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第三章 幸せの行方
75 赤璃 10
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「と、いうわけです。」
私の報告に、朱実が頭を抱える。特に人払いもしていなかった執務室で、一人の文官を呼んだ。
「急いで駄菓子屋と雑貨屋を一軒ずつ買い上げてくれ。もう店を閉めようかと考えている所や、経営が傾きかけている所を調べて、私の持ち物にしてほしい。二軒の場所は近い方が良い。頼む。」
文官は、余計なことは何も言わず、頭を下げて出ていく。同じ部屋にいたし、声も落としていなかったから、だいたいの話は聞こえていたのだろう。
「そうなりますよね……。」
「当たり前だろう。ついでに、緋色と常陸丸が行かない訳がない。どれだけ目立つと思うんだ?力丸と成人だけならまだしも。いや、成人は駄目だな。どうしても人目を惹く。もともと整いすぎた顔に傷があることで余計に人目を惹くんだよ、あれは。もう少し無表情なうちはまだ、それほどでは無かったけれど、今は、少し感情が面に出るだろう?」
「ええ…。可愛いですよ。動くことに慣れていない表情筋が少しずつ解れて笑う様子は。拗ねたりするのは、緋色殿下と力丸にしかしませんけれど。」
「はあ…。眼帯をつけさせてもまた、それが目立つんだろうな。左手が無いことも隠せないしなあ。」
どうせ、なるだけで出掛けるなんてあり得ないのだから、もっと目立つ人がいつも隣にいるんでしょうに。
緋色殿下の整った顔を思い浮かべて苦笑いする。
「どうした?」
「いえ。その駄菓子屋と雑貨屋から儲けが出たら、万々歳ですね。」
「私は、商人までするのか?王様業で精一杯だというのに。」
くふふっと笑ってしまった私に、柔らかい笑みが返される。
「そろそろ、間諜の真似事は終わりだな。」
ん?と首を傾げると、立ち上がって執務机の前に回ってきた。柔らかく抱きしめられて、体を預ける。
「結婚式をするよ。頃合いだ。戦争は終わった。」
間諜の真似事は、趣味でもあったけれど。
私は、微かに頷く。
「最近は、良い報せが多くて嬉しいね。」
独り言のように漏れた言葉。
母上が、お出掛けになりたいとおっしゃった……。
少しずつ、少しずつ、色んな物事が動き始めている。きっと、よい方へ。
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文官は、余計なことは何も言わず、頭を下げて出ていく。同じ部屋にいたし、声も落としていなかったから、だいたいの話は聞こえていたのだろう。
「そうなりますよね……。」
「当たり前だろう。ついでに、緋色と常陸丸が行かない訳がない。どれだけ目立つと思うんだ?力丸と成人だけならまだしも。いや、成人は駄目だな。どうしても人目を惹く。もともと整いすぎた顔に傷があることで余計に人目を惹くんだよ、あれは。もう少し無表情なうちはまだ、それほどでは無かったけれど、今は、少し感情が面に出るだろう?」
「ええ…。可愛いですよ。動くことに慣れていない表情筋が少しずつ解れて笑う様子は。拗ねたりするのは、緋色殿下と力丸にしかしませんけれど。」
「はあ…。眼帯をつけさせてもまた、それが目立つんだろうな。左手が無いことも隠せないしなあ。」
どうせ、なるだけで出掛けるなんてあり得ないのだから、もっと目立つ人がいつも隣にいるんでしょうに。
緋色殿下の整った顔を思い浮かべて苦笑いする。
「どうした?」
「いえ。その駄菓子屋と雑貨屋から儲けが出たら、万々歳ですね。」
「私は、商人までするのか?王様業で精一杯だというのに。」
くふふっと笑ってしまった私に、柔らかい笑みが返される。
「そろそろ、間諜の真似事は終わりだな。」
ん?と首を傾げると、立ち上がって執務机の前に回ってきた。柔らかく抱きしめられて、体を預ける。
「結婚式をするよ。頃合いだ。戦争は終わった。」
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私は、微かに頷く。
「最近は、良い報せが多くて嬉しいね。」
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少しずつ、少しずつ、色んな物事が動き始めている。きっと、よい方へ。
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