【本編完結】人形と皇子

かずえ

文字の大きさ
378 / 1,325
第五章 それは日々の話

28 幸せの朝  成人

しおりを挟む
 夜はやっぱり、緋色ひいろのお布団で寝るのがいい。ふ、と目が覚めて、そんなことを思った。起きたときに緋色ひいろの匂いがすると、本当に嬉しい気持ちになる。
 目を開けたら、緋色ひいろの腕が枕になっていて、寝ている顔が目の前にあった。
 きれいね。寝ている緋色ひいろは、顔の色んなところが弛んで、少し優しそうになる。きり、とした眉もお休みしてるみたいだ。長いまつげもまっすぐおりていてきれい。すっきりした頬は、寝ててもすっきりしてるけど。
 ちゅ、と少し薄くて柔らかい唇にちゅーをしても、緋色ひいろは寝たまんま。緋色ひいろはおうちで寝てるときは、朝の起きる時間にも、ぱっと目を覚ましたりしないので、寝てるときに少し何かしても、はっきり目は覚まさない。話しかけたら返事がくることもあるけど、それも寝惚けたまま話してることを知っている。起きた後で、あんまり覚えてないことが多いからね。それでも、ちゃんと返事してくれるから好き。
 俺が成人なるひとになってから、いっぱいの好きなことや好きな人ができたけど、緋色ひいろはいつも一番で特別。好き、よりもっと好き。他の好きとはもっと違う好きなんだと思う。選ぶ時に何にも迷わない。一番。絶対の一番。
 気持ちいいことして、脱力して寝た朝は、裸のまんまなことが多くてちょっと寒い。やっぱり裸の緋色ひいろにぴったりくっついて、寝間着を着ようか迷う。くっついてるうちにまた寝てしまったり、起き上がろうとしたら寝ている緋色ひいろにきゅ、と抱きしめられて、やっぱりそのまんまになる。
 俺のお布団で初めて寝転がった時は、嬉しくて嬉しくてお昼寝できなかった。俺のお布団かあ、って思ったらどきどきした。そんなにどきどきしてたのに、夜、いつの間にか寝てて、俺のお布団に一人で寝てることに気付いてなくて、お布団に緋色ひいろがいないと思って、泣きそうだった。匂いもない。今まで、緋色ひいろがいなくても匂いがしたら大丈夫だったのに。
 緋色ひいろは、いつもより離れて横にいたけど、見つけるまで怖かった。しがみついて、寝ぼけながら何かしゃべった。お前の布団は狭い、って緋色ひいろに言われて俺のお布団のこと思い出したけど、暗いとこで緋色ひいろの匂いもなしに寝るなんて嫌だって思った。せっかくお布団もらったから、ちゃんとお昼寝をすることにする。
 お昼寝は、遊んでる時にいつの間にか寝てることが多かったけど、ちゃんと布団に入ってみた。何せ俺のお布団だからな。俺が使ってやらないと、誰も使わない。でも一人で、緋色ひいろ無しではなかなか寝れなくて、色々考えて、くまを横に置いてみたらやっと寝れたんだよなー。夜もくまを横に置こうとしたら、くまにもちゅーは見られたくないな、と緋色ひいろが言ったからやめた。
 口にちゅーは、二人だけでするものだからね。
 最近は、気持ちいいことした次の日も、起き上がれなかったり熱が出たりしない。ちょっと怠いときもあるけど、平気。
 俺は、全然起きそうもない緋色ひいろにもう一回ちゅーをした。
 今日も幸せな一日が始まる。
しおりを挟む
感想 2,498

あなたにおすすめの小説

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

【完結】君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)今年は7冊!
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...