662 / 1,325
第六章 家族と暮らす
97 灯可は偉い 成人
しおりを挟む
「宿題を終わらせてしまってもいいですか?」
お腹がいっぱいになると灯可が言った。宿題。俺もたまにするから知ってる。青葉の都合がつかなくて勉強の時間が取れない時やお休みの前の日は、習ったことを忘れないようにもう一度自分で練習しておくんだよ、って文字の練習のお手本が書かれたノートを青葉がくれるんだ。お手本にそっくりな字をたくさん書くのが宿題。白いノートが埋まっていくのは楽しい。
次に青葉に会ったときに渡すと、良くできました、って言って大きな花丸をくれるから宿題は好き。
灯可の宿題もやっぱり文字の練習だった。
「一緒」
「本当だ。一緒です」
俺のノートを見せると、灯可は手を止めて笑った。
「綺麗な字ですね」
「灯可の字は綺麗ね」
二人で同じことを言ってまた笑う。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
うん。すごいよ。俺のは、ノートの一頁毎に青葉のお手本が書いてあって、すぐ横の綺麗な字を見ながら書けるけど、灯可は真っ白なノートに教科書の漢字を写しているんだもの。それで、間違えずに綺麗に書けるのはすごい。
「わざわざここまで来て宿題を先に終わらせるとか、時間がもったいないですよね、すみません」
しばらく静かに漢字を書いていた灯可が、急に言った。
別にいいよ?
綺麗な字を書く灯可を見てるのは楽しい。こう書こうと思った通りに手が動くのかなあ、すごいなあ、って見てた。
「四月に見可が家を移ったんです」
「うん」
見可は七条の隊長になるから一条の家から七条の家にいった。
「学校も同じだし、家もごく近くなので気が向いたら帰ってくるんですけど、そんなには帰ってこなくて」
「うん」
「学校が終わった後、家庭教師との勉強が無い日に何をしたら良いのか分からなくて」
学校でも勉強して、家でも勉強してるの?すごいね。
「灯可は偉いなあ」
「え?」
「たくさん勉強してて偉い」
「ああ。皆してますよ。皆おんなじです」
「そう?でも、偉い」
灯可はちょっと笑った。
「見可は学校から帰って予定の無い日には、玄関に鞄を放り投げてすぐに友達と遊びに出てしまうそうです。ただいま、の声を聞いて玄関に迎えに出た緋椀兄さまが姿を見ていないそうです」
見可って感じがする。家に入る時間ももったいないんだね、きっと。
「それで、遊び疲れて宿題もせずに寝てしまったり、ご飯の途中で寝てしまったりして大変だって言ってました」
「あはは。大変だ」
「全然ちゃんとしてないのに、大変だって言いながら皆笑ってて、それで、母上が、灯可もお友達と遊んでいらっしゃいって言うようになって……」
それで俺のとこ来てくれたの?嬉しい!
「私は、学校から帰ってからまで誰かと遊びたいと思うようなことがなく……。本などを読む方が楽しいのですけど、その、母上は、私が外で遊んでいる方がいいのかな、と考えてしまって」
「うん」
「その時に、遊ぶなら成人さまがいいなと思ったんです。その、先日のお誕生日会もとても楽しかったので」
「うん!」
「その、何か遊びを考えていたわけではなくて」
「え?何もしなくても一緒にいたら楽しいけど」
「え?そうですか?それでいいんでしょうか」
「うん。俺は灯可が宿題してるのを見てても楽しいよ?」
何だか力の抜けたような顔で灯可が笑った。
「また来てもいいですか?」
お腹がいっぱいになると灯可が言った。宿題。俺もたまにするから知ってる。青葉の都合がつかなくて勉強の時間が取れない時やお休みの前の日は、習ったことを忘れないようにもう一度自分で練習しておくんだよ、って文字の練習のお手本が書かれたノートを青葉がくれるんだ。お手本にそっくりな字をたくさん書くのが宿題。白いノートが埋まっていくのは楽しい。
次に青葉に会ったときに渡すと、良くできました、って言って大きな花丸をくれるから宿題は好き。
灯可の宿題もやっぱり文字の練習だった。
「一緒」
「本当だ。一緒です」
俺のノートを見せると、灯可は手を止めて笑った。
「綺麗な字ですね」
「灯可の字は綺麗ね」
二人で同じことを言ってまた笑う。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
うん。すごいよ。俺のは、ノートの一頁毎に青葉のお手本が書いてあって、すぐ横の綺麗な字を見ながら書けるけど、灯可は真っ白なノートに教科書の漢字を写しているんだもの。それで、間違えずに綺麗に書けるのはすごい。
「わざわざここまで来て宿題を先に終わらせるとか、時間がもったいないですよね、すみません」
しばらく静かに漢字を書いていた灯可が、急に言った。
別にいいよ?
綺麗な字を書く灯可を見てるのは楽しい。こう書こうと思った通りに手が動くのかなあ、すごいなあ、って見てた。
「四月に見可が家を移ったんです」
「うん」
見可は七条の隊長になるから一条の家から七条の家にいった。
「学校も同じだし、家もごく近くなので気が向いたら帰ってくるんですけど、そんなには帰ってこなくて」
「うん」
「学校が終わった後、家庭教師との勉強が無い日に何をしたら良いのか分からなくて」
学校でも勉強して、家でも勉強してるの?すごいね。
「灯可は偉いなあ」
「え?」
「たくさん勉強してて偉い」
「ああ。皆してますよ。皆おんなじです」
「そう?でも、偉い」
灯可はちょっと笑った。
「見可は学校から帰って予定の無い日には、玄関に鞄を放り投げてすぐに友達と遊びに出てしまうそうです。ただいま、の声を聞いて玄関に迎えに出た緋椀兄さまが姿を見ていないそうです」
見可って感じがする。家に入る時間ももったいないんだね、きっと。
「それで、遊び疲れて宿題もせずに寝てしまったり、ご飯の途中で寝てしまったりして大変だって言ってました」
「あはは。大変だ」
「全然ちゃんとしてないのに、大変だって言いながら皆笑ってて、それで、母上が、灯可もお友達と遊んでいらっしゃいって言うようになって……」
それで俺のとこ来てくれたの?嬉しい!
「私は、学校から帰ってからまで誰かと遊びたいと思うようなことがなく……。本などを読む方が楽しいのですけど、その、母上は、私が外で遊んでいる方がいいのかな、と考えてしまって」
「うん」
「その時に、遊ぶなら成人さまがいいなと思ったんです。その、先日のお誕生日会もとても楽しかったので」
「うん!」
「その、何か遊びを考えていたわけではなくて」
「え?何もしなくても一緒にいたら楽しいけど」
「え?そうですか?それでいいんでしょうか」
「うん。俺は灯可が宿題してるのを見てても楽しいよ?」
何だか力の抜けたような顔で灯可が笑った。
「また来てもいいですか?」
1,272
あなたにおすすめの小説
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】好きな人の待ち受け画像は僕ではありませんでした
鳥居之イチ
BL
————————————————————
受:久遠 酵汰《くおん こうた》
攻:金城 桜花《かねしろ おうか》
————————————————————
あることがきっかけで好きな人である金城の待ち受け画像を見てしまった久遠。
その待ち受け画像は久遠ではなく、クラスの別の男子でした。
上北学園高等学校では、今SNSを中心に広がっているお呪いがある。
それは消しゴムに好きな人の前を書いて、使い切ると両想いになれるというお呪いの現代版。
お呪いのルールはたったの二つ。
■待ち受けを好きな人の写真にして3ヶ月間好きな人にそのことをバレてはいけないこと。
■待ち受けにする写真は自分しか持っていない写真であること。
つまりそれは、金城は久遠ではなく、そのクラスの別の男子のことが好きであることを意味していた。
久遠は落ち込むも、金城のためにできることを考えた結果、
金城が金城の待ち受けと付き合えるように、協力を持ちかけることになるが…
————————————————————
この作品は他サイトでも投稿しております。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる