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シャワーを浴びて、俺が渡した服を着たイオリが出てきた。気まずいのか少し距離を取られている。
「ちゃんと我慢したか?」
からかって言うと、俯きながら「…我慢しました。」と小さな声が返ってきた。
見綺麗にして甚平のような服を着たイオリを無遠慮に見る。
意外と似合ってるな。
「じゃあ、行くぞ。」と声をかけ、トウカたちがいるであろう執務室へ向かう。
俺の斜め後ろを黙ってついてくるイオリ。小鬼族は初めて見るがこんなに小さいのか。俺の肘あたりにある頭に驚く。
「小鬼族っていうのはみんなお前くらいの背丈なのか?」
「はい、自分くらいの者が多いと思います。」
さっきの痴態を微塵も感じさせない、少し幼い声が返ってきた。
「ふーん。子供と間違われそうだな。」自分から聞いておきながら興味なさそうに返事をする。
「道、覚えとけよ。今から行くのが執務室で仕事は大体そこでする。……ここが執務室。」
やや重そうな両開きの扉を指差し言った。
中にいるのがレオナとトウカだけならいいが、他の者がいたら王に失礼な態度を、と言われそうなため小さくノックして声をかけた。
「失礼します、リッカです。手伝いの者を紹介に来ました。」
中からレオナが「俺とトウカだけだ~。」と気のない返事をしてきた。なんだ、意外と忙しそうじゃないな。それならと乱雑に扉を開け、中に入りイオリと並んだ。
イオリを見た途端、レオナが驚いたように声をかけてきた。
「小鬼族じゃないか。大丈夫か、俺、鬼族だけど。てか角が出てるね。鬼としての力は相当弱いな。」
レオナをみてイオリが体をビクッとさせ一歩下がった。
そういえば鬼族に虐げられる存在だったか…。レオナの不躾な物言いには返事せず怯えてる様子のイオリを見ているとトウカが声をかけてきた。
「どこから連れてきたの?連れてくるの、早くない?誘拐してない?」
「失礼な奴だな。城に入れる奴を誘拐するわけないだろうが。」
俺のことをなんだと思ってるんだ。煩わしいとばかりの態度でトウカに返事をし、イオリの方を向く。
「イオリ、挨拶しろ。」
俺の言葉を合図に膝を折り床に手をついて挨拶を始めるイオリに俺はギョッとした。
「イオリと言います。この度リッカ様に購入していただきましたこと、嬉しく思っています。精一杯尽くしますのでよろしくお願いいたします。」
奴隷の方式で挨拶をするイオリに「おいっ!」と声を出せば、どうしたのかと疑問の表情をしてイオリが床から顔を上げた。
それと同時にトウカから「リッカ、ちょっといいか?」と執務室の続きにある休憩室を指さされる。
やばい、絶対に奴隷市で買ったことがばれた。またトウカに小言を言われるのかとガックリする俺をイオリがキョトンと見上げる。
「イオリ、もういい。立って、ちょっとそこの椅子に座ってろ。」
イオリに適当に指示をして、トウカの後をついていく。絶対、小言を言われる。
しまったイオリにちゃんと言っておけばよかった。頭を抱えながら歩く俺に「いい買い物したなぁ~」と揶揄すようにレオナがニヤニヤとして声をかけてきた。
レオナの奴。こいつは、トウカに小言を言われる俺を見て喜ぶからタチが悪い。
「ちゃんと我慢したか?」
からかって言うと、俯きながら「…我慢しました。」と小さな声が返ってきた。
見綺麗にして甚平のような服を着たイオリを無遠慮に見る。
意外と似合ってるな。
「じゃあ、行くぞ。」と声をかけ、トウカたちがいるであろう執務室へ向かう。
俺の斜め後ろを黙ってついてくるイオリ。小鬼族は初めて見るがこんなに小さいのか。俺の肘あたりにある頭に驚く。
「小鬼族っていうのはみんなお前くらいの背丈なのか?」
「はい、自分くらいの者が多いと思います。」
さっきの痴態を微塵も感じさせない、少し幼い声が返ってきた。
「ふーん。子供と間違われそうだな。」自分から聞いておきながら興味なさそうに返事をする。
「道、覚えとけよ。今から行くのが執務室で仕事は大体そこでする。……ここが執務室。」
やや重そうな両開きの扉を指差し言った。
中にいるのがレオナとトウカだけならいいが、他の者がいたら王に失礼な態度を、と言われそうなため小さくノックして声をかけた。
「失礼します、リッカです。手伝いの者を紹介に来ました。」
中からレオナが「俺とトウカだけだ~。」と気のない返事をしてきた。なんだ、意外と忙しそうじゃないな。それならと乱雑に扉を開け、中に入りイオリと並んだ。
イオリを見た途端、レオナが驚いたように声をかけてきた。
「小鬼族じゃないか。大丈夫か、俺、鬼族だけど。てか角が出てるね。鬼としての力は相当弱いな。」
レオナをみてイオリが体をビクッとさせ一歩下がった。
そういえば鬼族に虐げられる存在だったか…。レオナの不躾な物言いには返事せず怯えてる様子のイオリを見ているとトウカが声をかけてきた。
「どこから連れてきたの?連れてくるの、早くない?誘拐してない?」
「失礼な奴だな。城に入れる奴を誘拐するわけないだろうが。」
俺のことをなんだと思ってるんだ。煩わしいとばかりの態度でトウカに返事をし、イオリの方を向く。
「イオリ、挨拶しろ。」
俺の言葉を合図に膝を折り床に手をついて挨拶を始めるイオリに俺はギョッとした。
「イオリと言います。この度リッカ様に購入していただきましたこと、嬉しく思っています。精一杯尽くしますのでよろしくお願いいたします。」
奴隷の方式で挨拶をするイオリに「おいっ!」と声を出せば、どうしたのかと疑問の表情をしてイオリが床から顔を上げた。
それと同時にトウカから「リッカ、ちょっといいか?」と執務室の続きにある休憩室を指さされる。
やばい、絶対に奴隷市で買ったことがばれた。またトウカに小言を言われるのかとガックリする俺をイオリがキョトンと見上げる。
「イオリ、もういい。立って、ちょっとそこの椅子に座ってろ。」
イオリに適当に指示をして、トウカの後をついていく。絶対、小言を言われる。
しまったイオリにちゃんと言っておけばよかった。頭を抱えながら歩く俺に「いい買い物したなぁ~」と揶揄すようにレオナがニヤニヤとして声をかけてきた。
レオナの奴。こいつは、トウカに小言を言われる俺を見て喜ぶからタチが悪い。
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