【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第四章 西からの迷い人

74 お仕事  成人

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「あれ?三雲みくも三雲みくもはお客様のとこ行かないの?」

 応接室へ向かう途中で三雲みくもを見かけた。

「おかえりなさい、緋色ひいろ殿下、成人なるひとくん。……お客様、ですか?」

 三雲みくもが首を傾げる。
 あれ?たからは、三雲みくもにも会いたいって言ってたけどなあ。

緋椀ひまりの友達のたからが来てるよ。朱可しゅかさんも。」
「ははあ。」

 三雲みくもは、右手で顎をさすってにやっと笑う。

「聞いておりませんでしたが、今からご一緒してもよろしいですか?」
「うん、行こ。」
「俺は着替えてくる。」

 緋色ひいろが、軍服のボタンをプチプチと外しながら言った。

成人なるひとくんも着替えますか?お茶は、俺が持って行きましょうか?」
「んーん。お仕事だから。」
「はい。では、行きましょう。」

 三雲みくもは、ものすごく楽しそうな顔でついてくる。会えて良かった!
 応接室をノックするとすぐに、はい、と緋椀ひまりの声が聞こえた。
 三雲みくもが扉を開けてくれたので、ワゴンを押して中に入る。

「失礼します。お茶をお持ちしました。」
「げ。作治さくじさん、何で……。」
「あ、緋椀ひまり三雲みくもも連れてきたよ。」
「ばか、成人なるひと。こっそり来たのに。」

 緋椀ひまりが小さな声で言う。
 え?なんで?たから、会いたがってたよ?

「そう、なの?ごめん。」
「あ、いや、別にいいんだけど。いや、よくない……。あー、もう。」
緋椀ひまり成人なるひとくんが混乱してるだろ。やめなさい。成人なるひとくん、連れてきてくれて助かりましたよ。ありがとうございます。緋椀ひまりは照れてるだけなんで、気にしないで。謝るのは緋椀ひまりの方ですよ。」
「ごめん、成人なるひと。」

 分かんないけど、連れてきて良かったってこと?
 ほら、座るぞ、紹介してくれないのかって緋椀ひまりの耳元で囁きながら、三雲みくも緋椀ひまりの腰を抱いてソファの方へと連れていく。真っ赤になった緋椀ひまりは、うつむいたままソファの前で、たからに軽く手を向けて、

「友達の八条たから。そんで、こっちが三雲みくも作治さくじさん。一緒に仕事してる。」

 と言った。たからが立ち上がって頭を下げる。三雲みくもも、緋椀ひまりの腰を抱いたまま頭を下げた。

「はじめまして。八条家当主、たからと言います。」
「はじめまして。三雲みくも作治さくじです。緋椀ひまりと共に暮らしております。」
「あー、もうっ。」

 緋椀ひまりが何か言ってソファに座り込んだ。

朱可しゅかさまもお久しぶりでございます。」
「相変わらず、可愛がっているようだね。仲が良さそうで何より。」

 朱可しゅかさんがくすくす笑って、皆やっと、ソファに座った。
 そろそろお茶を出してもいいかな?
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