【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第六章 家族と暮らす

41 それぞれの御守り  三郎

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 あ、お土産に御守り買おうかな。
 ふと思ったけど、緋色ひいろ殿下と成人なるひとさまは、すたすたと御守りや御札などが売っている場所を通り過ぎてしまう。

「待って。私、ここ見たい」
「ん?何かあったか」
「御守りとか、ちょっとしたお土産品もあるみたい」

 乙羽おとわさまの声に、先頭を行く殿下が足を止める。ああ、乙羽おとわさま、ありがとう。
 すぐに出発されても間に合うように、足早に御守りの並んでいる窓口へ進んだ。

三郎さぶろう、御守り買うのか?」
「あ、はい。あの、利胤としたねさま、いや、お祖父様とさい父上に、健康長寿の御守りをどうかと思て」
「ああ、いいな」

 力丸りきまるさんが、にこりと笑った。
 役に立っているんかどうかは分からんけど、殿下はこんな私にも過分な給金を渡してくれている。その上、さい父上は、ここへ来るに当たって、出張費やと言ってお金を持たせてくれた。御守りの二つくらい、出張費に手を付けなくても買える。迷わず、健康長寿の御守りを二つ手に取った。

「二つでいいのか?睦峯むつみね先生、いじけねえ?」

 会計をお願いしようと待っていると力丸さんが言った。

「へ?」

 睦峯むつみね父上が、いじける?まさかそんなことは……。
 …………。
 いるやろか?

「…………ええと、ほな、四つ買おかな」

 うん、そやな。そうしよう。生松いくまつ先生の分も買おう。

「家族の分な。いいじゃん」
「あ……」

 そうか。家族。
 家族のお土産。
 なんやろ、何か嬉しい。
 土産を買う家族が、私にはおるんやな。

「殿下、御守りいらないんですか?」

 脇に避けて、皆の買い物が終わるのを待ってくれている緋色ひいろ殿下に常陸丸ひたちまるさんが聞いている声がした。

「御守りい?成人なるひと、いるか?」
「いらなーい」
「だとよ」
「へええ。成人なるひといらないのか?好きそうなのに」
「ええー?俺、御守りあるからいい」
「あ、もう持ってんの?」
「うん、これ」

 成人なるひとさまが右手をひょいと上げる。

「何?」
「指輪あるからいい」
「それ、御守りなのか」
「そう」

 いい笑顔で答える成人なるひとさまを殿下がひょいと抱き上げた。そのまま頬にキスを一つ。きゃ、と喜んで抱きつく成人なるひとさま。少し離れた辺りで様子を伺っている人々から、きゃあ、と声が上がる。

「こら、お外でキスしちゃ駄目」

 と、乙羽おとわさまの可愛い声がたしなめている。
 賑やかな中、私は御守りを四つ包んでもらった。
 兄上と半助も、健康長寿の御守りを贈りあっとるのが見える。乙羽おとわさまも、常陸丸ひたちまるさんに渡しているみたいや。
 あ、私も。
 私ももう一つ、健康長寿を包んでもらおう。以前、私に厄除の御守りをくれた力丸さんへのお礼になるかな?
 後でこっそり渡せるとええな。
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