1,067 / 1,325
第九章 礼儀を知る人知らない人
24 小さなお客様 成人
しおりを挟む
「亀、こんにちは、は?」
早速、鶴丸と松吉を食堂に案内した。うちで仕事をしていた人たちが少しずつ食堂に集まってきて、二人と挨拶を交わしている。車から抱っこで降ろされた亀吉が目を覚まして、松吉の腕の中で、横にいる俺をじっと見ていた。
「はじめまして、亀吉。こんにちは」
俺も亀吉をじっと見ながら言うと、ごそと身じろぎする。む、と口を閉じてこっちを見てるのが可愛い。松吉とよく似てて、きりりとした美人さんだった。あ、男の子は美人って言わないんだっけ?うーん。でも、鶴丸も綺麗だし、子どもってのは親に似るのだとしたら、どちらに似ても美人にしかならない気がする。だからまあ、亀吉は美人さんだ。
松吉が下に下ろすと亀吉は、俺にぺこりと頭を下げてから両手を上げて包拳礼をした。え?すごい。小さいのに、すごい。
「ええっと。亀吉、すごい。上手!」
褒めたら、亀吉の顔があひゃと緩む。包拳礼の手を解いて松吉を振り返った。うわあ、可愛い。背中で白うさぎの帽子が揺れている。うさぎの服、買うって言ってたね。よく似合ってる。俺は、今日はお仕事してたからお仕事の服だけど、明日はくまを着ようかな。くまの服。可愛いって言われるやつ。本当はね。本当は緋色とお揃いの服が格好良くて好きなんだけど。くまの服を着ると末良が喜んでくれるんだよなあ。末良が、なりゅしゃま、くま。かーいーって言ってくれる。亀吉も気に入ってくれるかな。気に入ってくれそうな気がする。明日は末良も来るから、くまを着よう。うん、そうしよう。
「亀、ようできたなあ。すごい」
「亀吉、ほんまにすごい」
松吉にも鶴丸にも褒められて、ふんふんと亀吉は頷いた。
その後はもうにこにこで、皆にぺこり、ぺこりと頭を下げていた。たくさん褒められて、たまに手を持ち上げて包拳礼をしようとして、それはいいって止められて首を傾げていた。今日は、俺と緋色にだけするんだけど、難しいよね。分かる。
「あ、緋色」
「よく来たな」
「緋色殿下。この度はお招き頂き、ありがとうございます」
鶴丸と松吉が、ぴしりと揃った包拳礼をして頭を下げた。最初だけ、ちゃんと礼を交わす。これも大事なこと。
亀吉がびくっと緋色を見上げて固まった。
今だよ、亀吉。包拳礼は今するんだよ。
俺が少しかがんで一生懸命亀吉を見てると、きょろと視線を動かした亀吉と目が合った。俺が右手と半分の左手を少し持ち上げて見せると、あ、と言ってからぺこりと頭を下げて両手を持ち上げる。あ、頭はまず下げるんだ。なるほど?
「できた! 亀吉、えらい! すごい!」
亀吉は、真面目な顔でふんふんと頷いて俺に抱き着いた。
「できた」
「うん、できたね」
あれ? 亀吉は、お話も上手だ!
早速、鶴丸と松吉を食堂に案内した。うちで仕事をしていた人たちが少しずつ食堂に集まってきて、二人と挨拶を交わしている。車から抱っこで降ろされた亀吉が目を覚まして、松吉の腕の中で、横にいる俺をじっと見ていた。
「はじめまして、亀吉。こんにちは」
俺も亀吉をじっと見ながら言うと、ごそと身じろぎする。む、と口を閉じてこっちを見てるのが可愛い。松吉とよく似てて、きりりとした美人さんだった。あ、男の子は美人って言わないんだっけ?うーん。でも、鶴丸も綺麗だし、子どもってのは親に似るのだとしたら、どちらに似ても美人にしかならない気がする。だからまあ、亀吉は美人さんだ。
松吉が下に下ろすと亀吉は、俺にぺこりと頭を下げてから両手を上げて包拳礼をした。え?すごい。小さいのに、すごい。
「ええっと。亀吉、すごい。上手!」
褒めたら、亀吉の顔があひゃと緩む。包拳礼の手を解いて松吉を振り返った。うわあ、可愛い。背中で白うさぎの帽子が揺れている。うさぎの服、買うって言ってたね。よく似合ってる。俺は、今日はお仕事してたからお仕事の服だけど、明日はくまを着ようかな。くまの服。可愛いって言われるやつ。本当はね。本当は緋色とお揃いの服が格好良くて好きなんだけど。くまの服を着ると末良が喜んでくれるんだよなあ。末良が、なりゅしゃま、くま。かーいーって言ってくれる。亀吉も気に入ってくれるかな。気に入ってくれそうな気がする。明日は末良も来るから、くまを着よう。うん、そうしよう。
「亀、ようできたなあ。すごい」
「亀吉、ほんまにすごい」
松吉にも鶴丸にも褒められて、ふんふんと亀吉は頷いた。
その後はもうにこにこで、皆にぺこり、ぺこりと頭を下げていた。たくさん褒められて、たまに手を持ち上げて包拳礼をしようとして、それはいいって止められて首を傾げていた。今日は、俺と緋色にだけするんだけど、難しいよね。分かる。
「あ、緋色」
「よく来たな」
「緋色殿下。この度はお招き頂き、ありがとうございます」
鶴丸と松吉が、ぴしりと揃った包拳礼をして頭を下げた。最初だけ、ちゃんと礼を交わす。これも大事なこと。
亀吉がびくっと緋色を見上げて固まった。
今だよ、亀吉。包拳礼は今するんだよ。
俺が少しかがんで一生懸命亀吉を見てると、きょろと視線を動かした亀吉と目が合った。俺が右手と半分の左手を少し持ち上げて見せると、あ、と言ってからぺこりと頭を下げて両手を持ち上げる。あ、頭はまず下げるんだ。なるほど?
「できた! 亀吉、えらい! すごい!」
亀吉は、真面目な顔でふんふんと頷いて俺に抱き着いた。
「できた」
「うん、できたね」
あれ? 亀吉は、お話も上手だ!
1,334
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる