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生配信27 夜も記念配信
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「はい、どうも! 今日もゲーム配信、配信者はお馴染みTakiチャンネルの滝です」
こうして始まった夜配信。
『こん!』
『こん~』
『こん』
『こん~』
開始前から400人近くの人が待機してくれていた。
登録者数20万の配信者となると、始まる前から待ってくれているリスナーが………頑張ってきた甲斐があったというものだ。
感動を覚えつつ、夜配信で一緒にプレイするゲームを紹介していく。
「この夜配信もね、一応記念配信ですので、リスナーさん参加型マリオカートをやっていこうと思います」
『おおお!』
『起動してくるわ!』
『俺も』
『マジでか!』
マジのマジよ!
この記念配信が出来るようになったのも、ひとえにリスナーさん達のおかげですから。
恩返しはしないよね。
そういう訳で、参加型を開始する。
「参加型の約束は覚えていると思うので、言いません。んで、コースの設定なんだけど、基本はランダムでお願いします」
まずは走るコースをランダムに設定しとく。
得意なコースばっかりで勝負するのは、公平じゃないからね。
キャラについては何も言わない。
何も言わないということは、設定なし。つまりなんでも使って良い。
まあ、俺はいつものキャラ——クッパを使っていく。
何故、クッパなのかって?
クッパって見た目通り重いんだよね。体当たりされてもそこまで弾かれることないし、逆に体当たりすると敵を弾いてくれるんだよね。
つまり、アイテム以外でやられることはない………と勝手ながら思っています。
さて、マッチングルームにリスナーさん達も入ってきたんで、早速第1レースを開始しますか。
「ああ、1人1レースずつでお願いします。何度も何度も同じ人がやったら他の人回らないんで」
ここだけは何度でも言おう。
案外、しれっと入ってくる人いるんだよね。気をつけてはいるんだけど。
さて、今回走るコース選ぶんですが、選択肢は4つ。
マリオサーキットにベビィパーク、ヘイホーこうざん、おまかせの4種類。
4つのコースから1つ選ぶんですが、これは前もって伝えた通り、
「コースはおまかせのランダムで行きますので、おまかせを選んでください」
ランダムにすることで、選択肢以外のコースでも遊べるようになる。
今回選ばれたコースは、
「『wii モーモーカントリー』ですね」
レーン上に牛という障害物が出てくるコース。
この牛が邪魔なんですよ。
ちなみにこのコース、めっちゃ嫌い。
まあランダムで決まった事だし文句は言わないけどね。
「さて、コースも決まりましたし、そろそろ始まりますかね」
ロードが始まり、レースが始まる。
第1レース。
案の定、クッパは俺1人。そのほかは自分達で作ったアバターやピーチ姫、キノピオなどのキャラを選択している。
キャラの中で1番多いのはピーチ姫なのだが、マリカーのピーチ姫には何の恨みもないので、なんとも思わない。マリカーのピーチ姫は。
「まずは慣らし運転。1位を取りに行きたいとは思ってるけど、まあ、慣らしで走らせてもらうわ」
『保険ですか?』
『負けた後の言い訳を最初に言う派ですか?』
『うわ』
『気持ちで負けてるから12位やね』
「保険とかじゃないから。やめてもらえます、そういうの。あと、『うわ』とか言うコメント、1番傷つく」
『否定したと言うことは』
『やっぱり保険か』
『ゲーム上手いところ見せてくださいよ』
『滝、まあ頑張ってよw』
おうおう、見てろよ。
絶対に1位取ってやるからな。
コメントを読んでいるうちに、ジュゲムが信号機を持って空から降りくる。
ピッ。
「よしゃ、行きますか!」
ピッ。
アクセルを踏み始め、スタートダッシュの準備をする。
そして、
ピッー!
