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第6章 希望
第22話 想像と目的と
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★◇◆◇◆◇◆◇
沈黙の中で、最初に口を開いたのはクィントゥムだった。
「それほどの人徳者に、いったい何が起こったのでしょうか……当時の歴史書には『マスカーチ公国を守り抜いた英雄シメオンは、行方不明となり、消息を知る者はなく今に至る』といったようなことが書かれていたと思いますが……」
「スパイス帝国軍が引き上げた後、シメオンさんも姿を消してしまった……この国のどこを探しても、手がかりひとつ見つからなかった。そして、シメオンさんは伝説として語られるようになったの」
「伝説……?」
ターメリックが口を挟むと、アガタは少し寂しそうに笑って、
「今からすれば、だいたい突拍子もない噂みたいなものね。クリスタン神様の化身だったとか、亡くなったモニカが寂しくなって連れて行ってしまったとかね」
「へぇ……」
「それにしても、どうしてスパイス帝国にいたのかしら。無事に暮らしているなら、手紙の一通くらい……なんて思うのは、ちょっと身勝手なのかしらね」
アガタの沈んだ独り言に、ターメリックは「そんなことないです! そう思うのは当たり前です!」と、音が聞こえるほど激しく首を横に振った。
ターメリックが物心ついたときから、アクア・シメオンはスパイス帝国剣士団長ペパーとして、スパイス帝国の政治に関わっていた。
ターメリックが剣士団に入団し、直属の部下となってからも、あまり接点はなかった。
彼自身、無口で己を語らない人柄だったこともある。
どんな人なのか、考えたこともなかったな……
敬虔なクリスタン信者だったアクア・シメオンさんに、いったい何が起こったんだろう……
珍しくターメリックが考え込んでいると、
「あれは……そうだな、記憶喪失ってやつかもしれないな」
それまで黙って成り行きを見守っていたベントが口を開いた。
ベントは、隣に座っているノウェムの「兄ちゃん何だよいきなり」を軽く受け流し、何やら話し始めた。
「アクア・シメオン……いやペパー大臣は、おそらく記憶喪失だと思うんだ」
「えっ……? どういうことだ?」
「マスカーチ公国を救った後、何らかの原因で記憶を失くしてしまったシメオンさんは、敵国とは知らないままスパイス帝国で暮らすようになった。そのうち、政治にも関わるようになったんじゃないかな。消えてしまう前、アガタに見せた表情からそう読み取れたんだが……まあ、私の想像に過ぎないけれどね」
「なんだよ、兄ちゃんの想像かよ。真面目に聞いて損したぞ」
ノウェムが大きく伸びをすると、向かいのクワトロが「わかってないなぁ」と、したり顔を向けて、
「ノウェムは知らないかもしれないけど、旦那様は洞察力が人一倍優れていらっしゃるんだよ! 普段は仕事一筋で、そんな風には見えないけどね!」
「……ジェロニモ、ありがたいんだが、最後の一言は余計じゃないかな」
「てへへ、ごめんなさい」
口を尖らせるベントに、クワトロはペロッと舌を出した。
そんな仲睦まじいふたりを見ながら、クィントゥムが呟いた。
「スパイス帝国にいるアクア・シメオン殿は、どうやら記憶を失っているらしい……そして彼は、私たちの最後の仲間ということになるんだな」
その一言に、ターメリックはもちろんレードル姫も大きく頷いた。
あのとき、手をかざした羅針盤から放たれた光のうち、黄緑色はまっすぐスパイス帝国を指しており、浮かび上がった文字は、
『平和 シメオン』
だった。
さらに、人一倍視力の高いレードル姫が、
『あの人が抜けなくて困っていた剣は、鞘に茨と王冠の銀細工が施されていて、柄の部分には黄緑色の宝石ペリドットが飾られていたわ』
と証言したため、それは確実となった。
スパイス帝国現大臣ペパーこそが、ターメリックたちの探していた最後の仲間……
平和の剣に選ばれし者、アクア・シメオンだったのだ。
ターメリックは、ふとスパイス帝国でのことを思い出していた。
アクアさんの剣は、もう平和の剣なんだ……
宮殿から朝日の浜辺に逃げてきたぼくを、アクアさんは待ち伏せしていたけど、あのときからもう平和の剣だったのかな……
ぼくは朝日の浜辺で真実の剣を拾って、咄嗟にアクアさんの攻撃を受けたんだけど、あのとき剣が……
「あっ!!」
ターメリックの突然の大声に、いちばん飛び上がったのはノウェムだった。
「な、なんだよ! 驚かすなって!」
「ああ、ごめん……でも、わかったよ。どうしてあのときノウェム君の槍が剣に戻って、アクアさんの剣が抜けなくなったのか」
「ああそ……え!? マジで!?」
ターメリックの話を聞き流そうとしたらしいノウェムだったが、すぐに目の色を変えて身を乗り出してきた。
クランに至っては「ターメリックなのに」と真顔で呟いている。
「……」
ターメリックは少し遠い目をしてから、仲間たちに朝日の浜辺での出来事を語って聞かせた。
船で逃げようとしたところをペパー大臣に襲われ、咄嗟に拾った剣を抜こうとしたこと、その剣が『抜いてはならぬ!』と叫んだこと、そこでやむを得ず鞘で攻撃を受けようとした途端、強い力によって弾かれるようにクリスタニアへと飛ばされたこと……
「あのときのぼくは、クリスタン神話が本当の歴史だなんて思ってなかった。だから、真実の剣が魔法しか斬ることのできない剣だってことも知らなかったんだ。それで、神の使いのカメリアさんから真実の剣のことを聞いて、きっとクリスタン神様が助けてくださったんだって思ってた。でも……本当はそうじゃなかった。クリスタン神様は、伝説の剣に選ばれし者同士が戦うことを止めようとなさったんだ」
「……」
「きっと、これと同じことが起こって、ノウェム君の槍は剣に戻ってしまって、アクアさんの剣は抜けなくなったんじゃないかな……と、思ったんだ」
ターメリックの長い話を、仲間たちは頷きながら聞いてくれた。
クィントゥムに至っては、小さく拍手までしている。
「なるほど、そういうことか。ありがとう、ターメリック。しかし……どうしてもっと早く教えておいてくれなかったんだ。私なら、すぐにでも彼が平和の剣を持っているとわかったかもしれないのに」
「え……そ、そう?」
ターメリックの弱々しい問いかけに、クィントゥムは「ああ」と大きく頷いた。
少しシュンとしたものの、ターメリックは確かになぁと思い直していた。
そうだよね、その可能性に気づいてくれたかもしれないよね。
「ごめん、クィントゥム君。このことは、ぼくの中で解決済みだったから、わざわざ話さなくてもいいかなって……」
「いや、いいんだ。私も少し大人げなかった。今は、そんな過去のことを気にしている場合じゃない。早くスパイス帝国へ向かわなければ……そうだろう?」
クィントゥムは、確認するようにターメリックへと視線を向けていた。
見回せば、ほかの仲間たちもターメリックを見つめている。
うん……そうだね。
ターメリックは大きく頷いた。
「最後の仲間、アクアさんを迎えに行こう。そして……スパイス帝国のカイエンも、なんとかしないとね」
その一言に、仲間たちは頷き合った。
中でもノウェムは、
「いいぞ! ターメリック! それでこそオレたちのリーダーだ! やっぱり大事なところで仲間たちをまとめてくれないとな!」
そう言うと、ニヤリと笑って拍手を始めた。
……まったく、ぼくがクィントゥム君とフィオさんが仲直りしたときにいなかったからって、調子いいんだから。
ターメリックは、ため息をつきつつも、
「えへへ、それほどです」
と、同じようにニヤリと笑ってみせた。
つづく
沈黙の中で、最初に口を開いたのはクィントゥムだった。
「それほどの人徳者に、いったい何が起こったのでしょうか……当時の歴史書には『マスカーチ公国を守り抜いた英雄シメオンは、行方不明となり、消息を知る者はなく今に至る』といったようなことが書かれていたと思いますが……」
「スパイス帝国軍が引き上げた後、シメオンさんも姿を消してしまった……この国のどこを探しても、手がかりひとつ見つからなかった。そして、シメオンさんは伝説として語られるようになったの」
「伝説……?」
ターメリックが口を挟むと、アガタは少し寂しそうに笑って、
「今からすれば、だいたい突拍子もない噂みたいなものね。クリスタン神様の化身だったとか、亡くなったモニカが寂しくなって連れて行ってしまったとかね」
「へぇ……」
「それにしても、どうしてスパイス帝国にいたのかしら。無事に暮らしているなら、手紙の一通くらい……なんて思うのは、ちょっと身勝手なのかしらね」
アガタの沈んだ独り言に、ターメリックは「そんなことないです! そう思うのは当たり前です!」と、音が聞こえるほど激しく首を横に振った。
ターメリックが物心ついたときから、アクア・シメオンはスパイス帝国剣士団長ペパーとして、スパイス帝国の政治に関わっていた。
ターメリックが剣士団に入団し、直属の部下となってからも、あまり接点はなかった。
彼自身、無口で己を語らない人柄だったこともある。
どんな人なのか、考えたこともなかったな……
敬虔なクリスタン信者だったアクア・シメオンさんに、いったい何が起こったんだろう……
珍しくターメリックが考え込んでいると、
「あれは……そうだな、記憶喪失ってやつかもしれないな」
それまで黙って成り行きを見守っていたベントが口を開いた。
ベントは、隣に座っているノウェムの「兄ちゃん何だよいきなり」を軽く受け流し、何やら話し始めた。
「アクア・シメオン……いやペパー大臣は、おそらく記憶喪失だと思うんだ」
「えっ……? どういうことだ?」
「マスカーチ公国を救った後、何らかの原因で記憶を失くしてしまったシメオンさんは、敵国とは知らないままスパイス帝国で暮らすようになった。そのうち、政治にも関わるようになったんじゃないかな。消えてしまう前、アガタに見せた表情からそう読み取れたんだが……まあ、私の想像に過ぎないけれどね」
「なんだよ、兄ちゃんの想像かよ。真面目に聞いて損したぞ」
ノウェムが大きく伸びをすると、向かいのクワトロが「わかってないなぁ」と、したり顔を向けて、
「ノウェムは知らないかもしれないけど、旦那様は洞察力が人一倍優れていらっしゃるんだよ! 普段は仕事一筋で、そんな風には見えないけどね!」
「……ジェロニモ、ありがたいんだが、最後の一言は余計じゃないかな」
「てへへ、ごめんなさい」
口を尖らせるベントに、クワトロはペロッと舌を出した。
そんな仲睦まじいふたりを見ながら、クィントゥムが呟いた。
「スパイス帝国にいるアクア・シメオン殿は、どうやら記憶を失っているらしい……そして彼は、私たちの最後の仲間ということになるんだな」
その一言に、ターメリックはもちろんレードル姫も大きく頷いた。
あのとき、手をかざした羅針盤から放たれた光のうち、黄緑色はまっすぐスパイス帝国を指しており、浮かび上がった文字は、
『平和 シメオン』
だった。
さらに、人一倍視力の高いレードル姫が、
『あの人が抜けなくて困っていた剣は、鞘に茨と王冠の銀細工が施されていて、柄の部分には黄緑色の宝石ペリドットが飾られていたわ』
と証言したため、それは確実となった。
スパイス帝国現大臣ペパーこそが、ターメリックたちの探していた最後の仲間……
平和の剣に選ばれし者、アクア・シメオンだったのだ。
ターメリックは、ふとスパイス帝国でのことを思い出していた。
アクアさんの剣は、もう平和の剣なんだ……
宮殿から朝日の浜辺に逃げてきたぼくを、アクアさんは待ち伏せしていたけど、あのときからもう平和の剣だったのかな……
ぼくは朝日の浜辺で真実の剣を拾って、咄嗟にアクアさんの攻撃を受けたんだけど、あのとき剣が……
「あっ!!」
ターメリックの突然の大声に、いちばん飛び上がったのはノウェムだった。
「な、なんだよ! 驚かすなって!」
「ああ、ごめん……でも、わかったよ。どうしてあのときノウェム君の槍が剣に戻って、アクアさんの剣が抜けなくなったのか」
「ああそ……え!? マジで!?」
ターメリックの話を聞き流そうとしたらしいノウェムだったが、すぐに目の色を変えて身を乗り出してきた。
クランに至っては「ターメリックなのに」と真顔で呟いている。
「……」
ターメリックは少し遠い目をしてから、仲間たちに朝日の浜辺での出来事を語って聞かせた。
船で逃げようとしたところをペパー大臣に襲われ、咄嗟に拾った剣を抜こうとしたこと、その剣が『抜いてはならぬ!』と叫んだこと、そこでやむを得ず鞘で攻撃を受けようとした途端、強い力によって弾かれるようにクリスタニアへと飛ばされたこと……
「あのときのぼくは、クリスタン神話が本当の歴史だなんて思ってなかった。だから、真実の剣が魔法しか斬ることのできない剣だってことも知らなかったんだ。それで、神の使いのカメリアさんから真実の剣のことを聞いて、きっとクリスタン神様が助けてくださったんだって思ってた。でも……本当はそうじゃなかった。クリスタン神様は、伝説の剣に選ばれし者同士が戦うことを止めようとなさったんだ」
「……」
「きっと、これと同じことが起こって、ノウェム君の槍は剣に戻ってしまって、アクアさんの剣は抜けなくなったんじゃないかな……と、思ったんだ」
ターメリックの長い話を、仲間たちは頷きながら聞いてくれた。
クィントゥムに至っては、小さく拍手までしている。
「なるほど、そういうことか。ありがとう、ターメリック。しかし……どうしてもっと早く教えておいてくれなかったんだ。私なら、すぐにでも彼が平和の剣を持っているとわかったかもしれないのに」
「え……そ、そう?」
ターメリックの弱々しい問いかけに、クィントゥムは「ああ」と大きく頷いた。
少しシュンとしたものの、ターメリックは確かになぁと思い直していた。
そうだよね、その可能性に気づいてくれたかもしれないよね。
「ごめん、クィントゥム君。このことは、ぼくの中で解決済みだったから、わざわざ話さなくてもいいかなって……」
「いや、いいんだ。私も少し大人げなかった。今は、そんな過去のことを気にしている場合じゃない。早くスパイス帝国へ向かわなければ……そうだろう?」
クィントゥムは、確認するようにターメリックへと視線を向けていた。
見回せば、ほかの仲間たちもターメリックを見つめている。
うん……そうだね。
ターメリックは大きく頷いた。
「最後の仲間、アクアさんを迎えに行こう。そして……スパイス帝国のカイエンも、なんとかしないとね」
その一言に、仲間たちは頷き合った。
中でもノウェムは、
「いいぞ! ターメリック! それでこそオレたちのリーダーだ! やっぱり大事なところで仲間たちをまとめてくれないとな!」
そう言うと、ニヤリと笑って拍手を始めた。
……まったく、ぼくがクィントゥム君とフィオさんが仲直りしたときにいなかったからって、調子いいんだから。
ターメリックは、ため息をつきつつも、
「えへへ、それほどです」
と、同じようにニヤリと笑ってみせた。
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