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ホテルに着く頃には俺はもう熱に浮かされてぐずぐずになっていた。茉莉に抱かれながらベッドに横たわった時にはもう限界で、触られてもいないのに1人で喘いで茉莉を求めた。
「ーっ!はぁっ、あっ、んん。茉莉、はやく。も、茉莉のほしいっ!」
「玲、お前めちゃくちゃいい匂いだなぁ。とろけた顔も可愛い…。」
余裕ある表情で茉莉が言いながら俺にキスを落としていく。額から徐々に下に降りていくように口づけをされる。
「んっ、んん。ふ…。ふぁっ…。」
きもちいい、きもちいい。茉莉が優しくて嬉しい。さっき茉莉にされたことも忘れて茉莉を求めてしまう。茉莉が首輪をはめた俺の首筋を舐める。どうせ外せはしないのに、もしかしたら番にしてもらえるのかもしれないと熱に浮かされた頭で歓喜する。
裸に剥かれた身体で茉莉を求める。さっきまで余裕ぶっていた茉莉の吐息が興奮しているのがわかる。
「玲、玲、ほんと可愛いな、可愛すぎてさっさと噛んでやりたくなるよ、ほんとに…。」
そう言って茉莉が首輪の上から俺のうなじを力強く噛む。思わず噛まれたかと思って一瞬身体をビクつかせて茉莉を見ると、嫌な笑みを浮かべていた。
「………まつり?」
不安になって茉莉を見上げると首輪を引っ張られてベッドサイドにあった椅子に座らされた。
「ーっ‼︎うぇっ、な、首が絞まる、な、なんだよ、まつ…り…?」
勢いよく座らせられたかと思えば両方の肘置きにそれぞれ結束バンドで手首を固定される。驚いて茉莉の方を見るが俺に構わず両足首もそれぞれ椅子の足に固定された。
「……おいっ!なんだよ、これ、茉莉!」
さっきまでの雰囲気はなくなり、ベッドに嫌な笑みを浮かべて座る茉莉に抗議をする。
「別に?そういうプレイだって。それに、さっきの話し、まだ終わってないから。玲、俺のピアス、今つけて?」
ベッドサイドに腰掛けて頬杖をつきながら茉莉が言う。怒ってないのか、ただお願いしてるだけなのか、威圧的なアルファのフェロモンは感じない。
「これ、やめろよ。こういうの好きじゃない。それに……ふっんんっ、…っ……なんでそんなにこだわるんだよ。」
発情期に浮かされる身体が恨めしい。茉莉に抗議しているのに頭の片隅では早く犯してほしいと期待している。
「気にいらねぇんだよなぁ。特別それを大切にしてる玲が。俺のピアスは他のどうでもいいアルファと同じなのに。ねぇ玲、そのピアス外して俺のをつけると一言いえば、気持ちよくしてやるよ?もう限界だろう。」
茉莉が真っ直ぐに俺を見つめる。茉莉は嘘をつかない、恍惚とする俺は確かにもう限界だ。
「……っは。…うぅっ。……っ。」
ピアスをつければ茉莉が気持ちよくしてくれる。はぁ、もう、ほしい、後ろの穴が寂しい。考えている間に、茉莉を乞うように先走りも後ろの穴からもだらだらと溢れる感覚がする。
茉莉が欲しくて涙が流れる。ピアスひとつも付け替える決断ができない自分に涙が流れる。
「なんで……うぅっ。茉莉、お願い。お願い、ゆるしてぇ……っ。」
泣いても茉莉は許してくれない。そういうアルファだ。知っていたじゃないか……。中学の時の同級生との思い出なんか捨てればいい。そうすれば茉莉は俺のことを愛してくれる。今回の発情期の間は愛してくれる。もう辛い、茉莉の好きな俺になれないことが辛い……。
熱に浮かされた頭で考えてもどうしようもないことをグルグルとさせていると茉莉が口を開いた。
「気に入らねえ、何で泣いてんの?誰を思って泣いてんの?」
ベッドに腰掛けていた茉莉が立ち上がり、ゆっくり俺の方へ歩いてくる。俺のそばまで来た茉莉が唐突に俺のイチモツを手で擦り上げる。
「ーーーーっ!あぁっ!……っはぁ、あぅ。」
突然の刺激にも発情期の身体は素直だ。欲望のままに吐き出す自分が惨めだ。
「もういいよ、玲。これ以上無理強いするのも可哀想だから…。俺のフェロモン使っていうこと聞かせてもいいけど、それじゃ意味ないからね。」
俺の吐き出したものを手で受け止めた茉莉が残念そうに言う。そのまま俺の方を一瞬見たかと思えば、俺のことを放置して手を洗いに行き、荷物を片付けている。いつもの調子の良いことをいって楽しんでいる茉莉じゃない。どんな時もアルファらしく、毅然としている茉莉じゃない。こんな茉莉、はじめて見た。
……茉莉の言うこと聞かない俺は捨てられるの?
