職業:雑貨屋店主兼英雄

○山

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第1章雑貨屋編

第11話:目的

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 翌日、俺は無事完成したお風呂に入りながら考え事をしていた。ここ数日は店のことで忙しかったが、目的を忘れてはならない。その目的は何かというともちろん、元の世界に帰ることである。そのためには元の世界に帰る方法を探さないといけない。だが、現在何も手掛かりはない。どうしたものか・・・とりあえずルチアちゃんに話を聞いてみようか。風呂から出た俺はルチアちゃんの部屋に向かった。

「元の世界に帰る方法・・・ですか?」
「うん、帰れるなら帰りたいと思っているんだ。だから何か手掛かりが無いかと思ってね。」

 部屋で休んでいたルチアちゃんは先日買った寝間着を着て髪を整えていたようだ、よく似合っている。

「なるほど・・・では勇者伝説という昔話はご存知ですか?」
「ああ、簡単にだけど知っているよ。勇者がこの町にいたこととか。」

 これは以前ステラに聞いたことだ。他には周囲に魔物がほとんど居ないのは勇者の功績だとも聞いた。だがそれが何か関係あるんだろうか?

「その勇者伝説に登場する勇者ですが、異世界から来たと言われているんです。」

 なんだって?勇者が異世界から来た?

「それじゃあ最初にいた町っていうのはここで生まれたって意味じゃなくて、異世界から転移してきた町がここだったってこと?」
「そういうことになりますね。」

 過去に俺以外にもこの世界に転移した人がいたとは・・・だがこれは貴重な情報だ。こちらに転移してきた人がいるということは、もしかしたら元の世界に戻った人もいるかもしれない。

「その勇者の話って詳しくわかる?」
「あたしは詳しくないですが、この町には図書館があるのでそこに行けば書物などが見られると思いますよ。」

 俺の次の休日の予定が決まったようだ。

 そして当日、俺は図書館に来ていた。図書館は元の世界と大した違いはないようだ。入るには利用料を支払わなければならなかったが、紙が高価なことを考えれば仕方ないだろう。

 俺は早速勇者について調べ始めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 調べた結果いろんなことが分かった。まずこの世界に来た勇者は恐らく日本人だということ。名前まではわからなかったが、いくつか日本の文化を残していることから間違いないだろう。

 次に勇者がいかにして勇者と呼ばれるようになったか。まずこの町の周辺にいた魔物のボスを倒したことから始まり、世界各国を回り各地で起きていた問題を次々と解決していった。最終的には当時この世界で魔物たちを操り、魔物以外のすべてを滅ぼそうとしていたと言われる魔王と呼ばれる存在を倒したとのこと。まさに勇者だな、伝説として残るのもわかる。

 あとは食に対しての執着心がすごかったらしいことや風呂が好きだったなど、元の世界に帰る手掛かりにはならなさそうな情報だった。

 以上が勇者に関する情報だ。これらの情報から俺ができることと言えば・・・勇者の足取りを追うことだろうか。勇者が最終的にどうなったのかは図書館ではわからなかったが、この世界のどこかで元の世界に帰る方法を見つけて帰っているのかもしれない。それに、勇者以外にもこの世界に来た人がいたとしたら、その人たちのこともわかるかもしれない。何にしてもこれ以外に手掛かりはない現状、勇者の痕跡を追うのが一番いいだろう。

「というわけで次は勇者が訪れた場所に行ってみるよ。この町だと勇者が倒したっていう魔物が居たあたりかな。」

 家に戻った俺は早速ルチアちゃんにそのことを話していた。ルチアちゃんに教えてもらっていなければいきなり手詰まりになっていただろうから、何も話さずに進めるという選択肢は最初から無かった。

「力になれてよかったです。それで・・・そこにあたしもついて行ってもいいですか?」

 すると意外な返答がかえって来た。

「別にいいけど・・・ルチアちゃんには何も得られることはないと思うよ?」
「そんなことないですよ。外には私の”作成メイキング”で使用できる素材がたくさんありますからね。その採取をしたいのです。」

 なるほどそういうことね。

「なら俺もついでにいろいろ探そうかな。最後に外に出たのは随分前だし。」

 こうしてルチアちゃんと二人で町の外に探索に出かけることになった。何か手掛かりが見つかればいいんだけど。
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