35 / 105
第3章 叡智
第8話 目撃談と推理
しおりを挟む
★◇◆◇◆◇◆◇
荷台の幌に手をかけたノウェムは、それを一息にめくり上げた。
すると、
「わ、わーっ!」
荷台の中には、小さな男の子が座っていた。
突然のことに驚いたのか、小さな身体をさらに小さくしてうずくまっている。
しかし、驚いたのは男の子だけではなく、ターメリックたちもまた驚いていた。
「え、ええっ!?」
だ、だれ!?
いつの間に!?
ターメリックがバタバタと慌てている隣で、ノウェムも幌を手にして困惑している。
すると、荷台の後ろに腰かけていたディッシャーが身軽に飛び降りて、中でうずくまる男の子を覗き込んだ。
そして、
「マッシャー!」
慌てたように荷台の中から男の子を抱き上げ、地面へと降ろした。
男の子は5歳くらいだろうか、身長はディッシャーの腰のあたりまでで、必死にディッシャーの後ろに隠れようとしている。
夕闇の中でも、フサフサの髪は銀色に輝いていた。
ディッシャーと同じ髪色である。
あれ、もしかして……
お孫さん、かな。
ターメリックが尋ねようとしたものの、その前にディッシャーは深々と頭を下げていた。
「申し訳ありません、うちの孫が大変なご迷惑をおかけしました……」
ああ、やっぱりお孫さんだった!
でも……
どうして荷台の中に?
というか、いつからいたんだろう。
ターメリックの疑問を尋ねるように、ディッシャーは孫の顔を覗き込んだ。
「マッシャー、いったいどうして、いつからこんなところにいたんだい?」
「……」
マッシャーは俯いたまま喋ろうとしない。
辛抱強く待っていると、ようやく、
「……朝ごはん、食べた後」
それだけを、ぽつりと口にした。
どうやらマッシャーは、一行が出発するときに荷台の中に忍び込んだらしい。
そして、だれも見てない間は荷台から降りていたようだが、空腹には耐えきれなかったようで、
「あの、ごめんなさい。中にあったパン、ぼく食べちゃって……! ごめんなさい……!」
必死に泣くのを堪えて、謝り続けていた。
ありゃ……
お腹が空いたら、しょうがないよね。
ターメリックは、うんうんと頷いて、怖い顔をしたクランがマッシャーに見えないように立ち塞がった。
すっと場所を変えたクランだったが、その前にはクィントゥムが立っている。
ノウェムはというと、今にも泣き出しそうなマッシャーの目の高さに屈んで、
「心配すんな、坊主。オレたち、だれもそんなことで怒ったりしねぇから」
「……ほんと……?」
マッシャーのか細い声に、ノウェムは「ほんとほんと」と笑って頷いた。
そして、マッシャーの頭をガシガシと撫でると、
「だからさ、どうしてこんなところまでついてきたのか、理由があるなら教えてくれねぇかな」
そう尋ねると、マッシャーはようやく顔を上げて、大きく頷いた。
「あのね……ぼく、昨日の夜、見たんだ。泥棒みたいにコソコソしてる人たちが3人、村の外に走っていくとこ……」
「マッシャー、どうしてそんな大事なこと、おじいちゃんにすぐ教えてくれなかったんだい?」
「だって、起きたらもう出発するとこだったから……どうしようって考えて、それで……」
「それで、オレの荷台の中に乗り込んだんだな」
ノウェムが先を読んで声をかけると、マッシャーは勢いよく頷いた。
ノウェムも「そうかそうか」と頷いている。
ふたりは、すっかり仲良くなっていた。
それにしても……泥棒は3人組だったんだね。
ターメリックは腕を組んだ。
といっても、何かを考えているわけではない。
なんとなく手持ち無沙汰なだけである。
しかし、その隣に立つクィントゥムは違う。
顎に指を添えて、何か難しいことを考えているようだ。
まさか、クィントゥム君……
もう何かわかっちゃったとか!?