「やだ!やだ、茉莉!捨てないで、俺のこと捨てないでよぉ。フェロモン使っていいから!俺のこと、好きにしていいから、お願い、捨てないで……。」
動かない手足を無理に動かして茉莉に縋る。騒ぐ俺の方を、白い箱とピアスを持った茉莉が振り向く。
「それじゃ、意味ないんだって。」
じゃあ、どうすれば………。絶望した表情で茉莉を見ると茉莉が近くに来てくれた。
「ね、玲。その左のピアスは不安になったからあけたんでしょ?それで安心できたんでしょ?」
「……そ、そうだけど……。」
俺の泣きそうな答えに茉莉がニッコリと微笑む。
「俺、今すごく不安なんだけど。玲にとっての俺がそこらへんのアルファと同等なんじゃないかと思って。すごく、不安なんだ。」
椅子に拘束されている俺の太ももの上に茉莉が片膝を付き、右耳の側で甘く声を囁く。
「俺の不安、解消してくれるでしょ?こっちの耳に、穴、あけていいよね?」
茉莉が手に持っていた白い箱からピアッサーを取り出して見せる。決してフェロモンで強要されているわけではない。でも、これを嫌がったら俺は茉莉に捨てられるんだろうか。茉莉の不安は本当にこれで解消するんだろうか。
わからない、考えてもわからない。
でも茉莉はこの辛い発情期から助けてくれる。
俺のことを気持ちよくしてくれる…。
俺に首輪とお金をくれた母にはもう会えない。
俺にピアスをくれた同級生も俺から離れていった。
茉莉は?
茉莉のピアスをもらってもずっと俺のそばに居てくれる?
「番じゃなくても、俺のそばに居てくれる?」
絞り出したのは随分飛躍した言葉で小さな声だった。でもこの声は茉莉に届いたようで、やるせない笑顔をした茉莉と目が合う。
「玲の好きなだけそばにいればいいじゃん。」
悲しそうに言う茉莉に俺は心細くなった。
「ーっ!はぁっ、あっ、んん。茉莉、はやく。も、茉莉のほしいっ!」
「玲、お前めちゃくちゃいい匂いだなぁ。とろけた顔も可愛い…。」
余裕ある表情で茉莉が言いながら俺にキスを落としていく。額から徐々に下に降りていくように口づけをされる。
「んっ、んん。ふ…。ふぁっ…。」
きもちいい、きもちいい。茉莉が優しくて嬉しい。さっき茉莉にされたことも忘れて茉莉を求めてしまう。茉莉が首輪をはめた俺の首筋を舐める。どうせ外せはしないのに、もしかしたら番にしてもらえるのかもしれないと熱に浮かされた頭で歓喜する。
裸に剥かれた身体で茉莉を求める。さっきまで余裕ぶっていた茉莉の吐息が興奮しているのがわかる。
「玲、玲、ほんと可愛いな、可愛すぎてさっさと噛んでやりたくなるよ、ほんとに…。」
そう言って茉莉が首輪の上から俺のうなじを力強く噛む。思わず噛まれたかと思って一瞬身体をビクつかせて茉莉を見ると、嫌な笑みを浮かべていた。
「………まつり?」
不安になって茉莉を見上げると首輪を引っ張られてベッドサイドにあった椅子に座らされた。
「ーっ‼︎うぇっ、な、首が絞まる、な、なんだよ、まつ…り…?」
勢いよく座らせられたかと思えば両方の肘置きにそれぞれ結束バンドで手首を固定される。驚いて茉莉の方を見るが俺に構わず両足首もそれぞれ椅子の足に固定された。
「……おいっ!なんだよ、これ、茉莉!」
さっきまでの雰囲気はなくなり、ベッドに嫌な笑みを浮かべて座る茉莉に抗議をする。
「別に?そういうプレイだって。それに、さっきの話し、まだ終わってないから。玲、俺のピアス、今つけて?」
ベッドサイドに腰掛けて頬杖をつきながら茉莉が言う。怒ってないのか、ただお願いしてるだけなのか、威圧的なアルファのフェロモンは感じない。
「これ、やめろよ。こういうの好きじゃない。それに……ふっんんっ、…っ……なんでそんなにこだわるんだよ。」
発情期に浮かされる身体が恨めしい。茉莉に抗議しているのに頭の片隅では早く犯してほしいと期待している。
