【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢

かずえ

文字の大きさ
30 / 61

30 期末試験の結果

しおりを挟む
 期末試験の結果発表の日。昼休みの貴賓室は大騒ぎだった。

「勝ったー!本当に、本当に、嬉しい!今まで生きてきた中で、一番嬉しいー!」

「私も、リュカに、勝てたー!」

 はしゃぐ、コンスタンとシャルル。

「悔しい。……悔しい。全力で、二位なんて。」

「いや、ジュストはすごいと思うよ。だって、私たちは、入学前に一度勉強してる内容だけど、初めて習って試験してるんだから。」

 落ち込むジュストを慰めるシリル。

「シリル殿下、悔しがって?ちょっとは、悔しがって?私に負けたんですよ。」

 コンスタンは、生まれてこのかた、こんなにはしゃいだことは無い。お喋りも絶好調なのを、ジャンが呆然と見ていた。

「コンスタン様、一位おめでとうございます。シリル殿下より上なんて、凄いです。」

 普段通りのリュシルが言う。

「リュカ?リュカも、ちょっとは悔しがって?真正面から褒めないで?」

「本当に、本当に凄いですよ。」

 にっこりと笑われると、コンスタンは真っ赤になった。リュシルのけていた頬には肉が付いて、青白かった顔色は、透明感のある色白になっている。たまにうっすら赤みの指す頬。大きな目は、きらきらと潤んで、リュシルは、儚げな美貌に磨きがかかっていた。
 
「リュカ、笑顔の安売りをするな。お前らも、リュカを見るな。」

 コンスタンの様子に気付いたシリルが近寄り、片手でリュシルの目をふさぐ。

「いやいや、どういうこと?見るなって何?」

 ジャンが思わず、敬語も忘れて突っ込む。

「リュカが減る。」

「減らない、減らないからね。訳分からない。やきもち妬いてる恋人なの?」

 リュシルはよく分からず、にこにこ笑うばかり。

「とりあえず、ご飯を買いに行きましょうか、リュカ。」

 力なく顔を上げたジュストがぶつぶつと言う。

「俺は、お金無いけどね。はあ、アルバイトもせずに昼ご飯を犠牲にして頑張ったのに。はあ。二位とか。あー、もう。」

「リュカに貰ってただろ。食べきれるわけないのに、わざと日替わり定食食べてただろ、リュカ。」

「今日は、スペシャルボリューム定食?プリン?」

 くす、と笑いながら、リュシルが言う。

「甘やかすな、リュカ。負けたのだから、今日は無しでいいさ。」

「シリル殿下も、負けました。」

「負けると格好悪いか。」

「私も、負けました、一緒です。」

「リュカ、俺の女神さま。」

「女神は、おかしいだろ?」
  
 ジャンの突っ込みに、

「俺のだ。」

 とシリルが返し、ジャンは、そこじゃない、と崩れ落ちた。
 結局、皆で貴賓室を出て食堂へ向かう。王子二人と側近が、すっかり一番安い食堂の常連だ。マクシムとトマは、子どもらしさを取り戻してきた主たちを微笑ましく見ているが、シャルルの護衛と侍従は、今日も苦虫を噛み潰したような顔で付いていく。
 廊下を歩く間も、ご機嫌のコンスタンが先導していた。

「コンスタン。」

 最近、シャルルから離れていたエクトルの声がする。

「探していた。試験の結果を見たぞ。お前、大丈夫なのか。」

 コンスタンが前にいたから、後ろにいたシャルルに気付かなかったのだろう。まさか、シャルルの前にいるとは思わなかったに違いない。

「ああ、エクトル、昼は食べたか?一緒にどう?」

「それどころじゃない。中間試験の時に、酷い目に合ったろう?なのに……。」

 そこまで言いかけて、シャルルに気付いたらしい。

「あ、え、殿下。失礼致しました。」

 慌てて礼を取る。そして、更にその横にいたシリルにも気付いた。

「あ、その、俺は。」

「エクトル。一緒に昼を食べよう。私たち、最近は貴賓室を借りて食べているんだ。食堂で好きなものを買って運ぶから、選びに行くよ。」

「食堂で、ですか?」

「そう。楽しいからおいで。で、さっきの話を詳しく聞かせてもらうから。」


 



 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

処理中です...