【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

135 結婚式のご案内  弐角

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「げっ。十日後?相変わらず無茶苦茶なお人やな」

 おみの、離宮での結婚式の予定が届いた。日付と時間、場所が書いてあるだけの用紙と参加人数を書いて送り返すための返信はがき。それだけが入った封筒。
 とても簡素なそれを、まじまじと眺める。
 いつでもいいだろ、と言っていた緋色ひいろ殿下を思い出す。家族でするんだ、と言った成人なるひとさまも。
 離宮の家族、身内だけで行われるそれに参加したい、自分もおみの家族やと無理を言ったのは自分。開催日の十日前に連絡をくれたのはきっと、常陸丸ひたちまる辺りが頑張ってくれたことに違いない。
 八月の末に予定していた、おみを交えての親族だけの結婚式という名の顔合わせ会は、おみから欠席の連絡がきてお流れとなった。かなり悩んでくれたみたいやった。ほんまに申し訳ないと何度も謝っている手紙は、丁寧に書かれとるけどあまり整った文字や無かった。おみはこんな字を書くんかって、そんな事を思った自分が嫌やった。
 羽織袴や着物やない、かっちりとした衣装を準備して楽しみにしとったうちの家族は大変にがっかりとしとったけど、よう考えたらおみが一人でうちの領地に来るいうんはまだ無理やったんやなあ。
 衣装のことばっかりに頭がいって、場所の指定を城にしとった。俺たちの家となったそこは、おみにとっては来とうもない嫌な場所やったな。ほんま、申し訳なかった。こちらで勝手に話を進めて、これならおみも来れるて勝手に喜んで。
 ごめんな、おみ
 やから、あちらからの急な連絡にも文句は言われへん。あちらの身内で話はついていて、俺が行けんくてもおみの結婚式は行われるんやから。……何がなんでも行くけど。
 行きたい者を募ってみよう。ちょうど、使われなかった衣装がすでに準備してある。すぐにでも参加可能や。緋色ひいろ殿下のことやから、そのことも折り込み済みでの直前の連絡なんやろ。
 行きたい者を募って、すぐに返事を書こう。
 父上と橙々だいだいと、弐藤にふじ父上も行きたいやろか。兄弟として育った従兄弟に城に残ってもろて……。いや、弐藤にふじ父上にも残ってもろた方がええかな。
 六車むぐるまの当主交代は恙無く行われたとはいえ、何となく静かすぎるのが気にかかる。
 自分の結婚式の準備もある。九鬼くきの復権を知らしめるための、大きな結婚式……。
 覚悟はある。
 おみが引き受けてくれた苦しみの分、頑張らなあかんと思うとる。
 けど……。
 身内で、気軽に開催されるおみの結婚式が少しだけ、ほんの少しだけ羨ましい……。
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