成することができ、獲得まではいかないが伸ばせるのだ。

 今回、走力の基礎値が非常に高いため、その他のミートという基礎値を上げていく。

 このミートの基礎値を上げていくことにより、ヒット性の打球が打てるようになるのだ。

「足が早くても塁に立たなきゃ意味ないからね」

 目指すはスタメン。

 そのためには、活躍する場を作っていかなくてはいけないので、打率が高い選手を目指す。

『この基礎値ならミート一択だね』
『肩も育てたほうがいいんじゃない?』
『いや、バントの特能をゲットして、バントだけで塁に出よう?』
『足全振りでいいんじゃない?』

 などなど、コメント欄には様々な助言が流れるが、ひとまずは俺の考えで育てる。

 コメント欄を見て助言をそのまま受け入れる事もあれば、自分の考えだけで育成していく。

 このキャンプで基礎値はほとんど成長しなかったものの、割とにゲームが出来ている感がある。

 キャンプ合宿が終わり、オープン戦が始まる。

 オープン戦ではスタメン起用。オープン戦全試合の結果次第で、俺は1軍からスタート出来る。打って打って結果を出さなきゃいけないのだが、

『まあ、2軍から頑張りや!』
『足しか取り柄のないやつ、1軍にいてもな』
『打てないんじゃあ意味がないのよ』
『2軍で頑張ろう!』

 始まってもないし、結果もまだ出ていないのに、リスナーさん達は俺が1軍に上がれず、2軍スタートだと予言もとい期待しているようだ。

「天に吐いた唾は元には戻らないんだからな! 見てろよ、バンバン打って、ガンガン走って、1軍に上がってやるからな!」

 俺はそう意気込み、試合を始める。

 足が速いからか、打順は1番。

 1番バッターは基本足が早い選手が起用されやすいらしい。これはリスナーさん情報。

 ということで、名誉ある1番バッターな俺は、打席に立ち、相手投手の投げる球を待つ。

『アウト!』
『内野フライ』
『セカンドゴロ!』
『タッチアウト!』

「ちょっとは期待したっていいだろ!」

『期待してんじゃん。アウトの方向で!』
『ガンバッテ』
『バッタービビってるよ、、、間違った』

「嫌な期待の仕方と応援席間違った奴いるぞ!」

 コメント欄に目を奪われていると、ピッチャーが第1球をを投げてこようとしている。

 直球? 変化球? どっちなんだ。

 ってか、変化球打てんの、俺?

 よく考えると変化球は打てそうにないので、ストレートに狙いを定め、ストレートの甘い球を打つつもりでいた。しかし、

「フッン!」

 ブンッ!

『ストラーイク』

「ほいっ!」

 ブンッ!

『ストライク!』

「おりゃあ!」

 ブンッ!

『ッストライク!』

『バッターアウト!』
『バッターアウト』
『アウトー!』
『アウトォおおお!』

「くそぉぉぉぉぉ!」

 バットに擦りもせず、ただただ空振り三振。しかも、狙い球のストレートで。

 球がくるところは分かっていたものの、タイミングが合わず、バットは空を切っていった。

 そんな俺に、

『タイミング音痴?』
『もっと球を見た方が良いよ?』
『下手!』
『目でもつぶってんの?』

 この打席を見ていたリスナーさん達は、シンプルに悪口を書き込んでくる。

「はぁ、今のは調整だし! 分かんないかな、分かんないよな。この打席でカーソルの調整して、次の打席で打つの。………もうリスナーさん達さ、そろそろ俺の行動を理解しといてくんない?」

 苦しい言い訳なのは重々承知。しかし、こうでも言わないと、悪口ばかりがコメント欄に流れる。こう言ってしまえばコメント欄は、

『調整なら仕方ないな』
『じゃあ次の打席に期待しますか』
『次はあっても、その次はないけどね』
『いや、理解してたし。分かってて言ってみたんだし』

 とまあ、次は言い逃れ出来ないようにコメントを打ち込んでくるんですよ。

 やばいな、このままでは打てないような気がする。次の言い訳を考えなければ。

 打つためにはどうするかよりも、言い訳を考え始める。

 コントローラーの充電が切れたとか行けそうな気がするんだが、どうだろうか?

 それとも水をこぼしたとかも良いんじゃない?

 などなど適当に理由をこじつければ、リスナーさん達も納得………はしないだろうけど、大丈夫のような気がする。

 そう考えているうちに、次の打席が回ってくる。

『さあ、塁に出よう!』
『調整は終わったし、打てるでしょ』
『内野安打くらいはしてくれるよ』
『滝なら出来るよ、それぐらい』

 打ってほしいみたいなコメントだけど、これ煽りコメントなんですよね。

 打ったら打ったで『おもんな』とか『流れって知ってる?』とか言ってきて、打てなかったら打てなかったで『打てるんじゃないんですか?』とか『下手やん』とか言ってくるんだぜ、こいつら。

 まあ、言われたら言われたで、「皆さんの期待通りに打ちましたけど何か?」で返すんだけどさ。

 言い訳は一応使う準備はしといて、打席に立つ。

 打席に立ったのなら、全力でプレイする。

 それがゲーマー、配信者としての務め。

「さああ、かかってこいや!」

 相手ピッチャーの初球は、変化球。しかも、ボール球。

「ピッチャービビってる!」

 もちろん、ボール球なので振らない。

『ビビってんね』
『圧が違うもんね』
『やったれ、滝!』
『打てるよ!』

 こういう時はこちらの味方になるんだよな、リスナーさん達は。

 続いての配球は、145キロのストレートを内角に。

「おおりゃあああ!」

 カーソルを合わせて、バットを振る。バットに当たり、内野の頭を超え———

「いけええええええええ!」

 超えるが、白線の外側へと逃げていく。

 ファールとなり、カウントは1ストライク、1ボール。

『マジで打つのか⁉︎』
『いや、打てない方に賭ける』
『俺も滝の人生を賭ける』
『俺は滝が内野フライになる、に賭ける』
『俺はキャッチャーフライに賭ける』
『誰も打てる方に賭けてなくて草』

 本当だよ。誰も俺を信じてないのか? なら、やってやるよ!

 3球目。

 今の俺では変化球が打てない。なので次の球は山勘やまかんを張り、ストライク狙いでバットを振る。

 さあ、3球目。相手ピッチャーが振りかぶり、投げる。

 球は遅くもないし、スピンのかかり方もおかしくはない。

 これはストレートで打てる!

 俺の勘がそう告げている。

 なぜなら、球はストライクゾーンのど真ん中。

 バットの位置は絶好の位置。あとはタイミングのみ。

 確か、タイミングは、

「ちゃぁ、しゅう、めん!」

 カキーン!

「おしゃああああああああ!」

 あのタイミングの取り方が合っているのかは分からないが、今のタイミングの取り方は合っていたようだ。

 打った球は、内野の頭を抜けて、外野の少し前に落ちる。

『マジか!』
『打ちやがった!』
『失投か?』
『打てて当然の球なのに、何故かナイスって思える』

 素直に褒めないあたり、俺のリスナー感があってオモロい。けど、

「ほれ、見たか! 最初の打席は調整なんですよ! 打てないとか言った奴出てこい、頬ビンタしてくれる」

 といっても、この打球はヒットで終わる。

『ほら、殴れよ』
『仕方ない、3秒だけ頬だしてやるよ』
『殴るんですね、女のわたしにも』
 
「殴れるか! 男女関係なく、物理的に無理だわ。例えですぅ。まあ、もしも知り合いに打てないとか思っている人がいたのなら、ビンタしますけどね」

 知り合いが見てない前提でそう言った。

 だって、コメント欄に知り合いらしき人物のコメント無かったし、時間が時間なので寝ているだろうと思っていたから。

 しかし、

『サキサキチャンネル : 、、、ビンタ?』
『絵茶チャンネル : マジか、ビンタか』
『ゼロス&ワンス : 私は打てると思ったけど、ゼロスは違ったみたいなので、ビンタはゼロスに。私は打てると思っていましたよ。本当です!』

 3人、もしくは4人見ていたようだ。

『サキサキさんにビンタ、、、死罪ですね』
『絵茶さんもビンタの刑。倍返しされろ!』
『ゼロスさん、、、生贄か?』
『可哀想に。ゼロスさんに3回ビンタして。他の人は見逃して』

 知り合い3人からのコメントで、配信枠のコメント欄が騒ぎ始める。

「ふっ、良い子は寝る時間ですよ。さっさと配信を消して、寝なさい」

 さっさと配信から出て行け、と遠回しに言うが、

『サキサキチャンネル : 布団に入りながら見てます』
『絵茶チャンネル : 寝落ち配信ですよね?』
 
 この2人は遠回しに『まだ見続ける』と言ってきた。

 くそぉ、いつから居たんだ。最初っからか?

 最初の今日の出来事についての感想を聞かれていたのか?  

 ビンタよりもそっちの方が気になる。

 ピッチャーの隙を突き、1塁から2塁へと走りながら、考える。

「サキサキさんと絵茶さんはどのくらいから居たの?」

 まだ見ているだろう2人に質問をすると、

『サキサキチャンネル : この試合が始まったあたり』
『絵茶チャンネル : キャラクリは爆笑した』

 どうやら2人は最初っから見ていなかったらしく、少し安心する。安心したのは束の間で、

『ゼロス&ワンス : 私達夫婦は最初から見てますよ。残念でしたね。ケタケタケタ』

 黙らせなくてはいけない人物がもう1いた。

 夫婦なのに1人なのかって?

 そりゃあ、そうよ。だって、ゼロスさんは多分黙ってくれるし、俺に共感してくれる人物じゃん。なら、素直に「黙っててください」で済むでしょ。

 ワンスさんは………あれはダメだ。黙らせなくては。

「サキサキさん、絵茶さん。ビンタの件は全部ワンスさんが受けてくれるそうなので、安心して寝てください」

『ゼロス&ワンス : ????????』
『サキサキチャンネル : あざ!』
『絵茶チャンネル : 骨は拾ってやるよ!』

「ゼロスさん、ビンタ3回お願いします」

 見ているか分からないが、一応伝えてみると、

『ゼロス&ワンス : この配信で滝さんが打てないと思ったリスナーさんの分もやっておくよ』

 ノリノリでビンタしてくれるようだ。これで一安心。

『ワンスさん、頬めっちゃ腫れてそう』
『フグみたいになってそうw』
『草』
『ワンスさん涙目は草』

 さて、この配信の前半部分は切り取って、アーカイブに残そう。

 少し寝る時間が少なくなるが、仕方がないな。

 俺の隠したいことは、隠せそうなので配信に集中する。

 この後、4人は配信中にコメント欄に現れることなく、配信の終わり際に『寝るね』とサキサキさんがコメントしてきた。絵茶さんは寝落ちしたのかコメントはない。

 配信の方はというと、

『あの打席以外打てないとか笑』
『まあ、しゃあなしだな』
『2軍からスタートで、ガンバ!』
『バットには当たってたけど、頭越えなかったね?』

 コメント通り、あの打席以外ヒットは無く、あの後2試合有ったが、全て空振りかタッチアウトで終わった。

「じゃあ、これで配信を終わりにします。ご視聴ありがとうございました。皆さん、おやすみ」

 そうして、プロ野球選手人生の1日は幕を閉じ、次からは2軍からスタートを切るのであった。



 




 

 
 
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