職業:雑貨屋店主兼英雄

○山

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第2章英雄編

第17話:試験

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 強さを証明する、か・・・どうすれば示せるのだろうか。

「まぁ急に言われてもパッとは思いつかないだろうから、俺が試験を考えといてやる。」

 試験か、俺試験嫌いなんだよなぁ。試験が好きだって人は今まで見たことないけど。

「そうだ今日はうちに泊まっていきな、いろいろ聞きたいこともあるしよ。」
「いいんですか?ありがとうございます。」

 元々話がすぐに終わるとも思ってなかったからどこか宿を取ろうと考えてたんだよね。手間が省けてよかった。

 とそのとき扉が開いてルチアちゃんが応接室に入ってきた。

「ルチアちゃんどうしたの?」
「冷静になったら怖くなってきちゃって・・・」
「ああ、なるほどね。」

 平気そうにしてたから実家なら大丈夫かと思ってたけどそうでも無いみたいだ。

「ん?どういうこった?」
「ええとですね・・・」

 俺はこの前倒した魔物について話をした。

「・・・それよ、お前の強さが勇者並みって証明してると思うんだが?」

 あっ・・・確かに言われてみればそうかも。もしかしてこのまま許可もらえちゃうんじゃ。

「でもまぁ魔物は相手にできても人には・・・って場合もあるからな、試験は受けてもらうぜ。」

 そう簡単にはいかないか・・・まぁ確かに盗賊も居たりするらしいし、そこらへんは確認しとかないといけないのは納得だ。

「?試験って何のこと?」
「あー・・・大人の話だよ、うん」
「お兄ちゃんまでそんなこと言って!もう!」

 言っちゃうのは親父さんに申し訳ないからね。親父さんはこちらを見てニカっと笑っている。

「そのことはまぁおいといて、だ。今日はうちに泊まってもらうことにしたからな。」
「あたしは元よりそのつもりだったんだけど?」
「あんだと?家出した癖によ」
「お兄ちゃんはあたしの部屋でいいよね?」

 ルチアちゃんが親父さんを無視して爆弾をぶっこんで来た。

「なっ!?おいそれはどういうことだ!」

 ルチアちゃんそういうこと言っちゃダメだって!父親ってのはそういうのすごく気にするんだよ!

「え、えっと・・・」

 なんとか言い訳しようとしたがもう遅かった。さっきまで笑顔だった親父さんは凄まじい顔つきになっている。今ならドワーフじゃなくて鬼でしたって言われても信じるだろう。

「話すことが増えたようだな兄ちゃん。」
「ハハハ・・・」

 俺、生きて帰れるのかな・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あの後みっちり問い詰められた俺はルチアちゃんの部屋でぐったりしていた。

「ごめんねお兄ちゃん、お父さんがしつこくて。」
「いやいいんだ気持ちは分かるし・・・。」

 大切な娘がどこの馬の骨とも分からない男と同じ部屋で寝るなんて言ったらそりゃ怒る。ましてや同じベッドで寝るだなんて・・・こっちはばれなくて本当によかった。

「街を周ろうって言ってたけど・・・やめとく?」
「いや行くよ。ロットの町以外はほとんど知らないから興味があるし、何より勇者の痕跡も調べたい。」

 そうなのだ。かの勇者はドワーフの街にも行っており、ここで武器を作製してもらったらしい。となれば何かしらの情報が転がっていてもおかしくはない。

 ということでルチアちゃんと一緒に外に出た。

 街はそこらじゅうに工房が立ち並びカンカンと甲高い音と図太い大きな声が響いている。

「すごい活気だね。いつもこんな感じなの?」
「そうだね、いつも大体こんな感じ。みんな物を作るのが好きなんだよ。」

  さすがドワーフと言ったところだろうか。何か面白いものがないかぶらぶらしながら見ていく。次の商品の参考になるものがあるかもしれないし。あ、もちろん勇者の話も忘れてないよ?

「あ、ここだよここ。」

 そんなことを考えていたとき、ルチアちゃんが何かを見つけた。そこは周りと比べても一際大きな工房だった。

「ここがどうかしたの?」
「この工房が勇者の武器を作ったんだよ。厳密にはこの工房の当時の親方が、だけど。」

 そうなのか、じゃあ当時の話とか記録に残ってたりしないか聞いてみるか。早速お邪魔することにした。

「すいません、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「はいよ、何が聞きたいんだ?」

 応対してくれたのは目が優しそうなドワーフのおじさんだ。ルチアちゃんの親父さんのブチぎれた顔を見た後だと仏に見える。

「ここで昔勇者の武器を作ったと伺ったんですが・・・その当時の話ってなんか残ってたりします?」
「あーはいはい、勇者の話ね。申し訳ないんだけど、今ちょうどそれに詳しいうちの親方が出掛けちゃっててね、勇者の武器のレプリカくらいしか見せる物が無いんだよ。」

 タイミングが悪かったようだ。ここには後でもう一度来るとして・・・レプリカと言えども勇者の武器、ぜひ見てみたい。

「とりあえずレプリカだけ見ていきます。」
「でしたらあちらへどうぞ。壁に飾ってあるんで。」

 確かに壁に大事そうに飾ってある武器がある。ゲームで何度も見た両刃の剣だ。種類としては片手剣と言ったところだろうか。しかし、うーん・・・なんか思ってたよりも普通・・・装飾も特に無いし・・・まぁ実用性を考えたらこんな感じのシンプルなのが一番いいのかもしれないが。

 ドワーフのおじさんにお礼を言った後工房を後にした俺とルチアちゃんだったが、その後は特に勇者に関する情報は得られなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 夜、食事前に親父さんに呼び出された。

「試験内容が決まったぞ。」

 すごい満足げな笑顔だ。
 
「いやぁ試験を決めるのにすごい盛り上がっちまってな。街の大御所を集めて会議したんだがみんなお前さんが乗ってきた馬車と馬に夢中になりすぎて全然収拾がつかなくてさ。」

 大御所ってなんか大事になってない?しかもすっごい楽しそうにしちゃって。

「これほどの物が作れる上に勇者並みの戦闘力を持つ奴なら多少無理難題を吹っかけても大丈夫だろうってんでさ。で、決まったのが盗賊団の討伐だ。」

 盗賊団だって?

「この街は武具や魔力を込めるための装飾品なんかを大量に製作してるわけだが、それらを狙ってよく変な奴らが現れるんだ。それだけならこの街の奴らももう慣れたもんで自分たちで捕まえたりするんだが、ついこの間捕まえた奴が名の盗賊団の一員だってことが分かってな、そいつによると近々盗賊団総出で盗みに入る計画を立てているらしいんだ。だからやられる前に先にこっちから手を打ってやろうかって話をしてたんだが俺らは所詮職人の集まりで戦闘は得意じゃねぇ。だからどうしようかって考えてたところにちょうどお前さんが来たもんだから任せようって話になってな。」

 なんか押し付けられているように聞こえるんだが?

「というわけだ、詳しいことは飯の後で教えるからよ。」

 反論する暇もなく決まってしまった・・・いやまぁ反論したところで却下だろうけど。

「ああ、言い忘れていたが幹部以上の奴らは生きたまま捕縛して欲しい、聞きたいことが山ほどあるからな。それ以外は殺しても構わん。」

 何とも物騒な・・・いやまぁ自分の身を守るためには殺さないといけないときもあるわけだ。それができないのであれば自分が死ぬだけ。それは御免被りたい。

「早速明日行ってきてくれ。どうせ長居するつもりはないんだろ?」
「まぁそうなんですけど・・・。」

 少しくらい準備期間あってもいいんじゃないかなぁ

「準備は今夜すれば問題ないだろ。俺でさえ娘と一緒の部屋で寝たのは娘が2歳の時までだってのに会ったばかりの男に娘の部屋で寝かせてたまるか。」

 人(俺)の生死が係ってるのに私情を持ち込むのはやめていただけないですかね。

「よし、じゃあ飯食うぞ飯。会議が盛り上がりすぎて昼飯食ってねぇんだ。」

 ルチアちゃんが家出したくなる気持ちが少しわかった気がした俺であった。
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