【完結】勇者パーティーを追放された聖女の私。その日の夜に変態共に来られ面倒見る羽目になったので、退職金代わりにこいつらを引き取ってもらいたい

某棒人間

文字の大きさ
4 / 7

はい。私、なめていました(後悔)

しおりを挟む
 さてさて勇者を追いかけ旅する羽目になった私女神官リラ。巷では聖女と呼ばれたりして、結構有名だったのだけど、仕える勇者から「大国から新しい聖女が来るから、用済み」と切り捨てられちゃったけど、このあんぽんたんな押しかけて来た三人を押し付ける為に、何の因果か勇者をおっかけ始めたのは良いものの……。

 はい。私なめていました。この三人と旅するということが、どういうことなのかを。



「へっへっへ。よう姉ちゃん? いい尻してるなあ? いくらぐらいでいけるかい?」

 下品な笑みを浮かべて話しかけて来るおっさん。それに、
 プツン! 

「風俗ちゃうわああああああああああああああああ⁉」

 私のいい加減堪忍袋の緒が切れ、渾身の回し蹴りが炸裂する。

「げふう⁉ な、なにしやがる⁉」

 案の定ぶっ飛ぶおっさん! しかし謝罪はせんぞ!

「私達は冒険者よ! 風俗営業なんかしてないわ!」
「な、何言ってやがる……!」

 よろよろ立ち上がりながらおっさんは痛恨の一言。

「そんなビキニアーマー来て冒険者やっている奴なんかいるもんか!」
「やかましいわ! 私は着てないわよ!」

 私の抗議の声。対し、

「やーねえ。ビキニアーマーというだけで、差別される偏見に満ちた世界って」

 ふっと、わざとらしく溜息を吐くメーブ!
 く、こいつの恰好のせいで、私まで風俗に間違われる……! こいつで何回目よ⁉

「あんたその恰好やめなさいよ⁉」
「い、いやよ。私はこの呪われたビキニアーマーで天下取るって決めたんだから!」

 前にも言ったけど天下取るなよ、呪われたビキニアーマーで。

「そして文句があるなら私を殴りなさいよ!」
「ええい、黙れマゾ!」

 くそう、こいつと会話すると、大体終始「殴れ」で終わるんだよな⁉
 私はメーブとの何度目かの言い合いを始めたのだった。



   ◇   ◇   ◇




 また別のある日。

「リラ殿~。盗賊共の場所を見つけましたぞ~」

 とある村に滞在した際、村長から頼まれた近くの盗賊団撲滅の依頼。もののついでと依頼を引き受けたのだ、が……。

「敵は十数人程度。何、拙者が独りで夜中にのど元を掻き切ればことは済みますぞ」
「恐いわ⁉」

 こいつ、敵に容赦しないな⁉
 ザザンのおおよそ軽い言動とは似つかわしくない話の内容に慌てて止めに入る。

「いい? 盗賊でも一応人間なの。人権ってのがあるの。取り敢えず、捕まえないといけないの。分かる?」
「そうでござるかー? 盗賊ギルドだと敵対する者=死は常識でしたが」
「倫理感バグってるな、盗賊ギルド⁉」

 このぶっ壊れた倫理感とが合わさり、暗殺対象に予告状を送りつけるようなトンチンカンを産みだしたのか!

「取り敢えず盗賊団に悔い改めねば首を掻っ切ると予告状を出しておいたでござるよ♪(親指グッ)」
「そりゃ〝予告状〟じゃなくて〝脅迫状〟でしょうがああああああああああああ⁉」

 私の幾度目かの怒鳴り声が木霊した。
 尚、この後盗賊団はアザゼルが範囲魔法で全員眠らせて官憲に送ったのであった。



   ◇   ◇   ◇




 また別の日。
「【堕ちろ、天空の光……】!」

 アザゼルの短い詠唱。それが終わると共に、
 ズシィイイイイイイイイン
 と、天空に魔法陣が浮かび上がったかと思えばその魔法陣から無数の黒い光が地表へと降り注ぎ、押し寄せて来たゴブリンの群れが一瞬で消え失せた。

「終わりました」

 さらっと言ってのけるアザゼル。それに、

「………………うん」

 しょんぼりと頷く私、リラ。

「出番なかったでござるなー……」
「今回もねー……」

 ザザンとメーブもしょんぼりと声を上げる。

「まあまあ。雑魚ですし」

 と、一応仲間のはずのゴブリンを雑魚扱いする魔王アザゼル。

「ほら。早く依頼完了したことを報告しましょう。急がないと勇者パーティに更に距離を開けられますよ」

 パンパンと手を叩いてメーブとザザンを先導するアザゼル。
 ふぉ、フォローも完璧……なんでこいつ魔王やっているんだろう?
 疑問に思う私。そのまま依頼の報酬を受け取り、村を出て今日は野宿となったのだ、が……。

「はい、リラさん。この前の服、縫っておきましたよ」
「え、あ……ありが、とう……」

 手渡されたのは、着ていたお気に入りの衣服。旅の合間にスパッと切れ目が出来ていたのだが……

「き、綺麗に縫ってあるし……!」
「こういうの得意なんですよ。はい、今日は特製のお肉の炊き込みご飯ですよー」

 そう言っていそいそと自身が作った炊き込みご飯を茶碗に盛るアザゼル。それを呆然と見つめる私。

「……やべぇ。



 あの魔王、女子力たっけぇ……!」

 やだ……私の女子力、低過ぎ……?
 がっくりと、その場に膝から崩れ落ちるのであった。

(てか〝魔王〟のくせに一番まともってどういうこと⁉)

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった

黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった! 辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。 一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。 追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!

「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。 しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。 絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。 一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。 これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

処理中です...