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第22話 安仁の婚約発表
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翌朝、執務室では安仁と猪八戒が政務の打ち合わせをしていた。
そこへ、三蔵がノックをした。
「おはようございます、安仁、少しよろしいですか?」
「おお、姉上、おはようございます。何かあったかの?」
安仁は顔をほころばせる。
「はい。提案があるのです。僕が寺でお世話になっていた、国師の弥龍お兄様にかけあって、鬼への虐待について国による法規制を作ってもらおうと思うのです」
三蔵の提案に、安仁の顔がいっそう明るくなった。
「姉上の人脈を使わせてもらえるとは、本当にありがたいことじゃ」
「以前お会いした弥龍様ですか。確かに、困ったことがあれば頼るようおっしゃっていましたね。」
そこへ、孫悟空と沙悟浄も執務室へやってきた。
「どうしたのじゃ?皆揃って」
「ああ、僕がお呼びしたのです。皆様...僕と安仁様の婚儀の日程ですが」
猪八戒の突然の発言に、安仁はずっこけそうになった。
「こ、こ、婚儀じゃと?」
三蔵達は以前から二人の婚儀について聞いていたため、驚きはしなかった。むしろ微笑ましそうに二人を見守っている。
「実は、安仁様達が眠っていた間に里の民の了承は得ているのです。昨日は目覚めた鬼達にも報告済みです。知らないのは、遊びまわっていた安仁様だけというわけです。昨日は結局お説教で終わってしまいましたし…」
猪八戒が苦笑いしながら説明した。
安仁は、民たちが口々におめでとうと言っていた訳を理解して、顔を赤くした。
「そ、そんな...急に…わ、儂は聞いておらぬぞ!」
安仁が分かりやすく慌てる。
「そうじゃ、儂には他にも婚約者候補が何人もいたはずじゃろうが」
なんとか先延ばしにしようとする安仁だったが、猪八戒の説明に反論の余地はなかった。
「丈夫な混血児が望める点、里への功績、なにより安仁様の扱いを心得ている点から、満場一致で僕に決定済みです」
確かに、猪八戒は安仁の幼い頃から彼女を理解し、教育し、支えてきた。里の発展にも大きく貢献している。申し分のない婚約者だった。
「それとも...僕ではご不満ですか?」
猪八戒の不敵な笑みに安仁の心臓がはねる。こやつ、やはり顔が良い…いや、儂に惚れられていることを確信しておるな…安仁は観念したように肩を落とした。
「八戒に不満は…ない」
三蔵が口を挟む。
「安仁、大丈夫ですか?無理に結婚する必要はないのでは?」
しかし、安仁は告白した。
「いや、姉上。八戒は儂にとって最適な相手じゃ。ただ...急なことで心の整理が…その、は、恥ずかしいのじゃ」
安仁が両手で顔を隠す。猪八戒は、かわいらしい安仁の反応に顔がゆるむのを必死に堪えていた。
「では、婚儀は明日に決定しましょう」
猪八戒があっさり決断した。
「三蔵様と孫悟空殿に参列していただくためです」
「明日じゃと!?」
安仁が声を上げる。
「準備は整っています。それに...」
猪八戒の表情が柔らかくなる。
「一日でも早く、正式な夫として安仁様をお守りしたいのです」
その真摯な言葉に、安仁はもう反対できなくなった。
「分かったわい...儂も覚悟を決めるのじゃ」
俯いて恥ずかしがる安仁に、一同は目を細めた。
「安仁も年頃の女の子なんだな」
孫悟空は、安仁と三蔵が姉妹であることに、改めて納得する。
「よかったな、安仁、八戒」
沙悟浄も微笑んでいる。
その夜、安仁と三蔵は姉妹二人で語り合った。
「姉上は、悟空殿とのご関係は順調なのか?」
「えっと...その...」
三蔵が恥ずかしそうにもじもじする。
「先日、妖怪の攻撃で心の声が漏れてしまって...お互いの気持ちが分かったのです」
「ううむ、そんな妖怪がおるとはのう。しかし良かったではないか」
安仁が嬉しそうに言う。
「でも、まだ正式には何も...」
「ふふ、姉上も恋する乙女じゃのう」
安仁の茶化すような言葉に、三蔵は真っ赤になった。
「安仁こそ、明日は花嫁ですよ」
「...それを言われるとのう...」
今度は安仁が恥ずかしそうにつぶやく。
「八戒先生は、本当に安仁を大切に思っているのが分かります」
「うむ...それは儂にも伝わるのじゃ。ただ、あの美しい顔を見ると、いつもひるんでしまうのじゃ」
「顔ですか?」
「八戒はどうにも顔が良すぎるのじゃ。儂なんかが相手で良いのかと...」
安仁の素直な気持ちに、三蔵は微笑んだ。
「大丈夫です。八戒先生の安仁を見る目は、とても優しくて愛に満ちています」
姉妹の恋バナは夜遅くまで続いた。双子として生まれ、離ればなれに育った二人が、ようやく普通の姉妹として過ごせる貴重な時間だった。
そこへ、三蔵がノックをした。
「おはようございます、安仁、少しよろしいですか?」
「おお、姉上、おはようございます。何かあったかの?」
安仁は顔をほころばせる。
「はい。提案があるのです。僕が寺でお世話になっていた、国師の弥龍お兄様にかけあって、鬼への虐待について国による法規制を作ってもらおうと思うのです」
三蔵の提案に、安仁の顔がいっそう明るくなった。
「姉上の人脈を使わせてもらえるとは、本当にありがたいことじゃ」
「以前お会いした弥龍様ですか。確かに、困ったことがあれば頼るようおっしゃっていましたね。」
そこへ、孫悟空と沙悟浄も執務室へやってきた。
「どうしたのじゃ?皆揃って」
「ああ、僕がお呼びしたのです。皆様...僕と安仁様の婚儀の日程ですが」
猪八戒の突然の発言に、安仁はずっこけそうになった。
「こ、こ、婚儀じゃと?」
三蔵達は以前から二人の婚儀について聞いていたため、驚きはしなかった。むしろ微笑ましそうに二人を見守っている。
「実は、安仁様達が眠っていた間に里の民の了承は得ているのです。昨日は目覚めた鬼達にも報告済みです。知らないのは、遊びまわっていた安仁様だけというわけです。昨日は結局お説教で終わってしまいましたし…」
猪八戒が苦笑いしながら説明した。
安仁は、民たちが口々におめでとうと言っていた訳を理解して、顔を赤くした。
「そ、そんな...急に…わ、儂は聞いておらぬぞ!」
安仁が分かりやすく慌てる。
「そうじゃ、儂には他にも婚約者候補が何人もいたはずじゃろうが」
なんとか先延ばしにしようとする安仁だったが、猪八戒の説明に反論の余地はなかった。
「丈夫な混血児が望める点、里への功績、なにより安仁様の扱いを心得ている点から、満場一致で僕に決定済みです」
確かに、猪八戒は安仁の幼い頃から彼女を理解し、教育し、支えてきた。里の発展にも大きく貢献している。申し分のない婚約者だった。
「それとも...僕ではご不満ですか?」
猪八戒の不敵な笑みに安仁の心臓がはねる。こやつ、やはり顔が良い…いや、儂に惚れられていることを確信しておるな…安仁は観念したように肩を落とした。
「八戒に不満は…ない」
三蔵が口を挟む。
「安仁、大丈夫ですか?無理に結婚する必要はないのでは?」
しかし、安仁は告白した。
「いや、姉上。八戒は儂にとって最適な相手じゃ。ただ...急なことで心の整理が…その、は、恥ずかしいのじゃ」
安仁が両手で顔を隠す。猪八戒は、かわいらしい安仁の反応に顔がゆるむのを必死に堪えていた。
「では、婚儀は明日に決定しましょう」
猪八戒があっさり決断した。
「三蔵様と孫悟空殿に参列していただくためです」
「明日じゃと!?」
安仁が声を上げる。
「準備は整っています。それに...」
猪八戒の表情が柔らかくなる。
「一日でも早く、正式な夫として安仁様をお守りしたいのです」
その真摯な言葉に、安仁はもう反対できなくなった。
「分かったわい...儂も覚悟を決めるのじゃ」
俯いて恥ずかしがる安仁に、一同は目を細めた。
「安仁も年頃の女の子なんだな」
孫悟空は、安仁と三蔵が姉妹であることに、改めて納得する。
「よかったな、安仁、八戒」
沙悟浄も微笑んでいる。
その夜、安仁と三蔵は姉妹二人で語り合った。
「姉上は、悟空殿とのご関係は順調なのか?」
「えっと...その...」
三蔵が恥ずかしそうにもじもじする。
「先日、妖怪の攻撃で心の声が漏れてしまって...お互いの気持ちが分かったのです」
「ううむ、そんな妖怪がおるとはのう。しかし良かったではないか」
安仁が嬉しそうに言う。
「でも、まだ正式には何も...」
「ふふ、姉上も恋する乙女じゃのう」
安仁の茶化すような言葉に、三蔵は真っ赤になった。
「安仁こそ、明日は花嫁ですよ」
「...それを言われるとのう...」
今度は安仁が恥ずかしそうにつぶやく。
「八戒先生は、本当に安仁を大切に思っているのが分かります」
「うむ...それは儂にも伝わるのじゃ。ただ、あの美しい顔を見ると、いつもひるんでしまうのじゃ」
「顔ですか?」
「八戒はどうにも顔が良すぎるのじゃ。儂なんかが相手で良いのかと...」
安仁の素直な気持ちに、三蔵は微笑んだ。
「大丈夫です。八戒先生の安仁を見る目は、とても優しくて愛に満ちています」
姉妹の恋バナは夜遅くまで続いた。双子として生まれ、離ればなれに育った二人が、ようやく普通の姉妹として過ごせる貴重な時間だった。
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