864 / 1,325
第七章 冠婚葬祭
153 俺の幸せのかたまり 成人
しおりを挟む
「成人」
緋色が屈んで、俺の耳に口を寄せる。
「共に、長く楽しく生きることを誓おう」
ああ、うん。やっぱり。やっぱりだ。俺たちは同じことを考えていた。
「緋色のそばにいる。たくさんいるよ。誓います」
にっ、と笑った緋色が、俺の口にちゅってして離れた。これも誓いの一つだと緋色は言ったね。俺たちは、何度でもこうしてお互いに誓うんだ。
「よし。飯だ」
「うん」
儀式の片付けがあっという間に進んでいく。部屋の真ん中に置いてある大きな机に、どんどん食べ物が運ばれてきた。
今日は、無礼講だって。身分の上下に関係なく宴会を楽しもうってことらしい。うちの誕生日会のいつもの形なんだけど、よその人は知らないからちゃんと言っておいた。決まった席は無くて、部屋のあちらこちらに机と椅子が置いてあって、好きに座っていいよって入場の時に伝えてもらった。
いつもの誕生日会はおやつの時間だけど、今日はお昼ご飯の時間だ。だから、食べ物はいっぱい準備された。真ん中に置かれている大きな机に並ぶ食べ物を自分で好きなだけ取って食べる形になっている。広末が考えた。それなら、いちいち運ぶための使用人がいなくてもできる、って。一ノ瀬も皆で宴会を楽しみたいから、仕事してる人は少なくしようと思ったんだって。
でも、料理を運んでいる人を見ていたら知らない顔がたくさんいた。お城の使用人の服装だ。お城の使用人が何人も手伝ってくれているんだ。そうだ。さっき、朝桐も七伏もいた。写真にちゃんと写っているかな?並んでくれていたら嬉しい。
あまりの手早さにほけっと見ていると、緋色がまた俺を抱き上げて言った。
「手伝いを募ったら、給金などなくとも手伝いたいという者が大勢いた」
「おお、緋色すごい」
さすが、緋色。みんな、緋色の格好良い姿が見たかったに違いない。お手伝いに来たら見られるから。
うんうんと頷いていたら、くっくっくっと笑われた。
「よほどお前の晴れ姿を見たい者が多かったようだ」
「緋色でしょ」
「本日の衣装的には」
すぐ隣に突然立ったじいやが言う。
「お二人を揃いで拝見したい者が多いかと」
ああ。
俺は、緋色の腕の中で衣装を見下ろす。この形でお揃い。鏡を見ないと俺には分からないのがとても残念。
「見目麗しい方々が着飾っていらっしゃるのは、大変に目の保養なのだそうです」
「んん?」
「このよき日を、皆で祝いたいということです」
「うん!」
お祝い事は、大勢で祝うほど幸せが増えるって俺はもう知っている。誕生日会は、いつも楽しくて嬉しくて幸せだから。結婚式は毎月ある訳じゃないから、特に特別だ。こんなにたくさんの人が、緋椀や作治、壱臣、半助と睦峯、斎、それに俺たちのことをお祝いしてくれて、ほんとにほんとに嬉しい。
幸せは増える。減ることも、何かと引き換えにすることも無く、どんどん増えていくすごいもの。
「ああ。もちろん給金は出すぞ」
「ははっ。もし給金が頂けるのなら、先ほどの集合写真を一枚、給金として頂きたいとの声がたくさん聞こえておりました」
じいやも、何だか楽しそうだね。いつも楽しそうだけど、いつもよりもっと楽しそうだ。
「そんなものが欲しいのか?自分が写っておる訳でも無かろうに」
首を傾げる緋色に、じいやはますます声を上げて笑う。
「欲しいものは人それぞれ。私は、お側に居られるだけで大変に良きものを頂いております」
「俺の伴侶は、良いだろう」
「ええ、とても」
じいやは眩しそうに目を細めて笑った。
「選ばれた殿下の眼も、とても素晴らしい」
「当然だ」
緋色は素晴らしい。そんなの当たり前!
いつだって緋色が俺に、幸せも良いものも全部持ってきてくれる。良いのは緋色。緋色なんだよ。俺の一番。俺の全て。
緋色が、俺の幸せだ。
緋色が屈んで、俺の耳に口を寄せる。
「共に、長く楽しく生きることを誓おう」
ああ、うん。やっぱり。やっぱりだ。俺たちは同じことを考えていた。
「緋色のそばにいる。たくさんいるよ。誓います」
にっ、と笑った緋色が、俺の口にちゅってして離れた。これも誓いの一つだと緋色は言ったね。俺たちは、何度でもこうしてお互いに誓うんだ。
「よし。飯だ」
「うん」
儀式の片付けがあっという間に進んでいく。部屋の真ん中に置いてある大きな机に、どんどん食べ物が運ばれてきた。
今日は、無礼講だって。身分の上下に関係なく宴会を楽しもうってことらしい。うちの誕生日会のいつもの形なんだけど、よその人は知らないからちゃんと言っておいた。決まった席は無くて、部屋のあちらこちらに机と椅子が置いてあって、好きに座っていいよって入場の時に伝えてもらった。
いつもの誕生日会はおやつの時間だけど、今日はお昼ご飯の時間だ。だから、食べ物はいっぱい準備された。真ん中に置かれている大きな机に並ぶ食べ物を自分で好きなだけ取って食べる形になっている。広末が考えた。それなら、いちいち運ぶための使用人がいなくてもできる、って。一ノ瀬も皆で宴会を楽しみたいから、仕事してる人は少なくしようと思ったんだって。
でも、料理を運んでいる人を見ていたら知らない顔がたくさんいた。お城の使用人の服装だ。お城の使用人が何人も手伝ってくれているんだ。そうだ。さっき、朝桐も七伏もいた。写真にちゃんと写っているかな?並んでくれていたら嬉しい。
あまりの手早さにほけっと見ていると、緋色がまた俺を抱き上げて言った。
「手伝いを募ったら、給金などなくとも手伝いたいという者が大勢いた」
「おお、緋色すごい」
さすが、緋色。みんな、緋色の格好良い姿が見たかったに違いない。お手伝いに来たら見られるから。
うんうんと頷いていたら、くっくっくっと笑われた。
「よほどお前の晴れ姿を見たい者が多かったようだ」
「緋色でしょ」
「本日の衣装的には」
すぐ隣に突然立ったじいやが言う。
「お二人を揃いで拝見したい者が多いかと」
ああ。
俺は、緋色の腕の中で衣装を見下ろす。この形でお揃い。鏡を見ないと俺には分からないのがとても残念。
「見目麗しい方々が着飾っていらっしゃるのは、大変に目の保養なのだそうです」
「んん?」
「このよき日を、皆で祝いたいということです」
「うん!」
お祝い事は、大勢で祝うほど幸せが増えるって俺はもう知っている。誕生日会は、いつも楽しくて嬉しくて幸せだから。結婚式は毎月ある訳じゃないから、特に特別だ。こんなにたくさんの人が、緋椀や作治、壱臣、半助と睦峯、斎、それに俺たちのことをお祝いしてくれて、ほんとにほんとに嬉しい。
幸せは増える。減ることも、何かと引き換えにすることも無く、どんどん増えていくすごいもの。
「ああ。もちろん給金は出すぞ」
「ははっ。もし給金が頂けるのなら、先ほどの集合写真を一枚、給金として頂きたいとの声がたくさん聞こえておりました」
じいやも、何だか楽しそうだね。いつも楽しそうだけど、いつもよりもっと楽しそうだ。
「そんなものが欲しいのか?自分が写っておる訳でも無かろうに」
首を傾げる緋色に、じいやはますます声を上げて笑う。
「欲しいものは人それぞれ。私は、お側に居られるだけで大変に良きものを頂いております」
「俺の伴侶は、良いだろう」
「ええ、とても」
じいやは眩しそうに目を細めて笑った。
「選ばれた殿下の眼も、とても素晴らしい」
「当然だ」
緋色は素晴らしい。そんなの当たり前!
いつだって緋色が俺に、幸せも良いものも全部持ってきてくれる。良いのは緋色。緋色なんだよ。俺の一番。俺の全て。
緋色が、俺の幸せだ。
1,425
あなたにおすすめの小説
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(りょうが)今年は7冊!
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる