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3.謎のイケメン
しおりを挟むそれからというもの、私に奇妙なことが起こるようになった。
原因は分からないが、突然耳元で「パンッ!」と発砲音が聞こえたり、物が浮いたりするところを見たりとか。
どれも私に何も危害を与えないがどうもおかしい。
今まではこんな事は無かったからますます気になる。
まぁ、そんな事はどうでもいいや。
てか明日は期末テスト!
奇妙な出来事は置いておいて、とにかく勉強勉強!
さて、まず数学だ!
えっと、X=……、もうギブ。全く分からん。
てか二次関数のグラフとか将来絶対使わないし!
何で勉強しないといけないのよー…。
…あー、もう止め!
やる気失せたし。どうにでもなれー!
*
テストが終わり一段落。
部活を終えて、家に帰る。
帰り道、いつも曲がっている角を通った。
あっ、そういえば。
この前の朝、ここでイケメンとぶつかったんだっけ。
あれ以来あの人見かけてないけど、どこいるんだろ?
もう一度、会いたいなー…なんて。
そんな事を思いながら角を曲がると、前方にはあの毛むくじゃらの怪物が立っていた。
じっと私を睨み付けている。
わー、何。
超恐いですけど…。
しばらくにらめっこしていると、その怪物は私に向かって全速力で走ってきた。
後ろには誰もいない。
完全に私を狙っている。
逃げなきゃ、逃げなきゃ!
でも私の体は恐怖でびくともしない。
悲鳴も出なかった。
恐ろしい形相で突進してくる怪物。
距離がどんどん縮まっていく。
もうダメだ…!
覚悟を決めて目を固くつぶった瞬間、
ものすごい力で反対側へ手を引かれた。
その力で自然と体は持っていかれる。
そのまま手を引かれ、しばらく走らされた。
私の手を引いてるその人は、後ろ姿しか見えなくて顔は見えなかった。
ただ、その手は私の手をすっぽり包んでしまうほど大きい。
間違いなく、男性だ。
手の主は、私をそのまま人目の少ない細い路地に連れこんだ。
やっと手が離される。
体力のない私はもうヘトヘト。
とりあえずお礼言わないと。
「あ、あの…。ありがとうございました…」
と、言って気づいた。
その手の主は、
あの朝に出会ったキラキラ(効果音付き)イケメンだったのだ!
何だか気まずい雰囲気が漂う。
とりあえず、何か言おう。
「えっと、…その…」
今日は天気が良いですねと続けようとしたが、その言葉は彼の声でかき消された。
「バカかお前!!」
……。
はい?
一瞬動揺した。
今私、バカって言われた…?
続けて言われる。
「何であの時逃げなかったんだ!死にたいのか!?」
えっ?えっ?
何これ。どういう状況?
何で私怒鳴られてんの…?
「あ、あのー…?」
「あ?」
「えっと、…どちら様でしょうか…?」
「………。は?」
ごめんなさい。
自分でも何言ってんのか分かりません。
頭真っ白です。
しばらくの沈黙。
するとイケメンは、静かに口を開いた。
「…すまない。突然怒鳴って悪かった。
俺の名前はヒロだ」
ひ、ヒロ…。どこにでもある名前だなー…。
「それでその…。あー…、説明めんどくさいから、単刀直入に言う」
と、ヒロはその綺麗な顔を近づけて、はっきりとした声で言った。
「お前は、命を狙われている」
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