職業:雑貨屋店主兼英雄

○山

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第1章雑貨屋編

第10話:休日

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 店が開店してから数日、ルチアちゃんと二人で営業するにも慣れてきた頃。ついにこの日がやって来た。そう、何を隠そう今日は初の休日である。

 なので今日はルチアちゃんと買い物に出掛けることにした。お目当てはルチアちゃんの服だ。家を出てくるときに私物はほとんど持って来なかったらしく、服は着ている分と合わせて2着しか持っていなかった。いくらおしゃれを知らないといえども女の子が服2着では心許ないだろう。俺も私物はまだまだ少ないので買い足すつもりだ。

 と、その前に2か所ほど寄る場所がある。まずはステラの別荘だ。あんなに世話になったのに忙しくて何も返せていないのでその話をしに行った。だが、別荘にはステラは居なかった。少し町を離れているらしい。いや、ここが別荘だから戻ったの方が正しいか。なのでとりあえず伝言だけお願いした。
 
 そして次に寄ったのは土建屋だ。何をしに来たのかというとお風呂を作ってもらいに来たのだ。

「すいません。あたしのために・・・」
「気にしないでいいよ、元々お風呂はいつか欲しいと思ってたんだ。」

 元の世界ではお風呂は毎日入っていたし、ステラの別荘にもお風呂はあったので落ち着いたら作るつもりだった。その時期が早くなっただけのことである。店の扉を開けて入るとカウンターにおじさんがいたので声を掛けた。

「すいません。家にお風呂を作りたいのですけど、ここであってますか?」
「あってるよ。しかし風呂か、また珍しいもんを作るんだな。」
「お風呂のある家って珍しいんですか?」
「俺の知っている限り、この町では金持ちのでっかい別荘にしかなかったはずだ。」

 ステラの別荘のことだろうか。

「作るのに時間はどれくらいかかりますか?」
「1日あればできるぜ。」

 さすがに早すぎないかと思ったのだがそこは職人さん、土木に関するスキルを持っているとのこと。スキルって素晴らしい。次の日に作ってもらうようにお願いして店を後にした。

 そしてついにお買い物である。まず本日のメインである服屋に向かった。俺たちはそれぞれ服を何着かと気に入った布を買った。布さえあればスキルで服が作成できるからな。全部スキルで作ってもよかったが、買い物自体を楽しみたかったこともあってこのやり方になった。買ったものはルチアちゃんのアイテムボックスに入れてもらえば楽だ。

「やっぱりいいな~アイテムボックス。」
「そういえば使えないのでしたね。ソウタさんのスキルであれば作れそうなものですけど。」

 あっ・・・その発想はなかった。確かに俺の”創造クリエイト”なら作れるかもしれない。アイテムボックスは確か・・・本人以外は認識できなくて時間が止まっている空間で、たくさん物が入れられて・・・”創造クリエイト:アイテムボックス”。すると、持っていた荷物がどこかに収納される感覚とともに消えた。これがアイテムボックスか・・・これはもう手放せないな。

「作れたみたいですね。そのスキルで作れないものってあるんですか?」
「さすがにあるんじゃないかな・・・人とか?」
「それは・・・無理でしょうね。」

 そんな会話をしながらその後も買い物は順調に進んだ。ここ数日間で資金は潤沢、二人とも鑑定スキルを持っているので品質の見極めは完璧。順調に進んだのも当然と言っていいだろう。しかし、一つ気になることがあった。周囲からの視線を感じるのである。その答えはすぐにわかったのであるが。

 見られているのはルチアちゃんだった。理由は単純にかわいいからであろう。俺がそう思うのだからきっとそうだ。今のルチアちゃんは店で働いているときと同じように前髪にヘアピンを着け、後ろ髪はヘアゴムでまとめている。今流行りの小物を身に着けたかわいい女の子となれば目につくのも仕方あるまい。そう思っているとふとある考えが浮かんだ。そうだ、店の制服を作ろう。今はそれぞれ自由に服を着ているが、今後店員を増やすことも考えると統一感があったほうがいい。そうと決まれば早速追加の布を購入だ。

 そんなこんなで買い物を終えた俺たちは家に帰った。

「今日はありがとうございました。あたしの分まで払ってもらってしまって。」
「ルチアちゃんのおかげで売り上げが伸びてるからね。これぐらい安いもんだよ。」

 実際ルチアちゃんの宣伝効果が抜群なのは証明済みである。

「さて、今日はもう戦利品を確認しながらゆっくり過ごそうかな。ルチアちゃんはどうする?」
「あたしもそうします。結構歩いたので疲れてしまいました。」

 結構遠くのお店まで回ったからなぁ。小さいルチアちゃんにはちょっときつかったかもしれない。

 というわけでそれぞれの部屋で荷物整理をすることにした。荷物整理は晩御飯ギリギリまで続いた。
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