「よしゃああ」
スタートダッシュからの、前の人にぶつかる。
「邪魔じゃあ!」
『輩!』
『不良やん』
『まあこれはあるある』
『やったれ!』
俺のプレイに賛否両論なリスナーさん達。
スタートダッシュを決め、近くのリスナーさんに当たった事もあり、順位は割と高めの5位。
1周目はこの順位をキープしときたい。
5位くらいだと、アイテムがクソることはない。
キープしたいからアイテムは、守りに使うか。
そうこう思っているうちに、1回目のアイテムが手に入る。
「2個欲しかったな」
4位のリスナーさんが2個のアイテムボックスを取ったため、1つのアイテムボックスしか取れなかった。
でも、
「3連ミドリ甲羅はデカイな」
なかなか良いアイテムを取ることができた。
すぐさまアイテムを使い、ミドリ甲羅を纏う。
これで前後の攻撃や、当たり屋みたいなリスナーさんからも守ることができる。
1周目も中盤。
牛が邪魔をしてくるも、ちゃんと避け、順調。
後ろのリスナーさん達がどんどん近づいてくる中、2回目のアイテムボックスがやってくる。
そろそろミドリ甲羅使っていくか。
後ろに向けて3つとも発射。
ピッタリくっ付いてきたピーチ姫に1ヒット。そして、更に後ろにいた8位か9位ぐらいのリスナーさんにもヒットで、3分の2甲羅が当たった。
「このまま行けば1位いけるんじゃない?」
ちなみに1位から4位までの距離はまだ諦めるほどの距離じゃない。
『このまま行けばな』
『そう甘くないのが、勝負事』
『後ろから追い上げがくるぞ』
『慢心したから12位かな』
慢心はしていないが、確かに追い上げ勢が怖い。
なので、早めにアイテムボックスをとしたいところだが、
「あっ!」
後ろからアカ甲羅。
アカ甲羅は前に投げると、前の人目掛けて飛んでくるアイテム。
5位の俺が食らったことにより、6位と7位のリスナーさん達が俺を抜かしていく。
目の前のアイテムボックスを取られた俺は、現在アイテムなしの状態になってしまった。
「やばいやばいやばい!」
ドリフトをして加速して行くも、アイテムない状態なので守りが薄い。
『ほら見たことか』
『こっからが怖いぞ』
『滝を潰せ!』
『やったれ、ボコボコにしろ!』
最近、アンチ寄りのリスナーさん達が増えたような気がするのは気のせいだろうか?
………気にしない方がいいな。
さて、どうやって1位と距離を縮めるか。
「もう、ドライブテクニックで詰めるしかないんだよな」
『アイテムないしね』
『ドリフト加速か?』
『諦めろ』
『もう無理や!』
「諦めたらそこでレースは終わりだろうが!」
俺は絶対に1位を取るんだ!
「見てるがいい、これが配信者のドラテクよ!」
………
……
…
『なんか言うことある?』
『カッコつけたって意味ないやん』
『お疲れw』
『まあ、だろうな』
コメント欄に励ましの言葉は一切なく、全て『分かってた』みたいなコメントばかり。
ええ、そうです。
12位になぜかなってしまいました。
いや、途中までいい感じに行けていたんですよ!
1周目は、5位から7位に落ちたものの順位を維持して、2周目に入る前に抜かして5位に戻りました。
んで、2周目は5位から4位、3位と順々に抜かしていき、目の前には2位と1位がいて、トップ争いをしてましたよ。
そんで、何故か3周目に12位まで落ちてゴール。
「なんで12位なの? ここまで落ちた記憶ないんだけど? バグかな?」
『バグではなく、テクニックの問題だね』
『記憶ないの? 説明いる?』
『普通にしょうもない』
『マジでしょうもない順位の落ち方』
バグではなく仕様でしたか。あと、
「しょうもないはやめろ!」
自分でもしょうもないって分かってるから。あえて言わなくていいから!
ええ、トップ争いしていたにも関わらず、なぜ最下位に落ちたかと言うと、
「マジで運がなかった」
そうです、運のせいです。
『運ちゃあ運だね』
『運のせいにするなって言いたいけど運のせいだね』
『アイテム運もなかったしね』
『おもろすぎて腹痛い』
そんなに面白い出来事ではなかったんですけどね!
何が起きたのかというと、3位の俺はトップ争いをしていました。
1位2位の真後ろに陣取り、次のアイテムボックス次第で、1位の座を狙っていた。そこまでは良い。
アイテムボックスが目の前で来たところに、俺のすぐ側をアオ甲羅が通って来て、それに勘付いた1位がバック。
アオ甲羅の爆破に巻き込まれた2位と俺は、共に停滞。停滞していたことにより後続にどんどん抜かされていきました。
その時の順位が7位だったかな?
そのあと、俺はアカ甲羅を受け、9位に転落。
アイテムを拾うも、雷に打たれ、アイテムを落としてしまい、アイテムない状態で走行。
後続にはスター効果のピーチ姫やキラー状態になったピーチ姫。
しかも、スターのピーチ姫は俺にワザと当たってきて、スタン状態になってしまい、最後尾を走っていたリスナーさんにも抜かされ、俺が最下位。
頑張れば最下位にならなくても済むような位置に11位のリスナーさんがいるも、
「あの牛マジで邪魔」
このマップの動く障害物こと牛に進路を邪魔され、抜け出せず、最下位のままレースが終了してしまった。
『でも運も実力のうちって言うし』
『確かに』
『じゃあ、これが滝の実力か』
『まあ分かってたけどね』
牛にもイラつくが、この『運も実力のうち』とか書いたリスナーさんにもイラつくわ。
「まあ、最初の方はいい感じだったし、それに慣らし運転だったしね。次よ、次こそが俺の実力よ!」
第2レース。
順位は10位。
『笑』
『笑』
『これも運ですか』
『いや流石だな。前回よりも2位順位は上がってんじゃんw』
「ちょっと肩の調子がね。うん、今良くなったわ! 次見ててみ」
第3レース。
順位は11位。
「すぅー。これはアイテムが悪い。だって、7位くらいなのにアイテム全部バナナってどう言うことよ!」
『アイテムのせいね』
『そうだね、アイテムのせい』
『はいはい、バナナが悪いね』
『バナナ、バナナ』
「くっ」
第4レースも第5レースも順位は下から数えた方が早いくらいの順位。
コメント欄では、『これが実力』『まあだろうね』などのコメントを多くもらった。
少しくらいは応援してよ。
そして、第6レース。
「今度こそ、1位を」
『高すぎる目標はダメだよ』
『そうだな、5位目指そう?』
『欲張るにはダメだよ』
『普通に走りなさい』
諭してくるリスナーさん達。
うるせぇの一言を言いたいが、言えない。これまでの順位が順位だから。
だからこそ、今度こそ。
そう思いレースに挑む。
すると、リスナーさんらしき人の名前に目がいく。
「オムライスはケチャップ、ねぇ」
今日の晩ご飯はデミグラスのオムライスだった俺。なので、聴きながらゲームをしているそのリスナーさんに向けて、
「オムライスはデミグラスです」
そう言い、レースが開始される。
『オムライスはケチャップだろ!』
『王道はケチャップ。けど、デミグラスも上手い』
『俺はデミグラス派』
『ケチャップ』
とまあ、こんな感じにコメント欄が騒いでるので、
「美味しければなんでも良い」
とだけ言っておく。
そして、
「目の前にケチャップ派のリスナーさんがいるので、アカ甲羅をプレゼント」
赤がお好きなんでしょ?
そのまま、その人を抜いて行く。
1周目はこれまで同様、良い順位をキープしている。
現在4位。
後ろには、ケチャップ派のリスナー。
2周目もその順位のまま、走行し、アイテムボックスを取る。
「おお、今回はアイテム運がいいな」
なお、2個のアイテムボックスを取り、1つ目がアカ甲羅3連、2個目が単発のアカ甲羅。
なので、後ろピッタリについてるリスナーさんに向けて、アカ甲羅をプレゼント。
「バイバイ、ケチャップ派」
多分今頃、「滝、ウザ!」とか言ってるんだろうな。
でもこれが勝負事。仕方なし、仕方なし。
残っている甲羅を上手に使い、3周目には1位に上り詰めた。
このまま行けば勝てる。
3周目もアイテムをちゃんと取り、後方からの攻撃に備えて、バナナを後ろに持って行く。
何としてでも1位を取りたい。
レースも終盤に差し掛かり、激しいアイテム戦になる。
未だに1位をキープしている俺。そして、
「2位の人の恨むがやばいような気がする」
2位のリスナーはあのケチャップ派の人。
目の前には最後のアイテムボックスがある。
「これは取らなければ!」
必死に走行し、2個のアイテムボックスを取る。
アイテムの中身は、バナナとアカ甲羅。
バナナを後ろで待機させ、後ろからの攻撃を守る。
もうそろそろゴールが見えてくると言う時に限ってくるのが、アオ甲羅。
なので、
「バックします」
ワザとバックをし、2位の人を巻き込む。
巻き込み、そして、残していたアカ甲羅を投げつけ、そのままゴール。
アカ甲羅を投げつけられた2位のリスナーさんは、3位へと順位が落ち、ゴールして行った。
「どうよ、これが1位の走りよ!」
『最後のバックは良かった』
『いい判断』
『ケチャップの人、怒ってるなw』
『俺だったら、ブチギレよ』
コメント欄には称賛の言葉と、ケチャップの人に対する言葉だらけになった。
「俺から1位の座を奪おうとするから、いけなかったんだよ。そしてらアカ甲羅なんてぶつけないのに」
『嘘つけ』
『絶対ぶつけてた』
『嘘はいけないよ』
『ダウト!』
「まあ、喜んでるんじゃないですかね。ケチャップと同じ色だし」
『色は関係ないでしょ』
『確かに喜んでるかも』
『奇声を上げながら喜んでる』
『良かったな』
「はははははははははは」
とまあ、ケチャップの人を弄って、笑ってみたものの、何故だが嫌な予感がする。
直感的な何かなのだが、物凄く寒気がしてならない。
ここは空気を変えよう。
「さて、1位も取ったことだし、ささっと次のレースに行こうか」
話題は次のレースへと変わる。
リスナーさん達も参加したいからなのか、コメントを打つのをやめ、マリカーに集中。
「じゃあ、第3レース始めます」
その後、俺の気のせいだったのか、配信は順調に進んでいき、配信終了の時間まで、リスナーさん達とマリカをすることができた。
「はい、じゃあね、もう時間なので配信を閉じまーす。今日もご視聴ありがとうございました。もしよかったら、高評価とチャンネル登録の方よろしくお願いします」
そう言い、「お疲れ!」と言って配信を閉じた。
配信を閉じ、いつものようにタバコを一服吸う。
「ふぅ」
そういえばあの寒気はなんだったんだろう?
「すぅ、ふぅ。ああいう時は必ず何か起きるんだよな」
直感………第六感というべきなのか、割と勘がいいガキなんですよね。
「何にも起きないといいな」
吸ったタバコの吸い殻を処理して、歯を磨き、ベッドへ向かう。
そして、
「明日何も起きませんように」
神様に祈り、眠った。
あんだけ彼女を弄って遊んで、何も起きないわけないのに。
こうして始まった夜配信。
『こん!』
『こん~』
『こん』
『こん~』
開始前から400人近くの人が待機してくれていた。
登録者数20万の配信者となると、始まる前から待ってくれているリスナーが………頑張ってきた甲斐があったというものだ。
感動を覚えつつ、夜配信で一緒にプレイするゲームを紹介していく。
「この夜配信もね、一応記念配信ですので、リスナーさん参加型マリオカートをやっていこうと思います」
『おおお!』
『起動してくるわ!』
『俺も』
『マジでか!』
マジのマジよ!
この記念配信が出来るようになったのも、ひとえにリスナーさん達のおかげですから。
恩返しはしないよね。
そういう訳で、参加型を開始する。
「参加型の約束は覚えていると思うので、言いません。んで、コースの設定なんだけど、基本はランダムでお願いします」
まずは走るコースをランダムに設定しとく。
得意なコースばっかりで勝負するのは、公平じゃないからね。
キャラについては何も言わない。
何も言わないということは、設定なし。つまりなんでも使って良い。
まあ、俺はいつものキャラ——クッパを使っていく。
何故、クッパなのかって?
クッパって見た目通り重いんだよね。体当たりされてもそこまで弾かれることないし、逆に体当たりすると敵を弾いてくれるんだよね。
つまり、アイテム以外でやられることはない………と勝手ながら思っています。
さて、マッチングルームにリスナーさん達も入ってきたんで、早速第1レースを開始しますか。
「ああ、1人1レースずつでお願いします。何度も何度も同じ人がやったら他の人回らないんで」
ここだけは何度でも言おう。
案外、しれっと入ってくる人いるんだよね。気をつけてはいるんだけど。
さて、今回走るコース選ぶんですが、選択肢は4つ。
マリオサーキットにベビィパーク、ヘイホーこうざん、おまかせの4種類。
4つのコースから1つ選ぶんですが、これは前もって伝えた通り、
「コースはおまかせのランダムで行きますので、おまかせを選んでください」
ランダムにすることで、選択肢以外のコースでも遊べるようになる。
今回選ばれたコースは、
「『wii モーモーカントリー』ですね」
レーン上に牛という障害物が出てくるコース。
この牛が邪魔なんですよ。
ちなみにこのコース、めっちゃ嫌い。
まあランダムで決まった事だし文句は言わないけどね。
「さて、コースも決まりましたし、そろそろ始まりますかね」
ロードが始まり、レースが始まる。
第1レース。
案の定、クッパは俺1人。そのほかは自分達で作ったアバターやピーチ姫、キノピオなどのキャラを選択している。
キャラの中で1番多いのはピーチ姫なのだが、マリカーのピーチ姫には何の恨みもないので、なんとも思わない。マリカーのピーチ姫は。
「まずは慣らし運転。1位を取りに行きたいとは思ってるけど、まあ、慣らしで走らせてもらうわ」
『保険ですか?』
『負けた後の言い訳を最初に言う派ですか?』
『うわ』
『気持ちで負けてるから12位やね』
「保険とかじゃないから。やめてもらえます、そういうの。あと、『うわ』とか言うコメント、1番傷つく」
『否定したと言うことは』
『やっぱり保険か』
『ゲーム上手いところ見せてくださいよ』
『滝、まあ頑張ってよw』
おうおう、見てろよ。
絶対に1位取ってやるからな。
コメントを読んでいるうちに、ジュゲムが信号機を持って空から降りくる。
ピッ。
「よしゃ、行きますか!」
ピッ。
アクセルを踏み始め、スタートダッシュの準備をする。
そして、
ピッー!
「よしゃああ」
スタートダッシュからの、前の人にぶつかる。
「邪魔じゃあ!」
『輩!』
『不良やん』
『まあこれはあるある』
『やったれ!』
俺のプレイに賛否両論なリスナーさん達。
スタートダッシュを決め、近くのリスナーさんに当たった事もあり、順位は割と高めの5位。
1周目はこの順位をキープしときたい。
5位くらいだと、アイテムがクソることはない。
キープしたいからアイテムは、守りに使うか。
そうこう思っているうちに、1回目のアイテムが手に入る。
「2個欲しかったな」
4位のリスナーさんが2個のアイテムボックスを取ったため、1つのアイテムボックスしか取れなかった。
でも、
「3連ミドリ甲羅はデカイな」
なかなか良いアイテムを取ることができた。
すぐさまアイテムを使い、ミドリ甲羅を纏う。
これで前後の攻撃や、当たり屋みたいなリスナーさんからも守ることができる。
1周目も中盤。
牛が邪魔をしてくるも、ちゃんと避け、順調。
後ろのリスナーさん達がどんどん近づいてくる中、2回目のアイテムボックスがやってくる。
そろそろミドリ甲羅使っていくか。
後ろに向けて3つとも発射。
ピッタリくっ付いてきたピーチ姫に1ヒット。そして、更に後ろにいた8位か9位ぐらいのリスナーさんにもヒットで、3分の2甲羅が当たった。
「このまま行けば1位いけるんじゃない?」
ちなみに1位から4位までの距離はまだ諦めるほどの距離じゃない。
『このまま行けばな』
『そう甘くないのが、勝負事』
『後ろから追い上げがくるぞ』
『慢心したから12位かな』
慢心はしていないが、確かに追い上げ勢が怖い。
なので、早めにアイテムボックスをとしたいところだが、
「あっ!」
後ろからアカ甲羅。
アカ甲羅は前に投げると、前の人目掛けて飛んでくるアイテム。
5位の俺が食らったことにより、6位と7位のリスナーさん達が俺を抜かしていく。
目の前のアイテムボックスを取られた俺は、現在アイテムなしの状態になってしまった。
「やばいやばいやばい!」
ドリフトをして加速して行くも、アイテムない状態なので守りが薄い。
『ほら見たことか』
『こっからが怖いぞ』
『滝を潰せ!』
『やったれ、ボコボコにしろ!』
最近、アンチ寄りのリスナーさん達が増えたような気がするのは気のせいだろうか?
………気にしない方がいいな。
さて、どうやって1位と距離を縮めるか。
「もう、ドライブテクニックで詰めるしかないんだよな」
『アイテムないしね』
『ドリフト加速か?』
『諦めろ』
『もう無理や!』
「諦めたらそこでレースは終わりだろうが!」
俺は絶対に1位を取るんだ!
「見てるがいい、これが配信者のドラテクよ!」
………
……
…
『なんか言うことある?』
『カッコつけたって意味ないやん』
『お疲れw』
『まあ、だろうな』
コメント欄に励ましの言葉は一切なく、全て『分かってた』みたいなコメントばかり。
ええ、そうです。
12位になぜかなってしまいました。
いや、途中までいい感じに行けていたんですよ!
1周目は、5位から7位に落ちたものの順位を維持して、2周目に入る前に抜かして5位に戻りました。
んで、2周目は5位から4位、3位と順々に抜かしていき、目の前には2位と1位がいて、トップ争いをしてましたよ。
そんで、何故か3周目に12位まで落ちてゴール。
「なんで12位なの? ここまで落ちた記憶ないんだけど? バグかな?」
『バグではなく、テクニックの問題だね』
『記憶ないの? 説明いる?』
『普通にしょうもない』
『マジでしょうもない順位の落ち方』
バグではなく仕様でしたか。あと、
「しょうもないはやめろ!」
自分でもしょうもないって分かってるから。あえて言わなくていいから!
ええ、トップ争いしていたにも関わらず、なぜ最下位に落ちたかと言うと、
「マジで運がなかった」
そうです、運のせいです。
『運ちゃあ運だね』
『運のせいにするなって言いたいけど運のせいだね』
『アイテム運もなかったしね』
『おもろすぎて腹痛い』
そんなに面白い出来事ではなかったんですけどね!
何が起きたのかというと、3位の俺はトップ争いをしていました。
1位2位の真後ろに陣取り、次のアイテムボックス次第で、1位の座を狙っていた。そこまでは良い。
アイテムボックスが目の前で来たところに、俺のすぐ側をアオ甲羅が通って来て、それに勘付いた1位がバック。
アオ甲羅の爆破に巻き込まれた2位と俺は、共に停滞。停滞していたことにより後続にどんどん抜かされていきました。
その時の順位が7位だったかな?
そのあと、俺はアカ甲羅を受け、9位に転落。
アイテムを拾うも、雷に打たれ、アイテムを落としてしまい、アイテムない状態で走行。
後続にはスター効果のピーチ姫やキラー状態になったピーチ姫。
しかも、スターのピーチ姫は俺にワザと当たってきて、スタン状態になってしまい、最後尾を走っていたリスナーさんにも抜かされ、俺が最下位。
頑張れば最下位にならなくても済むような位置に11位のリスナーさんがいるも、
「あの牛マジで邪魔」
このマップの動く障害物こと牛に進路を邪魔され、抜け出せず、最下位のままレースが終了してしまった。
『でも運も実力のうちって言うし』
『確かに』
『じゃあ、これが滝の実力か』
『まあ分かってたけどね』
牛にもイラつくが、この『運も実力のうち』とか書いたリスナーさんにもイラつくわ。
「まあ、最初の方はいい感じだったし、それに慣らし運転だったしね。次よ、次こそが俺の実力よ!」
第2レース。
順位は10位。
『笑』
『笑』
『これも運ですか』
『いや流石だな。前回よりも2位順位は上がってんじゃんw』
「ちょっと肩の調子がね。うん、今良くなったわ! 次見ててみ」
第3レース。
順位は11位。
「すぅー。これはアイテムが悪い。だって、7位くらいなのにアイテム全部バナナってどう言うことよ!」
『アイテムのせいね』
『そうだね、アイテムのせい』
『はいはい、バナナが悪いね』
『バナナ、バナナ』
「くっ」
第4レースも第5レースも順位は下から数えた方が早いくらいの順位。
コメント欄では、『これが実力』『まあだろうね』などのコメントを多くもらった。
少しくらいは応援してよ。
そして、第6レース。
「今度こそ、1位を」
『高すぎる目標はダメだよ』
『そうだな、5位目指そう?』
『欲張るにはダメだよ』
『普通に走りなさい』
諭してくるリスナーさん達。
うるせぇの一言を言いたいが、言えない。これまでの順位が順位だから。
だからこそ、今度こそ。
そう思いレースに挑む。
すると、リスナーさんらしき人の名前に目がいく。
「オムライスはケチャップ、ねぇ」
今日の晩ご飯はデミグラスのオムライスだった俺。なので、聴きながらゲームをしているそのリスナーさんに向けて、
「オムライスはデミグラスです」
そう言い、レースが開始される。
『オムライスはケチャップだろ!』
『王道はケチャップ。けど、デミグラスも上手い』
『俺はデミグラス派』
『ケチャップ』
とまあ、こんな感じにコメント欄が騒いでるので、
「美味しければなんでも良い」
とだけ言っておく。
そして、
「目の前にケチャップ派のリスナーさんがいるので、アカ甲羅をプレゼント」
赤がお好きなんでしょ?
