【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第二章 人として生きる

23 成人 16

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 おにぎりをもらった。何とかかじったけど、海苔が飲み込めなかった。いつまでも一口目を口に持って困っていると、背中を支えてくれていた睦峯むつみねが、おにぎり食えないのか……と呟いてそれを取り上げ、出ていった。
 戻ってきたら、鍋の中で海苔をはがしたおにぎりが雑炊になってて、食べさせてくれた。
 美味しい。

「お、食えた」

 ほっとしてるのが分かる。優しい人なんだろうな。
 忍部しのぶべ博士は、さっき俺から抜いた血を幾つかに分け、何かの機械を触って忙しそうにしている。
 この二人は、嫌いじゃない。

「どれだけ切り刻み終えているかと思えば」

 赤虎せきとらの声がした。
 嫌い。

「こんなことのために、連れてきたのか」
「順調に研究は進んでおります」

 忍部しのぶべ博士が頭を下げて報告する。睦峯むつみねも、スプーンを置いて立ち上がり頭を下げた。

「手枷足枷も付けずにベッドで優雅にお食事か」

 クッションにもたれてベッドに座る俺を、じろじろと見る。

「拾ったペットのお世話か、忍部しのぶべ
「意志疎通のできる戦闘人形ドールです。せっかくなら、体調も整えた状態で研究に付き合ってもらう方が、お互いに良い結果を生むでしょう」
「馬鹿らしい」

 そう言って、銃を手に持つ。

「兵器だろう、作られた」
「人です」

 思わず、といった感じに睦峯むつみねが答える。

「黙れ。人だと結果が出たならもう、いらないな」

 ぱん、と軽い音。右太腿に衝撃と少し遅れて激痛が走る。痛い、熱い。じわじわと冷や汗が流れる。
 考えろ。死んではいけない。

「見ろ。やはり人ではないぞ。声一つ上げん」
赤虎せきとら殿下。お止めください」

 忍部しのぶべ博士が焦って近付いてくる。睦峯むつみねは、タオルを探して駆け寄り俺の傷口を押さえた。痛い……。

「何てことを」
「薬が切れたら動くだろう? なら両手両足落としてしまえば、安心して尋問できるじゃないか。お前たちの安全のためだ」

 楽しそうに言って、また銃を構える。

「どけ。もう一本の足も撃っておいてやろう」

 忍部しのぶべ博士は、俺の頭を抱え込んだ。睦峯むつみねは、撃たれた右太腿を必死で止血している。

「俺の優しさが伝わっていないのか」

 赤虎せきとらは大袈裟にため息をついた。

「昔から誤解されやすくてな」

 手を振ると、五人の軍人が動いて、博士たちを引き剥がしにかかる。
 俺は、右手一本で何人いけるかな、と拳を握りしめた。

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