「気にいらねぇんだよなぁ。特別それを大切にしてる玲が。俺のピアスは他のどうでもいいアルファと同じなのに。ねぇ玲、そのピアス外して俺のをつけると一言いえば、気持ちよくしてやるよ?もう限界だろう。」
茉莉が真っ直ぐに俺を見つめる。茉莉は嘘をつかない、恍惚とする俺は確かにもう限界だ。
「……っは。…うぅっ。……っ。」
ピアスをつければ茉莉が気持ちよくしてくれる。はぁ、もう、ほしい、後ろの穴が寂しい。考えている間に、茉莉を乞うように先走りも後ろの穴からもだらだらと溢れる感覚がする。
茉莉が欲しくて涙が流れる。ピアスひとつも付け替える決断ができない自分に涙が流れる。
「なんで……うぅっ。茉莉、お願い。お願い、ゆるしてぇ……っ。」
泣いても茉莉は許してくれない。そういうアルファだ。知っていたじゃないか……。中学の時の同級生との思い出なんか捨てればいい。そうすれば茉莉は俺のことを愛してくれる。今回の発情期の間は愛してくれる。もう辛い、茉莉の好きな俺になれないことが辛い……。
熱に浮かされた頭で考えてもどうしようもないことをグルグルとさせていると茉莉が口を開いた。
「気に入らねえ、何で泣いてんの?誰を思って泣いてんの?」
ベッドに腰掛けていた茉莉が立ち上がり、ゆっくり俺の方へ歩いてくる。俺のそばまで来た茉莉が唐突に俺のイチモツを手で擦り上げる。
「ーーーーっ!あぁっ!……っはぁ、あぅ。」
突然の刺激にも発情期の身体は素直だ。欲望のままに吐き出す自分が惨めだ。
「もういいよ、玲。これ以上無理強いするのも可哀想だから…。俺のフェロモン使っていうこと聞かせてもいいけど、それじゃ意味ないからね。」
俺の吐き出したものを手で受け止めた茉莉が残念そうに言う。そのまま俺の方を一瞬見たかと思えば、俺のことを放置して手を洗いに行き、荷物を片付けている。いつもの調子の良いことをいって楽しんでいる茉莉じゃない。どんな時もアルファらしく、毅然としている茉莉じゃない。こんな茉莉、はじめて見た。
……茉莉の言うこと聞かない俺は捨てられるの?
「やだ!やだ、茉莉!捨てないで、俺のこと捨てないでよぉ。フェロモン使っていいから!俺のこと、好きにしていいから、お願い、捨てないで……。」
動かない手足を無理に動かして茉莉に縋る。騒ぐ俺の方を、白い箱とピアスを持った茉莉が振り向く。
「それじゃ、意味ないんだって。」
じゃあ、どうすれば………。絶望した表情で茉莉を見ると茉莉が近くに来てくれた。
「ね、玲。その左のピアスは不安になったからあけたんでしょ?それで安心できたんでしょ?」
「……そ、そうだけど……。」
俺の泣きそうな答えに茉莉がニッコリと微笑む。
「俺、今すごく不安なんだけど。玲にとっての俺がそこらへんのアルファと同等なんじゃないかと思って。すごく、不安なんだ。」
椅子に拘束されている俺の太ももの上に茉莉が片膝を付き、右耳の側で甘く声を囁く。
「俺の不安、解消してくれるでしょ?こっちの耳に、穴、あけていいよね?」
茉莉が手に持っていた白い箱からピアッサーを取り出して見せる。決してフェロモンで強要されているわけではない。でも、これを嫌がったら俺は茉莉に捨てられるんだろうか。茉莉の不安は本当にこれで解消するんだろうか。
わからない、考えてもわからない。
でも茉莉はこの辛い発情期から助けてくれる。
俺のことを気持ちよくしてくれる…。
俺に首輪とお金をくれた母にはもう会えない。
俺にピアスをくれた同級生も俺から離れていった。
茉莉は?
茉莉のピアスをもらってもずっと俺のそばに居てくれる?
「番じゃなくても、俺のそばに居てくれる?」
絞り出したのは随分飛躍した言葉で小さな声だった。でもこの声は茉莉に届いたようで、やるせない笑顔をした茉莉と目が合う。
「玲の好きなだけそばにいればいいじゃん。」
悲しそうに言う茉莉に俺は心細くなった。
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