そのまま、その人を抜いて行く。
1周目はこれまで同様、良い順位をキープしている。
現在4位。
後ろには、ケチャップ派のリスナー。
2周目もその順位のまま、走行し、アイテムボックスを取る。
「おお、今回はアイテム運がいいな」
なお、2個のアイテムボックスを取り、1つ目がアカ甲羅3連、2個目が単発のアカ甲羅。
なので、後ろピッタリについてるリスナーさんに向けて、アカ甲羅をプレゼント。
「バイバイ、ケチャップ派」
多分今頃、「滝、ウザ!」とか言ってるんだろうな。
でもこれが勝負事。仕方なし、仕方なし。
残っている甲羅を上手に使い、3周目には1位に上り詰めた。
このまま行けば勝てる。
3周目もアイテムをちゃんと取り、後方からの攻撃に備えて、バナナを後ろに持って行く。
何としてでも1位を取りたい。
レースも終盤に差し掛かり、激しいアイテム戦になる。
未だに1位をキープしている俺。そして、
「2位の人の恨むがやばいような気がする」
2位のリスナーはあのケチャップ派の人。
目の前には最後のアイテムボックスがある。
「これは取らなければ!」
必死に走行し、2個のアイテムボックスを取る。
アイテムの中身は、バナナとアカ甲羅。
バナナを後ろで待機させ、後ろからの攻撃を守る。
もうそろそろゴールが見えてくると言う時に限ってくるのが、アオ甲羅。
なので、
「バックします」
ワザとバックをし、2位の人を巻き込む。
巻き込み、そして、残していたアカ甲羅を投げつけ、そのままゴール。
アカ甲羅を投げつけられた2位のリスナーさんは、3位へと順位が落ち、ゴールして行った。
「どうよ、これが1位の走りよ!」
『最後のバックは良かった』
『いい判断』
『ケチャップの人、怒ってるなw』
『俺だったら、ブチギレよ』
コメント欄には称賛の言葉と、ケチャップの人に対する言葉だらけになった。
「俺から1位の座を奪おうとするから、いけなかったんだよ。そしてらアカ甲羅なんてぶつけないのに」
『嘘つけ』
『絶対ぶつけてた』
『嘘はいけないよ』
『ダウト!』
「まあ、喜んでるんじゃないですかね。ケチャップと同じ色だし」
『色は関係ないでしょ』
『確かに喜んでるかも』
『奇声を上げながら喜んでる』
『良かったな』
「はははははははははは」
とまあ、ケチャップの人を弄って、笑ってみたものの、何故だが嫌な予感がする。
直感的な何かなのだが、物凄く寒気がしてならない。
ここは空気を変えよう。
「さて、1位も取ったことだし、ささっと次のレースに行こうか」
話題は次のレースへと変わる。
リスナーさん達も参加したいからなのか、コメントを打つのをやめ、マリカーに集中。
「じゃあ、第3レース始めます」
その後、俺の気のせいだったのか、配信は順調に進んでいき、配信終了の時間まで、リスナーさん達とマリカをすることができた。
「はい、じゃあね、もう時間なので配信を閉じまーす。今日もご視聴ありがとうございました。もしよかったら、高評価とチャンネル登録の方よろしくお願いします」
そう言い、「お疲れ!」と言って配信を閉じた。
配信を閉じ、いつものようにタバコを一服吸う。
「ふぅ」
そういえばあの寒気はなんだったんだろう?
「すぅ、ふぅ。ああいう時は必ず何か起きるんだよな」
直感………第六感というべきなのか、割と勘がいいガキなんですよね。
「何にも起きないといいな」
吸ったタバコの吸い殻を処理して、歯を磨き、ベッドへ向かう。
そして、
「明日何も起きませんように」
神様に祈り、眠った。
あんだけ彼女を弄って遊んで、何も起きないわけないのに。
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