ターメリックがチラリと横顔を伺うと、
「少年」
クィントゥムは顔を上げて、マッシャーを見つめた。
そして、少し緊張気味のマッシャーに、確信を持ったように声をかけた。
「君が見た泥棒というのは、スプーン村での目撃情報にもあった『背の高い男』と『小柄な女』と……もうひとりは『太った男』で間違いないね?」
その言葉に、マッシャーは目を丸くして、
「うん! そうだよ! すごい、ぼくまだ何も言ってないのに!」
今にも飛び上がりそうなほど驚いていた。
そしてもちろん、驚いたのはマッシャーだけではない。
ディッシャーもまた、孫と顔を見合わせている。
そして、
「ええーっ!? そ、そうなの!? クィントゥム君!!」
「マジかよ!! ってことは……ん? どういうことになるんだ?」
「僕も、ノウェムがうるさいってことしかわかんないんだけど」
「クランは黙っとけ」
三人三様に驚いていると、クィントゥムは珍しく自信たっぷりといった顔で頷いてみせた。
あ、懐かしい……
そうそう、クィントゥム君って、いつもこういう顔でぼくにいろいろ教えてくれてたっけ。
なんか、ちょっと嬉しそう。
ターメリックが友人の様子に安心していると、その友人は得意げに、銀縁眼鏡を指先でクイッと押し上げた。
そして、困った顔のディッシャーに告げたのである。
「次に狙われるのは、確実にナイフ村の特産品トマトでしょう。それから、これは私の推測ですが……トマトを盗み出すのは『背の高い男』と『太った男』です。そして……小屋の鍵を開け、2人を誘導するのは『小柄な女』とみてよいかと」
★◇◆◇◆◇◆◇
名探偵クィントゥムの推理は見事に的中した。
ナイフ村へと到着したターメリックたちは、その日の深夜すぎに、箱詰めされたトマトを見張るため、小屋のまわりを巡回していた。
そして、何も知らずに現れた泥棒たちを確保したのである。
……といっても、活躍したのは身軽なノウェムと魔法の使えるクィントゥムだけで、ターメリックはオロオロしていただけ、クランにいたっては遠巻きに眺めていただけだったのだが。
とにもかくにも……
ナイフ村での盗難事件は無事、未遂に終わった。
明け方のナイフ村、その中心にある村の広場には、縄で縛られた3人の泥棒が座らされていた。
それぞれ、太った男と小柄な女、そして背の高い男である。
この泥棒3人組は、それぞれ別の村の人間だったのだが……
まだよくわかっていないターメリックに、すべてを理解したクィントゥムが説明してくれた。
まず第1の事件、フォーク村での盗難事件にて『太った男』と『小柄な女』を手引きしたのが、フォーク村に住む『背の高い男』ことトックリという名の青年。
続いて第2の事件、スプーン村での盗難事件にてトックリと『小柄な女』を手引きしたのが、スプーン村に住む『太った男』ことグイノミという名の中年の男。
そして第3の事件、フォーク村での盗難未遂事件にてトックリとグイノミを手引きしたのが、フォーク村に住む『小柄な女』ことオチョコという名の派手な女。
どうやら彼らは、協力して村の特産品を盗み出し、王都に高値で売りつけるつもりだったようだ。
「……どちらにせよ、王都ではこのような密売人を厳しく取り締まっていますから、あなたがたもすぐに捕まっていたでしょうねぇ」
朝焼けに染まる村の広場で、ディッシャーが項垂れる3人組に嘆かわしげな視線を向けていた。
「……ちくしょう」
盗人たちのリーダー格であるらしいトックリ青年が、凶悪そうな顔を歪めた。
「ここらの物を高値で売りさばいて、王都で大金稼いで、とっととどっかに高飛びするつもりだったってのに……! どうしてこんなところで捕まんなきゃいけねぇんだよ、このクソジジイ!」
ディッシャーに詰め寄ろうとしたトックリだったが、その前にクィントゥムが立ち塞がった。
つづく
荷台の幌に手をかけたノウェムは、それを一息にめくり上げた。
すると、
「わ、わーっ!」
荷台の中には、小さな男の子が座っていた。
突然のことに驚いたのか、小さな身体をさらに小さくしてうずくまっている。
しかし、驚いたのは男の子だけではなく、ターメリックたちもまた驚いていた。
「え、ええっ!?」
だ、だれ!?
いつの間に!?
ターメリックがバタバタと慌てている隣で、ノウェムも幌を手にして困惑している。
すると、荷台の後ろに腰かけていたディッシャーが身軽に飛び降りて、中でうずくまる男の子を覗き込んだ。
そして、
「マッシャー!」
慌てたように荷台の中から男の子を抱き上げ、地面へと降ろした。
男の子は5歳くらいだろうか、身長はディッシャーの腰のあたりまでで、必死にディッシャーの後ろに隠れようとしている。
夕闇の中でも、フサフサの髪は銀色に輝いていた。
ディッシャーと同じ髪色である。
あれ、もしかして……
お孫さん、かな。
ターメリックが尋ねようとしたものの、その前にディッシャーは深々と頭を下げていた。
「申し訳ありません、うちの孫が大変なご迷惑をおかけしました……」
ああ、やっぱりお孫さんだった!
でも……
どうして荷台の中に?
というか、いつからいたんだろう。
ターメリックの疑問を尋ねるように、ディッシャーは孫の顔を覗き込んだ。
「マッシャー、いったいどうして、いつからこんなところにいたんだい?」
「……」
マッシャーは俯いたまま喋ろうとしない。
辛抱強く待っていると、ようやく、
「……朝ごはん、食べた後」
それだけを、ぽつりと口にした。
どうやらマッシャーは、一行が出発するときに荷台の中に忍び込んだらしい。
そして、だれも見てない間は荷台から降りていたようだが、空腹には耐えきれなかったようで、
「あの、ごめんなさい。中にあったパン、ぼく食べちゃって……! ごめんなさい……!」
必死に泣くのを堪えて、謝り続けていた。
ありゃ……
お腹が空いたら、しょうがないよね。
ターメリックは、うんうんと頷いて、怖い顔をしたクランがマッシャーに見えないように立ち塞がった。
すっと場所を変えたクランだったが、その前にはクィントゥムが立っている。
ノウェムはというと、今にも泣き出しそうなマッシャーの目の高さに屈んで、
「心配すんな、坊主。オレたち、だれもそんなことで怒ったりしねぇから」
「……ほんと……?」
マッシャーのか細い声に、ノウェムは「ほんとほんと」と笑って頷いた。
そして、マッシャーの頭をガシガシと撫でると、
「だからさ、どうしてこんなところまでついてきたのか、理由があるなら教えてくれねぇかな」
そう尋ねると、マッシャーはようやく顔を上げて、大きく頷いた。
「あのね……ぼく、昨日の夜、見たんだ。泥棒みたいにコソコソしてる人たちが3人、村の外に走っていくとこ……」
「マッシャー、どうしてそんな大事なこと、おじいちゃんにすぐ教えてくれなかったんだい?」
「だって、起きたらもう出発するとこだったから……どうしようって考えて、それで……」
「それで、オレの荷台の中に乗り込んだんだな」
ノウェムが先を読んで声をかけると、マッシャーは勢いよく頷いた。
ノウェムも「そうかそうか」と頷いている。
ふたりは、すっかり仲良くなっていた。
それにしても……泥棒は3人組だったんだね。
ターメリックは腕を組んだ。
といっても、何かを考えているわけではない。
なんとなく手持ち無沙汰なだけである。
しかし、その隣に立つクィントゥムは違う。
顎に指を添えて、何か難しいことを考えているようだ。
まさか、クィントゥム君……
もう何かわかっちゃったとか!?
