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第七章 冠婚葬祭
13 緋色は優しい 成人
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「ありゃ?入ってもよろしいですか?」
お勉強の時間に来てくれた青葉は、俺と緋色の部屋にたくさんの人が居るのを見て、入り口で立ち止まった。今日は、ここが執務室になっている。
「入れ」
ソファにだらしなく座った緋色が答えて、俺は入り口にお迎えに行く。青葉は、離宮に勝手に出入りしていい人だから、玄関のお出迎えとかしてなくてごめんね。玄関まで行って、事情を話しておけば良かった。
「緋色がお熱だから、ここでお仕事」
「おやま。鬼の霍乱かい」
「おにのかくらん」
「普段、とても丈夫な人が、珍しく体調を崩すことだよ」
おお。当たりだ。
「うん。鬼の霍乱」
「成人。それは褒め言葉じゃないぞ」
ん?そうか。そうかも。
「母上。俺です」
緋色と同じようにソファで書類を読んでいた常陸丸が、立ち上がって青葉に頭を下げる。ぴしっと頭を下げた。さっきソファに座っていたときも、ぴしっと背筋は伸びていたな。そういえば常陸丸は、いつも姿勢がいい。鍛えてるからかな。格好いいよね。
緋色ももちろん、ちゃんとするときはぴしっとしてるから格好いいけど。
「殿下、まさかお怪我を?」
青葉は、すぐに緋色の近くまで寄り、膝を付いた。そのまま包拳礼の姿勢になり、深く頭を下げる。
「愚息が、とんでもないご無礼を致しました。誠に申し訳ございません」
はあ、と緋色が溜め息を吐く。
「いい。ただの打撲だ。頭を上げろ。おい、常陸丸。青葉には関係ないだろ」
「関係あります、殿下」
頭を上げた青葉は、真剣な顔で言った。
「あるんですよ」
「ああ。分かった。謝罪は受けた」
緋色の手が、しっしっと追い払うみたいに動く。
「謝罪をお受け頂き、ありがとうございます。……少し、息子をお借りしても?」
青葉が、いつもと少し違う笑顔で緋色に聞く。
「好きにしろ」
緋色は、それだけ言って仕事に戻った。青葉は常陸丸を連れて、部屋を出ていった。
何するんだろ?
こっそり、ついて行ってみる。あまり近付くと青葉にも気付かれるから、ちょっと離れて。常陸丸に気付かれてるのは仕方ないから、気にしないことにする。
お外に出て、少ししたら声が聞こえてきた。
「この、馬鹿息子!主に怪我させるなんて!」
「母上、ごめん!」
「殿下は優しいんだから、甘え過ぎないように気を付けなさいと昔から言ってただろ」
「…………分かってるよ」
「いいや、分かってない。分かってないから、こんなことになるんだ。肝に命じなさい。殿下の優しさに甘えないこと」
「ああ……。反省してる」
ばしん、と一発、どこかを叩く音がした。
「ああもう。私の手の方が痛い」
「うん、ごめんな」
さて。お部屋に帰ろ。
緋色は優しいって、青葉と常陸丸は知ってたんだな。
俺も。
俺も知ってる。
お勉強の時間に来てくれた青葉は、俺と緋色の部屋にたくさんの人が居るのを見て、入り口で立ち止まった。今日は、ここが執務室になっている。
「入れ」
ソファにだらしなく座った緋色が答えて、俺は入り口にお迎えに行く。青葉は、離宮に勝手に出入りしていい人だから、玄関のお出迎えとかしてなくてごめんね。玄関まで行って、事情を話しておけば良かった。
「緋色がお熱だから、ここでお仕事」
「おやま。鬼の霍乱かい」
「おにのかくらん」
「普段、とても丈夫な人が、珍しく体調を崩すことだよ」
おお。当たりだ。
「うん。鬼の霍乱」
「成人。それは褒め言葉じゃないぞ」
ん?そうか。そうかも。
「母上。俺です」
緋色と同じようにソファで書類を読んでいた常陸丸が、立ち上がって青葉に頭を下げる。ぴしっと頭を下げた。さっきソファに座っていたときも、ぴしっと背筋は伸びていたな。そういえば常陸丸は、いつも姿勢がいい。鍛えてるからかな。格好いいよね。
緋色ももちろん、ちゃんとするときはぴしっとしてるから格好いいけど。
「殿下、まさかお怪我を?」
青葉は、すぐに緋色の近くまで寄り、膝を付いた。そのまま包拳礼の姿勢になり、深く頭を下げる。
「愚息が、とんでもないご無礼を致しました。誠に申し訳ございません」
はあ、と緋色が溜め息を吐く。
「いい。ただの打撲だ。頭を上げろ。おい、常陸丸。青葉には関係ないだろ」
「関係あります、殿下」
頭を上げた青葉は、真剣な顔で言った。
「あるんですよ」
「ああ。分かった。謝罪は受けた」
緋色の手が、しっしっと追い払うみたいに動く。
「謝罪をお受け頂き、ありがとうございます。……少し、息子をお借りしても?」
青葉が、いつもと少し違う笑顔で緋色に聞く。
「好きにしろ」
緋色は、それだけ言って仕事に戻った。青葉は常陸丸を連れて、部屋を出ていった。
何するんだろ?
こっそり、ついて行ってみる。あまり近付くと青葉にも気付かれるから、ちょっと離れて。常陸丸に気付かれてるのは仕方ないから、気にしないことにする。
お外に出て、少ししたら声が聞こえてきた。
「この、馬鹿息子!主に怪我させるなんて!」
「母上、ごめん!」
「殿下は優しいんだから、甘え過ぎないように気を付けなさいと昔から言ってただろ」
「…………分かってるよ」
「いいや、分かってない。分かってないから、こんなことになるんだ。肝に命じなさい。殿下の優しさに甘えないこと」
「ああ……。反省してる」
ばしん、と一発、どこかを叩く音がした。
「ああもう。私の手の方が痛い」
「うん、ごめんな」
さて。お部屋に帰ろ。
緋色は優しいって、青葉と常陸丸は知ってたんだな。
俺も。
俺も知ってる。
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