夜明けの待ち合わせ

森 うろ子

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「ちょっとは落ち着いたかよ。」

発情期ヒート4日目の朝、ベッドでだらしなく伸びている俺に苛立ちを隠しもせずに聞いてくる。

「うん、ちょっとはっきりしてきた。…あうっ。気持ちいい。」

身体を起こそうとすると後孔からリアンの放ったものが溢れ出てきて、それが気持ちよくて悶えてしまう。

「本当かよ。ほら、こっち向いて、避妊薬飲め。口開けろ。」

悶えてベッドに疼くまる俺を抱え起こして、口の中に避妊薬を放り込んでくる。口移しで冷たい水を流し込まれれば飲み込むしかない。冷たい水をもっとと強張れば大きなコップを口につけ傾けてくれる。

発情期ヒート中のお前に毎日避妊薬飲ませるの大変だったんだからな。」

よく覚えてないがきっと発情期ヒート中もちゃんと避妊薬を飲ませてくれたのだろう。怒っている様子で言うが、いつもそうしてくれるリアンに愛されていることを感じて安心する。

「リアン、優しい。そういうところ、好き。ありがとう。」

「お前、まだだいぶ頭ぼんやりしてるだろ。」

素直に感謝を伝えたのに、素直すぎる俺に悪態をついてくる。失礼な奴だな。

冷たい水を欲しいだけ飲み、またベッドに突っ伏す。リアンの言う通り、まだ発情期ヒートの影響が残っているのだろう。気怠いながらももそもそと自分の後孔に指を入れ無意識に自慰を始めているのがその証拠だ。頭ではわかっているのにやめられない。

「んんっ。リアン、続きしよ~。」

もはや初めての発情期ヒートからの付き合いのあるリアンに自慰を見られることなんて恥ずかしくもなんともない。いくらか治ってはいるがそれでも気持ち良くなりたい俺は休憩もそこそこにリアンを誘う。

「やめとけバカ。ちょっとは休憩して飯を食え。ほとんど食ってないだろ。俺は腹が減った。」

後孔に入れていた指を無理やり抜かれる。「いけず~」と不満げな態度でリアンに文句を言おうとすると甘いパンを口の中に押し込められた。

「んぐっ!…………。もうっ!強引だなぁっ!」

「強引にしないとムギは飯食わないだろ。」

自分と俺の口に交互に千切ったパンを押し込みながらリアンが呆れた様に言う。気怠い身体に甘いパンが染みる。文句を言うが俺の身体は食事を欲していたようで、大人しくモグモグと口を動かす俺にリアンが笑う。

「ははっ!腹減ってたんじゃねーか。リスみたいになってるぞ。」

笑いながら俺の髪の毛をぐしゃぐしゃとかき混ぜる。た、食べにくい。

「誰がリスみたいにしてるんだよ。口に入れてくるのが早すぎる。……むぐっ!」

文句を言うを俺をからかうようにどんどん口に食べ物を楽しそうに入れてくる。

「腹がいっぱいになったら一回風呂に入ってから続きするぞ。」

「え、やだー。お風呂はいらないよ。どうせ汚れるじゃん!リアン明日は仕事行っちゃうんでしょ?その前にいっぱいやろーよ。リアンが仕事行ってる間にお風呂入るよ。」

ご飯を食べた後は気持ち良くしてくれると思っていた俺からしたら不満しかない提案に抗議する。

「そんなこと言って、どうせ風呂入らずに寝て待つだけになるだろ。ムギは発情期ヒートの時、衣食住に無頓着になりすぎ。」

「だってー・・・。気持ち良くなってないとキツいんだもん。」

「…はぁ。抑制剤、ほんと効かねー体質だな。そんなんで他の男との時はどうしてるの?ちゃんと避妊できてるの?」

ちゃんと答えろと急にアルファの威嚇するような香りが漂いはじめる。フェロモンに抗うことは難しい。特に発情期ヒート中は。さっきまで甘々だったリアンが急に怖くなり、小さくなって下を向くと顎を持ち上げられ目線を合わされる。

「ムギ、俺以外の奴と子供なんか作ってみろ。産ませないし、相手もどうなるかわかんねーぞ。」

俺の顎を持つ手に力が入れられる。

「わ、わかってるよ。ちゃんと、他の人とする時は避妊薬も飲んでるし、相手にも避妊してもらってるよ。」

怖いけど威嚇のフェロモンで視線はそらせない。こういう時は正直に応えることしかできない。

…だいたいリアン以外とのセックスじゃあそこまで乱れないし、安心できないよと思ったことは内緒だ。

「どーだか。ムギは可愛いし、素直だし大好きだけど淫乱だからな。……俺とは番になりたくないみたいだし。」

「い、淫乱って、そんな言い方。」

セックスは好きだけど、そんなにはっきり言われるとショックだ。若干、自覚しているだけにショックだ。

威嚇のフェロモンは治ったが、リアンは怒っている。

「そうだろ。今回だって俺がいなかったら別の知らない誰かに抱かれてたんでしょ。」

リアンはそういって頬っぺたをつねってくる。
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