【本編完結】人形と皇子

かずえ

文字の大きさ
496 / 1,325
第五章 それは日々の話

146 お手紙  成人

しおりを挟む
 久しぶりに赤璃あかりさまのお部屋に来た。仕事の後で休憩していたら、赤璃あかりさまからお手紙が届いたんだ。お手紙なんて初めてもらったので、びっくりした。
 綺麗な、小さなお花の模様がある封筒に入っているお手紙。薄い赤色のお花だった。中の紙にも同じお花が散っていて、とても綺麗。俺がこの紙をもらったら、もったいなくて何も書けないかも。封筒の表と中の紙の一番上に「なるひとへ」と書いてある。
 俺への手紙ってことだ!嬉しい。
 その下には「わたしのおへやにあそびにきてください。なかなかでかけられなくて、たいくつしています。あかりより」と書いてあった。
 全部ひらがなだと、かえって読みにくい。俺は漢字を書くのは勉強中だけど、読むのは結構できるのに、皆、ひらがなで書いてくれたり、ふりがなを打ってくれたりするんだよな。早く漢字をたくさん書けるようになって皆を驚かせたい。

「お返事をすぐに書かれますか?」

 手紙を持って来てくれた一ノ瀬いちのせの女の人が言う。
 お返事!俺も、手紙を書くってこと?書いてみたい!
 こくこく頷くと、書けるまでお待ちします、と女の人は言ってくれた。
 急がねば!
 可愛い紙や封筒は持っていないので、どうしようかと悩む。白い紙でもいいかな、と思って紙の置き場を漁ったら、誕生日会の飾りつけで使って余っていた折り紙を見つけた。赤い折り紙の裏の、白いとこに書くことにする。
「あかりさまへ
 あそびに行きます 
 成人」
 おお。手紙みたい。いや、手紙なんだった。封筒は無いので、そのまま折り畳んで女の人に渡す。女の人は少し笑って、お渡ししますね、と帰って行った。
 昼から城へ行く、と言ったら、寒いから歩いて行くな、と緋色ひいろが言った。うちから城までなんて、大した距離じゃないのにさ。まあでも、寒いな、って思って少ししてから熱が出ることが多いから、車で来たよ。離宮いえから出るなって言われるのが一番困る。遊びに出たいから。
 緋色ひいろが心配してくれてることは嬉しい。緋色ひいろが色々言うのは、俺のことが大事って言ってるのとおんなじだからね。
 これが分かってから俺は、緋色ひいろが心配して俺に何か言うと、嬉しそうな顔になってるらしい。真面目に聞いてるのか?って怒られたこともあった。
 うん。まあ、仕方ない。ちゃんと言うこと聞くから、心配しないで。あ、いや、心配はして。……あれ?どっちだろ。自分でもよく分からないな。
 今日は、商店街のお店で買った髪の毛の美容液をお土産に持って来た。以前のお土産が無くなりかけてたようだから、ちょうど良かったみたい。
 ちょっと付けて、と赤璃あかりさまが言うので、今、赤璃あかりさまの長い髪の毛に、新しい美容液を馴染ませている。
 俺が美容液を付ける前に、侍女さんがわざわざ、温めた手拭いで赤璃あかりさまの髪の毛の表面を拭いていたから、もう付いてたよね?だって、つるつるのすべすべだったし、少しだけ良い匂いがしてた。
 まあ、いいんだけど。

「ねえ。私も美容液のお店に行きたいわ」
「うん。雫石しずく母さまが、気持ちいいって言ってた」

 お店の人のマッサージは、すごく気持ち良かったみたいだよ。

「気持ちいい?」
「お店の人がお手入れしてくれる」
「わあ。何それ、いいじゃない。ね、一緒に行こう?」
「うん」

 あ、でも、俺はいいけど、赤璃あかりさまは出かけてもいいの?
しおりを挟む
感想 2,501

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。

ホマレ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。 その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。 胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。 それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。 運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...