ターメリックがチラリと横顔を伺うと、
「少年」
クィントゥムは顔を上げて、マッシャーを見つめた。
そして、少し緊張気味のマッシャーに、確信を持ったように声をかけた。
「君が見た泥棒というのは、スプーン村での目撃情報にもあった『背の高い男』と『小柄な女』と……もうひとりは『太った男』で間違いないね?」
その言葉に、マッシャーは目を丸くして、
「うん! そうだよ! すごい、ぼくまだ何も言ってないのに!」
今にも飛び上がりそうなほど驚いていた。
そしてもちろん、驚いたのはマッシャーだけではない。
ディッシャーもまた、孫と顔を見合わせている。
そして、
「ええーっ!? そ、そうなの!? クィントゥム君!!」
「マジかよ!! ってことは……ん? どういうことになるんだ?」
「僕も、ノウェムがうるさいってことしかわかんないんだけど」
「クランは黙っとけ」
三人三様に驚いていると、クィントゥムは珍しく自信たっぷりといった顔で頷いてみせた。
あ、懐かしい……
そうそう、クィントゥム君って、いつもこういう顔でぼくにいろいろ教えてくれてたっけ。
なんか、ちょっと嬉しそう。
ターメリックが友人の様子に安心していると、その友人は得意げに、銀縁眼鏡を指先でクイッと押し上げた。
そして、困った顔のディッシャーに告げたのである。
「次に狙われるのは、確実にナイフ村の特産品トマトでしょう。それから、これは私の推測ですが……トマトを盗み出すのは『背の高い男』と『太った男』です。そして……小屋の鍵を開け、2人を誘導するのは『小柄な女』とみてよいかと」
★◇◆◇◆◇◆◇
名探偵クィントゥムの推理は見事に的中した。
ナイフ村へと到着したターメリックたちは、その日の深夜すぎに、箱詰めされたトマトを見張るため、小屋のまわりを巡回していた。
そして、何も知らずに現れた泥棒たちを確保したのである。
……といっても、活躍したのは身軽なノウェムと魔法の使えるクィントゥムだけで、ターメリックはオロオロしていただけ、クランにいたっては遠巻きに眺めていただけだったのだが。
とにもかくにも……
ナイフ村での盗難事件は無事、未遂に終わった。
明け方のナイフ村、その中心にある村の広場には、縄で縛られた3人の泥棒が座らされていた。
それぞれ、太った男と小柄な女、そして背の高い男である。
この泥棒3人組は、それぞれ別の村の人間だったのだが……
まだよくわかっていないターメリックに、すべてを理解したクィントゥムが説明してくれた。
まず第1の事件、フォーク村での盗難事件にて『太った男』と『小柄な女』を手引きしたのが、フォーク村に住む『背の高い男』ことトックリという名の青年。
続いて第2の事件、スプーン村での盗難事件にてトックリと『小柄な女』を手引きしたのが、スプーン村に住む『太った男』ことグイノミという名の中年の男。
そして第3の事件、フォーク村での盗難未遂事件にてトックリとグイノミを手引きしたのが、フォーク村に住む『小柄な女』ことオチョコという名の派手な女。
どうやら彼らは、協力して村の特産品を盗み出し、王都に高値で売りつけるつもりだったようだ。
「……どちらにせよ、王都ではこのような密売人を厳しく取り締まっていますから、あなたがたもすぐに捕まっていたでしょうねぇ」
朝焼けに染まる村の広場で、ディッシャーが項垂れる3人組に嘆かわしげな視線を向けていた。
「……ちくしょう」
盗人たちのリーダー格であるらしいトックリ青年が、凶悪そうな顔を歪めた。
「ここらの物を高値で売りさばいて、王都で大金稼いで、とっととどっかに高飛びするつもりだったってのに……! どうしてこんなところで捕まんなきゃいけねぇんだよ、このクソジジイ!」
ディッシャーに詰め寄ろうとしたトックリだったが、その前にクィントゥムが立ち塞がった。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる