1,074 / 1,325
第九章 礼儀を知る人知らない人
31 上手なご挨拶 成人
しおりを挟む
亀吉は俺にしがみついたまま、ぺこりと頭を下げた。えらい!
「おお。頭下げた。すごい。こんにちは!」
見可が嬉しそうに頭を下げる。動きが早くて大きいから、びっくりした亀吉は俺の裏に隠れてしまった。
「小さいのにすごい。兄上、見た? 可愛くて賢い」
全然気にしていない見可が、灯可を振り返る。
「見可。小さい子の前ではもう少しゆっくり話してゆっくり動きなさい。ほら、怖がってる」
「え?」
「大きい人が目の前ですごい勢いで動いたら怖いだろう?」
「うーん? 怖い?」
見可は怖くないのかな。ま、そういう人もいる。
「怖いものなんだ」
「そう?」
「そう」
灯可は、急に動いたりしないもんね。だから見可は、怖い思いをした事がないのかもしれない。灯可は、いいお兄ちゃんだから。
「こんにちは。私は一条灯可と言います」
灯可は、少しかがんで亀吉にご挨拶した。ゆっくり喋って、ゆっくり頭を下げる。やっぱり上手だなあ。亀吉が、また俺の後ろから横に出てきて頭を下げた。
「ご挨拶が上手ですね。お名前は?」
「かめきち」
灯可が、ちょっとびっくりしてる。亀吉、お話上手でしょ? ふふ。
「かめきちさん。お話も上手なんですね」
うんうんと亀吉が頷くと、灯可がにこにこ顔になった。
「はじめまして、こんにちは。息子の亀吉が粗相を致しておりませんでしょうか?父の各務鶴丸です」
「はじめまして、こんにちは。母の各務松吉です」
あ、また灯可がきりりと顔を引き締めた。
「各務さま、というと、西賀の領主家の?」
「ええ、はい」
灯可、知ってるの? すごい。
「失礼致しました。こちらは、一条灯可と、弟の七条見可です。よろしくお願い致します」
灯可が、見可の頭を押さえて一緒に下げながら挨拶をした。
「ご丁寧な挨拶、ありがとうございます。しっかりした若様やなあ。一条さんは安泰や。末永うよろしくお願いいたします」
「嬉しいお言葉、有り難く頂戴致します。こちらこそ、よろしくお願い致します」
灯可って凄いな?
「俺! 俺は? 七条もあんたい?」
「ん? 七条?」
「俺、七条見可です」
「おや?」
「あ、同じ親から生まれた兄弟ですが、私は一条、弟は七条を受け継ぐ予定です」
「ああ、なるほど」
鶴丸がにっこり笑う。
「もちろん、ご挨拶の上手な七条さまも安泰や」
「へへ。やった。ありがとう」
「見可!」
灯可が、見可をぐいっと自分の後ろに下がらせた。
鶴丸と松吉は、優しい顔でくすくす笑っている。
「兄上。あんたいって何?」
「見可!しっ」
見可が灯可に聞いて、灯可が口の前に指を立てて当てた。大丈夫だよ、灯可。見可、賢くなったよ。ちゃんと、七条見可です、って言ってたし、頭下げたし。
それでさ。俺もあんたいの意味、知りたいんだけど、今聞いてもいいかな?
「おお。頭下げた。すごい。こんにちは!」
見可が嬉しそうに頭を下げる。動きが早くて大きいから、びっくりした亀吉は俺の裏に隠れてしまった。
「小さいのにすごい。兄上、見た? 可愛くて賢い」
全然気にしていない見可が、灯可を振り返る。
「見可。小さい子の前ではもう少しゆっくり話してゆっくり動きなさい。ほら、怖がってる」
「え?」
「大きい人が目の前ですごい勢いで動いたら怖いだろう?」
「うーん? 怖い?」
見可は怖くないのかな。ま、そういう人もいる。
「怖いものなんだ」
「そう?」
「そう」
灯可は、急に動いたりしないもんね。だから見可は、怖い思いをした事がないのかもしれない。灯可は、いいお兄ちゃんだから。
「こんにちは。私は一条灯可と言います」
灯可は、少しかがんで亀吉にご挨拶した。ゆっくり喋って、ゆっくり頭を下げる。やっぱり上手だなあ。亀吉が、また俺の後ろから横に出てきて頭を下げた。
「ご挨拶が上手ですね。お名前は?」
「かめきち」
灯可が、ちょっとびっくりしてる。亀吉、お話上手でしょ? ふふ。
「かめきちさん。お話も上手なんですね」
うんうんと亀吉が頷くと、灯可がにこにこ顔になった。
「はじめまして、こんにちは。息子の亀吉が粗相を致しておりませんでしょうか?父の各務鶴丸です」
「はじめまして、こんにちは。母の各務松吉です」
あ、また灯可がきりりと顔を引き締めた。
「各務さま、というと、西賀の領主家の?」
「ええ、はい」
灯可、知ってるの? すごい。
「失礼致しました。こちらは、一条灯可と、弟の七条見可です。よろしくお願い致します」
灯可が、見可の頭を押さえて一緒に下げながら挨拶をした。
「ご丁寧な挨拶、ありがとうございます。しっかりした若様やなあ。一条さんは安泰や。末永うよろしくお願いいたします」
「嬉しいお言葉、有り難く頂戴致します。こちらこそ、よろしくお願い致します」
灯可って凄いな?
「俺! 俺は? 七条もあんたい?」
「ん? 七条?」
「俺、七条見可です」
「おや?」
「あ、同じ親から生まれた兄弟ですが、私は一条、弟は七条を受け継ぐ予定です」
「ああ、なるほど」
鶴丸がにっこり笑う。
「もちろん、ご挨拶の上手な七条さまも安泰や」
「へへ。やった。ありがとう」
「見可!」
灯可が、見可をぐいっと自分の後ろに下がらせた。
鶴丸と松吉は、優しい顔でくすくす笑っている。
「兄上。あんたいって何?」
「見可!しっ」
見可が灯可に聞いて、灯可が口の前に指を立てて当てた。大丈夫だよ、灯可。見可、賢くなったよ。ちゃんと、七条見可です、って言ってたし、頭下げたし。
それでさ。俺もあんたいの意味、知りたいんだけど、今聞いてもいいかな?
1,297
あなたにおすすめの小説
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
【完結】君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(りょうが)今年は7冊!
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる